ルーミアちゃんが生まれるまでのおはなし

『Rumia』
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ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

――その昔、幻想郷には夜しか存在しなかった。 そもそも、幻想郷は追いやられた妖怪達を隔離した結界。 表と裏なら裏、陰と陽なら陰、光と闇なら闇、 ――そして昼と夜なら昼。 幻想郷のはじまりは、世界の暗部を閉じ込めたものだった。

2013-05-14 12:43:07
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

しかし、それを苦にする者達も居た。 それは、妖怪達と一緒に幻想郷に隔離された人間たちである。 夜しか必要の無い妖怪と違い、彼らには昼が必要だ。 そこで、この時の幻想郷における3人の重鎮が会議を行った。 妖怪の賢者、八雲紫。 山の四天王、伊吹萃香。 ――そして、初代博麗の巫女。

2013-05-14 12:46:57
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

まず、巫女が提案した。 「あなたの能力で、夜と昼の境界を弄り、昼を増やしてはくれないか」 しかし、妖怪が言った。 「それは無理だ。 境界があれば出来たかもしれないが、今の幻想郷には昼と言う概念が存在しない」 そして、鬼が言った。 「ならば、私にいい考えがある」

2013-05-14 12:49:21
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

鬼は、幻想郷中の「夜」を集めた。 半分の夜を集め、夜は薄まり、 幻想郷は1日中、昼でも夜でもない、 薄暗いだけの良く解らない時間となった。 そこへ、妖怪の賢者が境界を引いた。 「夜のようで夜でない時間」は、 「夜」と「夜ではない時間」に分けられた。

2013-05-14 12:51:35
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

そこで、巫女が問うた。 「確かにこれで夜が半分になったかもしれないが、集めた残り半分の夜はどうするのか」 その問いに、賢者が答えた。 「丁度7つになる妖怪の子に、その全てを集めます。 そして巫女よ、夜の化身と化したその妖怪を、あなたが封印するのです」

2013-05-14 12:54:32
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

鬼が首をかしげる。 「ちょうど7つになる妖怪の子と言ったが、そんな都合のいいやつが居るのか? この集めた夜の塊は、あと3日の内に霧散して元通りだ」 妖怪の賢者は、暫く黙り込んだ後―― 「……私の子が、丁度7つです」 ――自らと同じ、美しい金の髪を持つ娘を差し出した。

2013-05-14 12:56:42
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

こうして、八雲紫の娘は夜の化身となった。 記憶は消え、身体は一気に成長し、 その娘の周囲は、常に夜になるようになった。 その力もまた、尋常ではなかった。 そして、妖怪の賢者は言った。 「さあ、博麗の巫女よ。  この子があなたの、最初の敵です。  『異変解決』を遂行しなさい」

2013-05-14 12:59:45
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

巫女は激闘の末、名も無き夜の化身を打ち倒した。 そして自らの血で半分以上が染まった札を、リボンのように結び付ける。 「そんな結び方をするなんて、どういうつもりだい?」 「…ぞんざいに出来る筈がない、この子は可哀想な子だもの」 鬼の問いに、巫女は憂いを帯びた表情でそう答えた。

2013-05-14 13:01:23
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「さて、最後はこれを1つの妖怪として、存在を定着させる必要があるわ」 封印を施した巫女は、妖怪の賢者を見据える。 「名前を付けてあげて、『お母さん』」 「名前、か、そうね……」 妖怪の賢者は、暫し思案する。 これから妖怪として野に放つわが子に、一体どんな名を付けるのか。

2013-05-14 13:04:34
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「……せめて、闇の妖怪となったこの子の心に、光が差しますように」 「『光る』と言う意味の『ルミナス』から取って、『ルーミア』…… ただし、綴りは少し皮肉って、『Rumia』にしましょう」 「……ま、いい名だね」 「ええ、そうね」 こうして『宵闇の妖怪』ルーミアは生を受けた。

2013-05-14 13:06:59
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

その後も、八雲紫は陰から彼女を見守っている。 本人曰く、娘としてではなくあくまで『封印が完全に解けないよう見張るため』らしいが。 . 萃香「そういえばさ、紫」 紫「ん?」 萃「あの子の封印っていくつあるの?」 紫「実は、108つ。リボンは1つ目よ」 萃「マジか…」 END

2013-05-14 13:11:29