映画『藁の楯』感想

ムー @muu

映画『藁の盾』感想。監督色みたいなのも原作内容も予告映像も出演役者も事前情報はうっすらですら知らずに観た。以下、役/役者⇒銘苅/大沢たかお、白岩/松嶋菜々子、奥村/岸谷五朗、関谷/伊武雅刀、神箸/永山絢斗、タクシー運転手/余貴美子、係長/本田博太郎、清丸/藤原竜也、蜷川/山崎努

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とりあえず、最初に言いたいこと！「清丸の口に突っ込んで撃つのか撃たないのかうわあああああ！⇒完！スタッフロール！って流れなら良かったのになー！」です。その後は蛇足というか、描き過ぎ・丁寧にまとめ過ぎ。ここでスパッと終わらせるくらいがちょうど良い余韻を味わえるのになと

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勿論、丁寧なまとめを期待する層にとっては、そんな終わらせ方じゃ「で、どうなったの？もやもやする、はっきりしてよ」になるから、そっち寄りに考えればあれで正解なんだろうとは予想するけど、真逆な考えの自分としては、あの後どんどんショボい展開で収束していくのが残念だったなあ

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物語の展開テンポはちょうどいい。舞台設定自体は興味をそそられるし舞台や人物の設定が整うのも早く、大勢の人間や蜷川の金持ちぶりをきっちり描くなら非常に映画向きだなと期待しながら観始める。ただ、新聞広告は現実味のあるやり口だと思ったんだが、「清丸サイト」でいきなり違和感覚えたな

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あの動画、何で最初と最後にザザッってノイズ入るの…。編集上のノイズてよりは「かっこいいだろ」なショボい演出ぽくて、要らない。いかにも、な「ゲームの始まりだ」感。条件の出し方もそれっぽくて。国家の許可を得て～を後で反復させる為だろうけど、条件たった2つなら観客も忘れないからさ…

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その動画のせいで蜷川の真剣味を疑っちゃう。キャラの真剣味てのは重要で、「本気でその意図があるなら（最低）こういうことくらいする・考えるんじゃない？」って観客が違和感覚えるレベルだと萎えるよね。あのあれ、諫山創のあの話を参照な感じ http://t.co/jb3zLWG17k

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諫山ブログ記事を踏まえてだが、あまりにも登場人物の考えが甘かったり抜けた行動をとってたりすると、物語を成立させるためとか面白くするために登場人物の知能を低くしてるとかとしか思えなくって。敢えてって言うよりシナリオ中心に書いてて気づけないのかもだけどね（諫山DISの意図はない）

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清丸を殺そうとする者たちについて順に挙げると、清丸知人、妻病気の刑務官、夫リストラの看護師、飛行機整備士、トラック男、ギャンブル警察官×2、銃を所持した男達、倒産危機の会社社長、一人目の被害者父、蜷川。彼らの真剣味は、と言うかこの物語においてその行為は何を意味するかを考えると、

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10～1億は確かに魅力的だろう。しかし相手が犯罪者とは言え殺人や未遂を犯しての報酬。報酬元は、治安を守る組織からではなく被害者遺族で、私怨への協力。よっっっぽどの理由がないと、大手を振って受け取って使える金ではない筈。これに向き合った上での殺害者が描かれているかどうか、なんだよね

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清丸知人・トラック男・銃を所持した男達は、野蛮で粗暴で服役さえすれば周囲の目など気にしなさそうだし最早狂気の域に達しているアウトロー系なので、ほぼ無問題だろう。ギャンブル警察官も警察だからこそリスクは承知の上だろうと思う。一見両極なこの二つの立場こそが、動機も行動も理解し易い

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一人目の被害者父は例外。懸賞金目当てってよりは騒動に乗じての復讐だろうから。車で轢き殺さなかったのも、第三者の警察巻添えにするのを躊躇ったんだろう。これは蜷川との差だなあ。ただ、助手席でダッシュボードから武器出して後部座席を攻撃…って、それはそれで無策過ぎるわ…

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アウトロー系は、弁当差し入れからの不意打ちで清丸を自首に追いやる・物語中最狂なトラック逆走＆自爆作戦で大惨事を引き起こす・銃撃戦の末神箸を殺すなど、行動力も成果も満点ではないものの高得点を挙げていた。下っ端っぽい警察官は内部の人間という利点があったが、作戦が甘かったのかな

