原発立地地域の立場から考える

徘徊するねこ(@tsuchie88)さんによる考察です。
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(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

あとまぁ、民主党の失政がそもそのも問題の始まりではあるが、電力消費地の首長が反原発の勢いに乗って原発立地の首長を乞食扱いしたってのと、原子力規制員会に立地県との折衝能力に乏しい幹部や高級官僚を配置したってのも、立地県そのものでの再稼働合意形成を難しくしてる側面もある

2013-05-19 09:23:26
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

原発立地県の思いというのが、どうも原発反対派の側からも、原発推進派の側からも、また中央からもほとんど重視されていない、というのが、わしは結構引っかかっておる。わしはエネルギー産業マニアだし、回るもの大好き猫なので本来はこの手の話題は好きなのだが、事に政治がらみになると実にうんざり

2013-05-19 13:47:40
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

個人的に滋賀県知事はあまり好きな方じゃないし、京都府知事もリベラルすぎると思っておるのだが、震災直後の世論の状況を考えれは、あのお二人の反応というのは致し方ない面があったと思う。実際、滋賀と京都は立地県ではないものの、原発立地地域に隣接する地域を抱えているわけだし

2013-05-19 13:49:35
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

電力消費地の自治体首長たちの放言は、原発立地県側を硬化させた、というよりもむしろ原発立地地域の抱える問題を顕在化させたのではないかと思う。確かに橋下氏に対する感情的な反発という問題もあるかもしれないが、感情的反発ならこそ時間が経てばある程度癒える問題ではないだろうか?

2013-05-19 13:54:23
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

政治的な姿勢や、原発立地県個別の地域事情はあるにせよ、立地県の首長が1Fの事故で恐怖したのは、中央が住民を守る具体的な方法を全くといっていいほど有していなかったからではないだろうか? 安全といいつつ、結局は絶対安全を唱えながら何も対策らしきものを取ってこなかった。

2013-05-19 14:00:18
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ならば、再稼働の条件は事故を踏まえた「住民の安全」を確保する具体策なのだろうが、その点に関しては中央、特に規制委員会はほとんど答えていない。別に田中委員長個人が無能だとかそういうことではなく、規制委員会が原子炉の安全に関する任務をすべて集中化してしまった結果機能不全になっている

2013-05-19 14:03:12
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

言い換えれば、規制委員会は原子炉の工学的な安全性に対する審査と規制を任務とすべきところ、原子炉行政のほぼすべてを丸投げされてしまっている。一方で、規制員会自体は田中委員長を初めとしてこういった広範な行政管理経験に乏しい。特に立地自治体と中央との調整には適さない人ではないだろうか

2013-05-19 14:05:26
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

もう一つが、原発立地地域の個別事情である。いろいろなドキュメントを読んでいても「個別の事情」とか「立地地域の実情」とかいった言葉が出てくるのだが、中央・消費地と立地地域でこれほどずれのある言葉はないのではないかと思う

2013-05-19 14:12:45
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

例えば、日本海側の原発立地県のうち、比較的近い新潟、石川、福井の三県の事情はそれぞれ異なる。北陸の中でも、石川は北電が地域内に供給する電源だが、福井と新潟の場合は東電・関電・原電が保有して主に関東や、関西・中部に供給する電源である。この時点で、立地地域の受け止め方が違う

2013-05-19 14:15:41
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

北電は、九電力会社の中でもどちらかというと小さい電力会社に入り、発電量の結構の量を供給地域外に売電している。元々、水力比率が高く火力比率が低い水主火従型の電源構成になっていて、大口電力料金が安い。電力料金を安くするため、売電に力を入れているという伝統がある。

2013-05-19 14:19:03
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

このため、北陸の産業は電力を大量消費する化学、紙パルプ、繊維といった産業が発達していて、電力と産業の間が協力しあって地域を発展させてきた。同じ日本海側でも、東北のような人口の急激な減少は発生していないし、物価が安いし雇用状況もよい。社会福祉も自治体や企業が協力する風土がある。

2013-05-19 14:23:07
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ところが、この新潟や北陸といった地域の中でも、原発立地地域というのは、あまり発展していない地域になる。石川の場合だと能登の外浦、福井の場合だと若狭で、立地県の中でも地域的に立ち遅れている上に地理上も分断されている地域である。

2013-05-19 14:29:45
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

北陸の産業発展を見ても、どちらかというと神通川流域の富山地方や、金沢、福井といった水運とそれを背景とした地域から周辺部に広がっていった感があり、これらの都市を北陸本線や東北自動車道が結び関西や関東、中部に接続され人、物、金の流れの中核になっている。

2013-05-19 14:35:32
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

他の地域では見られない、広範な営業区域を保有する北陸銀行が存在するのも、これらの地域が交通や産業、電力などを通じた地域圏を形成しているからであろう。

2013-05-19 14:36:33
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

また、県内でも地域ごとにあまり営業区域が被らない感じで、財務状態がしっかりとした信金がある。こういった信金がある地域は、だいたい地元の中小企業もユニークで、競争性のある会社が多い。京都府内や東海地方の信金が非常にユニークで、地域の中小企業も経営が安定しているのと似たような話だ。

2013-05-19 14:45:31
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ところが、原発の立地地域に行くと大分様子が違う。鉄道で行くにしても、車で行くにしても一苦労だ。まず、高速道路が通っていない。通っていたとしても、片道1車線対面通行だし、一般道も海岸線や山間を縫うような道しかない。島根でも見た光景だ(といっても島根の場合は全域がそうだけど)

2013-05-19 14:48:47
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

原発立地県といっても、県内でもインフラや産業構造に大きな差があるし、そもそも原子炉の設置者によって地域経済に与える影響が変わってくる。東電や関電の原子炉が止まっても、せいぜい立地地域に影響は限定されるが、北電の炉が止まると確実に地域経済全般に影響が波及する。

2013-05-19 14:51:02
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

電力消費地の首長たちの、どこか他人事に近い放言は、地域内の対立を先鋭化させたというよりも(原発反対派の方はこういう方向を期待しているようだが)、立地地域相互の矛盾を顕実化させたのではないか。だが、これが単純な感情的な対立構造とか、そういった問題ではなく実に判りやすい問題に帰結する

2013-05-19 14:56:05
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

つまり、原発の再稼働に際して、これまでの教訓をどう生かして住民を守るのか、という問題である。ところが、こんな単純な問題でさえも、有効な答えを出すことができていない。

2013-05-19 14:57:20
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

わしが違和感をもっているのは、立地自治体が真摯に問題に向き合っている中、立地地域に住民保護から原発の再稼働の可否自体までの問題を結果的に負わせているという点だ。その意味では、反対派も賛成派も大きな違いはない。

2013-05-19 15:01:21