仮面ライダーW　Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー　『チャプター9・Ｗのキセキ/帰ってきた魔少年』

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「これは……」 ［――どうしようもなく粗悪なメモリを行使した副作用だ。僕たちが手を下さずとも、いずれこうなっていただろうね。彼があぁも結果を急いでいた理由。今なら分かる気がするよ］49 #WR

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　しゃがれ、覇気の無い声で男が何か囁いている。物憂げな目つきでこちらを見ている以上、自分たちに無関係なことではあるまい。Wは一体何だと彼の耳元に駆け寄った。50 #WR

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「……フィリップ、俺は……」男の言葉に翔太郎は口をつぐみ、代わりにフィリップが返した。 ［――逝くんだね。君には本当に感謝している。安心してくれ翔太郎、君の見てきた未来は絶対に起こらないし、僕たちが絶対に起こさせない。“相棒”として、この命を懸けて誓うよ］51 #WR

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　フィリップの優しげな声と言葉に、男は顔をしかめて呟いた。 「色々なものを失って、捨ててまで前に進んで、少しは変われたと思ったんだが、結局何も変わってなかったってことか。お前に言われるまで気付けないとは……、馬鹿だ。どうしようもない大馬鹿だよ、俺は」52 #WR

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［――大馬鹿？ 本当にそうかな。君の師・鳴海壮吉はこう言っていた筈だよ］ 　自信をなくして頭を垂れる男に、フィリップはある言葉を口にする。この男の師が自分に伝え、自分もかつての彼を奮起させるために話したあの言葉を。53 #WR

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［――完璧な人間などいない。互いに支え合って生きてゆくのが、人生というゲーム。君は支えを無くしたからこそ、どんな手を使ってでも“真っ直ぐ”あろうとしただけだろう。僕に君を笑う資格は無い］54 #WR

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［――だからこそ……済まなかったね、翔太郎。君一人だけに辛いことを背負わせてしまった。どれだけ謝っても償えることじゃない。大馬鹿だと言うのなら、それはきっと僕の方だ］ 「何を言ってるんだ。お前は俺の間違いを正してくれた。それで十分さ」55 #WR

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　男はフィリップに感謝し、歯を見せてにこやかに微笑む。同時に彼の顔から生気が失せ、体の節々に入ったヒビが亀裂となって全身を覆い尽くす。時が来たのだ。56 #WR

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［――いよいよ、だね］ 「痛みも後悔も無い。不思議なもんだな、死ぬっていうのは」 　男はその上でＷの左手を握り、穏やかな口調で続ける。 「後のことはお前に任せた。せいぜい頑張りな、二色のハンカチさんよ」57 #WR

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「……あんたに言われなくたって分かってんだよ。照井も亜樹子もみんなも……絶対に死なせねぇ。”この街は腐ってる”なんて絶対に言わせない。だから、だからよ……」 「言うな。それこそ野暮ってもんだ」58 #WR

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　涙声でそう話すＷの左側に、男はそっと人差し指を当てて御した。自分のことは自分が一番よく知っている。何が言いたいかは言葉にせずとも分かるのだろう。 「じゃあな、フィリップ。お前に会えて……嬉しかったよ」 ［――僕もさ］59 #WR

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　最高の相棒に最高の自分に見送られ、男は黄泉の世界へと旅立って行く。 　恐れも痛みも微塵も見せず、どこまでも安らかな顔だ。 　男の――左翔太郎の体は、古くなった木の皮のようにめくれ、欠片になって塵となり、自らが愛した風都の風にさらわれていった。60 #WR

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『Wのキセキ/帰ってきた魔少年』終わり『Wのキセキ/風の都の贈りもの』に続く #WR

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途中で休憩とか挟んじゃってすみません。取り敢えず本日はこれにて終了です。次回は5/19（日）の21~22時を予定しております。　残り二編は文章量が少ないので、場合によっては開始時間を早めて、両方とも掲載してしまおうかなー、とも考えております。 #WR