【TB】雨・海・キスバディ【腐向け】
@veni_tb バカンスで来た南の島。誰も俺達を見ても噂しない。開放的になりすぎて遊びすぎた。服ごと飛び込んだ海は楽しくて気持ちよくて可笑しくて「ずぶ濡れですよ」「構うもんか」潮味のキスを何度も繰り返す。ぺたぺたの金の髪。長い指が俺の額を顕にする。ああ自由って素晴らしい!的な?
2013-05-15 22:07:06監視?知るもんか。ブロンズの片隅、薄汚れた街角で俺たちは最後のキスをする。おあつらえ向きに雨が降る。仕事用に撫で付けられたバニーの髪を崩して少しでも指が覚えている柔らかさを取り戻したい。あと一分。眼鏡が当たる痛みすら愛おしい。そして俺達は銃口を向け合うことになる @veni_tb
2013-05-15 22:22:58妙に明るい初夏の雨に打たれて自殺志願者は橋から海へとダイブした。勿論当然俺達は共に助けに飛び込んださ。で、万事解決したその高揚感にげらげらと笑いながら俺達は互いの頭を掻き抱いた。髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜながら交わす口付けがしょっぱくてまた笑う。デートが台無しだ!@veni_tb
2013-05-15 22:54:12ぬるい雨、やわらかな海。曖昧な境目。「まざってひとつになるみたい」あなたは無邪気に口をゆがめて、「まざるのなし。繋がりたい」強い腕が僕を抱く。「ムードがない、おじさん、ばか」喋ってるのにキスしないで。「ムードってなんだ。知らねえ、バニーちゃんオレとムード生んで?」@veni_tb
2013-05-15 23:06:04ライムグリーンのフリスビーを投げる。「うわっ、高過ぎ!」渚の風にあおられて、遠く波の向こうへ落ちる。僕らは胸の下まで濡らし、はしゃいで海に飛び込んだ。拾ったとたん捕まえられて、キスの雨が降る。乱暴に髪をかきむしられ、僕は気が遠くなる。 @veni_tb
2013-05-15 23:46:27ひっでえ、て叫ぶあなたを抱き寄せる。ねえ、ほら、水のカーテンに包まれて、誰も僕たちなんか見ちゃいない。このまま一緒に溺れちゃいましょう。言えば、あなたは困ったように笑って、僕の唇を塞いだ。耳の裏、指先で鼓動を感じる。なんだ。もう溺れてる。あなたに。「俺もだよ」@veni_tb
2013-05-16 00:04:39「待てよ、バニー!」ぬるい雨が涙を隠す。「貴方はいつだってそうじゃないか…!自分の本音は隠してるんだ!」うねる波が僕をさらっていきそうになる。「馬鹿!」強い手が僕を引き戻す。熱い唇が、答えを教えてくれる。頭を掻き抱いてしがみついた。 @veni_tb
2013-05-16 00:09:16@veni_tb 「しょっぱいな」「お前ね」少しだけ唇を離した。「だってあなたが海に引きずり込むから」「気持ちいいだろ?」くすくす笑ってまた口が重なる。潮でべたつく髪をかき混ぜる、湿った空気、ぬるい雨。「雨が塩を流してくれる」「妬けます。雨なんかより」もっと深く、噛みつくように。
2013-05-16 00:11:54なぁ、バニー。僕の目を見て、あなたは小さく笑った。虎徹さん?声にする前に、突然高さ70mからのダイブ。ちょっ…!当然続いて飛び降り、必死で追う。ようやく立てる浅瀬まで来ると、説明を求める僕の口は乱暴なキスで塞がれた。ねえ、何があったの。海水と雨に、涙を隠さないで@veni_tb
2013-05-16 00:33:16@veni_tb 潮と雨が、食い合う唇の隙間から入り込む。唾液よりもっと濃い、体液の味がする。「あなたの中にいるみたいだ」離れた唇を追って彼の手が僕を引き寄せた。海はまだ冷たく、頼りになるのは互いの肌だけ。溺れてしまわないようにしがみついたはずなのに、二人、もうどこへも帰れない。
2013-05-16 00:43:24@veni_tb ずぶずぶと海に埋まって行く彼を引きとめようとしたのか一緒に行こうとしたのかは自分でもわからない。腕を捕えたら振り向かれた。濡れて張り付いた黒髪を高く跳ねた波が流して潤んだ目が露わになる。僕を見ていない。かっとなって吸いついた唇は塩辛からくて、彼の味がわからない。
