シマウマ(f_zebra)さんが紹介する『古い原子炉の現状と安全性…フランス・フェッセンハイム原発を例に』

お勉強シリーズ。
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Flying Zebra @f_zebra

先日紹介した古い原子炉の安全性について、フランスでの最近の話題をご紹介。現在運転中で最も古いのはフェッセンハイム1号機で、1977年に運転開始しています。F.オランド大統領は選挙中の公約で原子力発電への依存度を2025年までに50%に減らすことを挙げていました。

2013-05-13 23:53:59
Flying Zebra @f_zebra

社会党政権はその皮切りとして、フェッセンハイム1、2号機を40年目となる前の2016年末に閉鎖する計画であると述べてきました。ただし、それを定めた政令は出されていません。

2013-05-13 23:55:22
Flying Zebra @f_zebra

一方、規制当局ASNは10年ごとの定期安全レビュー(PSR)の結果、原子炉系設備のコンクリートベースマットの追加補強すればあと10年間、つまり2027年まで安全に運転できるとして、運転寿命延長の認可を出しました。

2013-05-13 23:57:45
Flying Zebra @f_zebra

反原子力組織で構成する団体が、政府の閉鎖計画が進められなくなるとの懸念から改良工事の着手差し止めを求めて国務院(行政訴訟の最高裁判所)提訴していましたが、国務院は原子力サイトの永久閉鎖は制令によって決定されるべきとして退け、工事開始を認めました。

2013-05-13 23:58:35
Flying Zebra @f_zebra

わが国では政令によらず浜岡原子力発電所が運転停止を余儀なくされ、一切の法的根拠を欠いたまま国内全ての原子炉が停止し、産業や国民生活に多大な影響を与える電力不足を引き起こしました。多数の国民に支持されたとは言え、合理性でなかったことは明白でしょう。

2013-05-13 23:58:51
Flying Zebra @f_zebra

フェッセンハイム1、2号機はベースマットの肉厚が1.5mと薄く、ストレステストの結果事故の際にコリウム(溶融機器)が溶解して地面まで貫通するのを24時間(近隣住民の退避に必要な時間)防ぐという規制要件に対応できない、と評価されました。

2013-05-13 23:59:30
Flying Zebra @f_zebra

対策として特殊コンクリートを用いた補強計画が承認され、工事開始も認められたことから、1号機の補強工事は4/13に開始しました。6月末までには完了する予定です。なお、運転認可延長の条件としては代替炉心冷却設備の追加も要求されており、こちらは昨年中に完了しています。

2013-05-14 00:00:05
Flying Zebra @f_zebra

2号機についても、1号機と同様の改修を条件に運転寿命延長が認可され、今年の年末までに工事を完了することになりました。2号機は10年ごとのPSRのタイミングが何度か遅れたため、今回3回目で、運転開始から45年目まで安全に運転できると判断された事になります。

2013-05-14 00:00:35
Flying Zebra @f_zebra

フランスで40年を超える運転認可を取得したプラントは、フェッセンハイム2号機が4番目となります。フェッセンハイムは非常に収益性の高い発電所であるだけでなく、容量の逼迫しているフランス東部の送電網のバランスを取る役割も重要です。

2013-05-14 00:00:59
Flying Zebra @f_zebra

フランスでも政治的な動機から古い原子炉の運転に反対する人はいますが、PSRでは最新の知見に基づいてレビューされ、適宜改修工事等も行われていることから、古いものが危険、という考えはあまりないように感じます。

2013-05-14 00:01:14