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ただなー、妻病気の刑務官とか夫リストラの看護師とか倒産危機の会社社長とかは、そりゃまー切羽詰っているんだろうけど、それでも、先に挙げたリスクを背負ってまでの行為か？とは思うよね。看護師なんか、夫リストラ、でしょ。その程度…って言っちゃダメかもだけど、でも人殺すか？と

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あと、無謀過ぎるというのも問題。殺すなら殺すでもうちょっと策練らないか？切羽詰まってるからこそ衝動に駆られてんのかも知れんけど、まあそういう人はいてもいいけど、別に狡猾に殺しに来る一般人とかがいても良かったんじゃと思うんだよね。で、そのほうが絶対怖いし。観客にとってもね

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その点、余貴美子は「こいつも殺しに来るの？どうなの？」と言うドキドキを少し与えてはくれた。結局殺しには来なかったけど、同時に「騒動を端から見てるだけの一般人」視点がやっと出て来たのも嬉しい。刑務官とかのチープな背景を語らせるのはどうかと思うけどね…。理由が理由なんで…

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怖さを求め過ぎかも知れないけど、でも序盤で逆走トラック出て来るんだもん、「ここまで後先考えず狂った殺害方法もあるぞ！」ってハードル上げられたら、以後どんな予想外でスケールのでかい襲われ方するかわからんぞと身構えるじゃないすか。で、それは清丸を「守る側」にも言えるんだよ、守る側！

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守る側もさ、危機感がどうも薄い。序盤はいいよまだ。でも逆走トラック以降はもう一瞬たりとも油断ならん筈じゃない？例えば清丸サイトに新幹線が追跡されているのを知ったとき。身内を疑ってボディチェック始めるけど、銘苅と神箸だけで終了？いやいや松嶋菜々子のボディチェックシーンは！？（←）

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別に松嶋菜々子を調べ尽くすシーンが観たいとか下衆な欲求は置いとくとしてもだ、少なくとも「全員調べました」的描写は要るだろう。しかもだ、この時点でボディチェック描写のない奥村が、後に追跡情報提供者だったと明かされるもんだから、余計にボディチェック描写がないことは落ち度と映る

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内部密通者を疑いながら通信機器使用に制限をかけないのも不自然。「清丸サイトチェックは全員監視の元でのみOK」くらいのルール設けろよと。いや、物語の進行上、奥村あぶり出しへの前フリだとはわかる。でもボディチェックを提示しながら徹底しないというハンパさが際立つだけだよね、これじゃ

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更に後半、清丸に対する「油断」が酷過ぎる。まずはベスト3！白岩、清丸に油断。清丸「あっちから誰か見てる」⇒白岩、しばらくあっちを凝視。振り返ると清丸逃走。いやあ酷い。この油断には何の言い訳も立たないし画的にも非常に間抜け。白岩が急激に「馬鹿に」なり始めちゃうのです…

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ベスト2！白岩、清丸に油断。二度目！？電話で口論してる銘苅に気をとられてると、悲しみに打ちひしがれていると思ってた清丸に鎖で殴られ、そのまま銃奪われ殺されるて。モロに「すみません、油断しました」と言っちゃう始末。これも、画的にも別に面白くもないんだよ…エリートだったんじゃないんか

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ベスト1！銘苅をはじめ大勢の警官、清丸に油断。蜷川の手からこぼれ落ちたサーベルが清丸の元に転がり、そのまま手に取って攻撃されちゃう。銘苅は身を挺して被害は出させなかったけど、あんだけの警官が見守ってて、やらせてんじゃないよと。まあもう三度目なんで「またか」って感じだったが…

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チャンスを見逃さない清丸の観察眼や執念による成果かも知れないが、そこまで巧妙でも狡猾でもないから、どうしても警察側が油断し過ぎに映る。また、観客としても、明らかに清丸が画面の枠外にいるときばかり清丸チャンスになるので「おい清丸から目離すな！ホラ来たー！バカー！」となってしまう

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神箸の殉職は、厳重な注意から迅速な対応、車両連結部の死守、銃所持男達の殲滅…と死力を尽くしているので、永山絢斗の見せ場としてGJ！急に母親の話をし始めるのはちょっとずるいけど、まあこれくらいのお涙頂戴はあってもね。ケンカっ早い奴は早目に死ぬ法則ではあるが、真剣味があるキャラだった

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タクシーでの検問クリアも、いくらタクシーでもトランクくらい見ない？そういうもん？と思った。そういうもんなときもあるのかもだけど、緊急事態でしょ。どうも説得力の弱いシーンだった。そもそも乗車料金きっちり請求したがった余貴美子があっさりタクシーあげちゃうか？というツッコミもしたい