自動筆記:『くろやぎさんたら』
- XavierCohen
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今朝、海岸で驚くべきものを見た 一千億もの壜が流れ着いていたんだ 一千億もの孤独で丸々と太った山羊は 身動きも取れず救助を求めている 誰か僕の手紙を読んでくれ 誰か僕の手紙を読んでくれ 僕の手紙を Sending out an SOS...
2013-05-22 16:54:41真面目なトロールが遅れて来た小さい山羊に言いました お前を飲みこんでやる もっと大きな山羊がここにいます あそこにも その中間にも 真面目なトロールが次に来た中くらいの山羊に言いました お前を飲みこんでやる もっと大きな山羊がここにいます あそこにも その中間にも
2013-05-22 16:25:43真面目なトロールが最後に来た大きな山羊に言いました お前を飲みこんでやる さあこい こっちにゃ二本の槍がある これで目玉は田楽刺し おまけに大きな石も二つある 肉も骨も粉々に踏み砕くぞ ひどい混乱と幻滅がトロールを取り巻いている
2013-05-22 16:31:09男の子ってみんなそう 辣韮可愛いよ、とか 飾らない沢庵が好きだよ、みたいな甘い事言う癖に 結局最後に選ぶのは高菜なのよ あたし知ってるのよ
2013-05-20 16:03:35石板はね、ただ文字を読むんじゃない 自分の感覚を調整するためのツールでもある 精神的な調律、チューニングみたいなものかな 調律する際、大事なのは石に指で触れている感覚や 爪先に落ちたとき瞬間的に脳の神経を刺激するものだ ―『石の板を読みなよ』 槙島聖護
2013-05-21 16:58:05白山羊さんは石を刻みます 黒山羊さんに届けるために 一文字一文字精魂込めて それから三〇と七の月が巡りました まるで夜を切り出したみたいな黒曜石に 星の如く金文字が浮かぶ綺麗な石板が 動く御殿の様に立派な牛車に曳かれていきました そしてある種のバクテリアが読まずに分解しました
2013-05-21 16:33:54「第三隔壁っ、突破されましたっ!」 「畜生っ、ある種のバクテリアの展開が速いっ!」 「第四層っ、応答ありませんっ!」 「何としても石板を死守せよっ、ヤギ属最後の叡智をっ!」 「大方自分で食べてしまったのだがな…(ムシャムシャ)」
2013-05-22 14:53:11読まずに食べたのか? 山羊なら誰だってそうするさ 黒山羊が、みたいに言われるのは心外だな ペーターが死んだよ そうか 好い牧童だったのにな 上手にラクレットを焼ける奴は みんな好い牧童だ
2013-05-20 12:58:42「元気ですか」と手紙を書きました 黒山羊さんに手紙を書きました いやな私です やめようと思ったけれど 食べられることわかってるけれど わかりきっているけれど 手紙を書きました 黒山羊さんに元気かとききました 黒山羊さんにしあわせかとききました わかっているのに わかっているのに
2013-06-13 18:03:34わかってるのよあたし わかってるのよあたし ほんとは 「そこにいるあいつに手紙を渡して」 って言いたいのよ 黒山羊さんが最後までしらを切ったのは 最大限の私への思いやり わかってるあたし わかってる黒山羊さん わかってるのに わかっているのに うらやましくて うらやましくて
2013-06-13 18:08:37……つき合ってくれてありがとう でも今夜は私啼くと思います うらやましくて やっぱり うらやましくて うらやましくて うらやましくて 今夜は啼くと ……思います めぇ
2013-06-13 18:11:32