2013-05-16 00:54:05濡れそぼって張り付いた髪の毛とシャツ。肩の線、肌の色まで透けて見える。訳もわからないまま可笑しくて二人くすくす笑う。少し息が苦しくてどきどきするのは、胸まで浸かった海と水面を打つ雨とに空気が溶けてしまってるから。だから僕らは唇を寄せあって、静かに互いの息をつぐ。 @veni_tb
2013-05-16 00:57:41@veni_tb ここは楽園だ。誰も俺達を咎めやしない。ヒーローの肩書きも、大人としての振る舞いも、ここでは関係ない。誰もいない海に服を着たまま入った俺達は、祝福の雨に打たれながら無我夢中で唇を奪い合う。身体の半分以上海に浸かって奪われていくはずの身体が、やけに熱かった。
2013-05-16 01:26:35「ごめんなさい」光を透かして、金糸が燦めく。「もう、ここから離れられない」謝るな。絶対解除してやる。人魚になるNEXTって何だよ、お前を海になんか渡してたまるかよ。力なく笑おうとする頬に手を伸ばす。初めて奪い取った舌は温くて塩辛くて胸が痛い、どうして、どうして。@veni_tb
2013-05-16 01:35:325センチの差は波で体が浮き上がる度に消える。足裏から砂の感触が遠退き、5センチの差が消える度にキスをする。僕は貴方の顔を両手で捕らえ、貴方の腕は僕の首に。波を越すと息を継いで、次の波でまたキスをする。波は止まることなく寄せて来るから、僕らもキスが止められない。 @veni_tb
2013-05-16 01:37:49@veni_tb 酔っ払った勢いで飛び込んだ海水に頭も冷えていく。ぼんやり浮かんだのは細い体を抱上げて写真を撮った海の思い出。もう、記憶に残っているのは優しい思い出ばかりで。危ないでしょうと俺を怒鳴り付けながらキスしてくるコイツとは、いいことも悪いこともずっと覚えていたいんだ。
2013-05-16 08:14:33熱い海という名前らしい保養地でバカンスを過ごしている僕達は、誰もいない雨の海岸を散歩する。帽子を飛ばされた彼がザブザブ海に入るのを追いかけて捕まえれば、名前に反して水は冷たい。熱くない海に降り注ぐぬるい雨を受けながらキスをする。波の上なのに溺れてしまいそうだ。@veni_tb
2013-05-16 08:21:26@veni_tb 生温い雨がさざめく空を見て二人で昨日の海に行こうと決めた。海水に体を浸し深くキス。昨夜の傷の残滓たちに水が滲みる、でも離さない。彼は生きていることを実感したかったのか痛めつけたかったのかわからない。僕はこのままひとつに融け和えば悲しくないのに、なんて考えていた。
2013-05-16 08:25:59さざ波、なみおと。寄せて還って。浸した足を撫でいく。海風は止み、暑さを癒やす体温の雨が降る。「きもちぃ~」雨音優しく、お前の笑顔と少しの息苦しさ。濡れて交わった、翡翠と琥珀。近づいて、零れた吐息は思ったより熱くて。交わされる音に、もう、何も聞こえない。 @veni_tb
2013-05-16 08:30:31@veni_tb ふざけてみたけど、お前はだだ泣きそうな顔で、唇だけで笑った。そうだな、「これで最後」「ええ、最後です」「最後」「はい」惜しむように何度も何度もその唇に吸い付いた。雨も波も、いつまでも温かいけれど、もう日が落ちる。時間が来る。寒くもないのに、オレたちはただ震えた。
2013-05-16 09:08:00@veni_tb なぁこいつら、海に還してやろうぜ。廃墟になった海辺の遊園地、メリーゴーラウンドで朽ちた木馬に寄り添い、したたか酔った貴方が笑う。二人じゃれ合いながら、ビスを外して海へ馬達を運んだ。濡れた身体で塩交じりの乾杯。甘いキス、キス。海を走った青い木馬。バディ最後の、夜。
2013-05-16 12:25:16蒼穹から降り注ぐ光と熱が肌を焼き、外洋を繋ぐパスからの波が飛沫をあげて肌を冷やす。繰り返す火照りと癒しは肌を重ねる愛に似てる。手を繋ぎ悠久のブルーへ深く潜れば何もかも融けあう。どこまでも美しいブルー。胸を打つのは最後の楽園の奇跡だけじゃない。2人だけのブルー @veni_tb
2013-05-16 16:47:56@veni_tb わー、今気付いた。昔描いた絵ですが、ちまっと捧げさせていただきますw http://t.co/bUy9irNyuk
2013-05-26 20:54:44