カオス1

Lamento、紅色天井艶妖綺譚の面々を、咎狗の地、トシマへ飛ばしてみたカオスリレー。
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あたる @mmokoo

今日は、藍丸一紋の引っ越し日だ。日本中をあちこち巡る藍丸に付き従う一紋は、主の移動に合わせ棲家も移動する。 場所を移るたびに、どこからともなく襲が姿を現し、狭間を通じての超お手軽引越しを遂行してくれる。 #caos_juutai

2010-09-10 20:55:15
あたる @mmokoo

No2 複数を纏めて飛ばすには苦労しても、家哭が体内に一紋を納めていれば、物理的には一匹になるのでラクにできるらしい。この数百年、数え切れない回数を飛ばしてもらっているので、どちらもに慣れがあった。それが、いけなかったらしい。 #caos_juutai

2010-09-10 21:05:38
あたる @mmokoo

いつもの狭間に送られる感覚。空間がぐにゃりと歪み…。そこで襲の手がつるっと滑った。一紋の誰もが「あ」と声を上げたのと同時に、「あ…っ!藍丸、すみません~」 のんびりおっとり口調でもって、詫びる襲の声が届いた直後。 #caos_juutai

2010-09-10 21:08:51
あたる @mmokoo

藍丸一紋は、狭間の壁をぶち破り…20××年の殺伐とした魔都市に降臨していた。 #caos_juutai

2010-09-10 21:10:42
要(鈴木志薫) @kaname218

5.ガクン、と上下に揺れた家哭の中では、やれ地震だなんだと住まう皆が皆、慌てふためいて走り回り、意味もなく手に手に包丁だの傘だの箒だの釜だのを持っていたが、とりあえず何処の地にか到着したことは理解すると、解けた緊張に誰からともなく笑いが起こった。 #caos_juutai

2010-09-10 22:03:44
要(鈴木志薫) @kaname218

6.「よし、んじゃぁ外、出てみっか」という藍丸を一紋の面々が制止する。「主様に万一のことがあったら」「ええ、危ないですよ」「藍丸ぅ~、怖いのなの~」…矢継ぎ早に振りかかる声に顔を顰めていると、雷王が言った。「では私がいこう」。思う壺。弧白が背後で笑った。 #caos_juutai

2010-09-10 22:09:27
要(鈴木志薫) @kaname218

7.家哭の口を一歩出れば、長屋の引き戸の内側に出る。雷王は目を見張った。「なんだこれは…」。見慣れぬ、硬く冷たい片開きのドアが、僅か数センチ奥に開いている。鉄もコンクリートも知らぬ江戸に住まう妖は、見慣れぬ戸にそっと手を差し伸べた。 #caos_juutai

2010-09-11 16:54:18
あたる @mmokoo

8.あちら側へ開いたドアの外には、凄まじい気配を振り撒きながら、やけに人間くさい紅い妖怪がいた。「…誰だ」問い掛ける雷王へ、ソレは軽く視線を流し雷王とひどく似た声で告げた。「悪魔も知らないのか?」「悪魔だと?」「そうだ。私はラゼル。怒りが私の領域だ」 #caos_juutai

2010-09-11 23:45:21
要(鈴木志薫) @kaname218

9.「怒り…?」妖は強きにこそ従するものだが、感情に属するなど聞いたことがない。それとも悪魔とかいう者の世界では、そうするものなのか。「おまえは怒りに従属する妖か」。キョトンと目を丸くしたのち、僅か思案してラゼルは言った。「そうか、おまえは妖なのか」 #caos_juutai

2010-09-12 15:02:01
あたる @mmokoo

もっともらしく返事はしたが、早くもラゼルは相手から興味を失った。 なにしろ、ここはトシマだ。久しぶりの人間の魂捕り放題。入れ食い状態。 悪魔にとってのバーゲン会場。 #caos_juutai

2010-09-12 22:25:57