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『新明解ナム語辞典』制作秘話

定価5000円、表紙は基板を模したプラスチック製の『新明解ナム語辞典』(西島孝徳著、ソフトバンク刊)の刊行にまつわる話。
ゲーム ナムコ 出版
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とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話01】最初のきっかけは、当時(1984年)大学生だった西島孝徳くんが持ち込んできた原稿だった。ナムコ関連用語の辞典というコンセプトは最初から固まっており、彼は独力でそれを書きため、当時ナムコ社が発行していた情報誌「NG」に郵送してきたのだ。
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【ナム語辞典:制作秘話02】その第一稿(このときはまだ“新”の付いていない「明解ナム語辞典」だった)の収録語数は約280件。彼はそれを自信満々で郵送したが、即出版化、という話には全然ならなかった。後で聞いたところによると、けっこう落ち込んだらしい。まあ無理もない。
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【ナム語辞典:制作秘話03】それから少し冷静になって考えた彼は、自分の原稿の欠点にも気がついた。ようするに当時は若くて血気盛んなマニアだったから、文章の合間から「ぬるいナムコファンを啓蒙してやろう!」という押し付けがましさがにじみ出ていたんだね。
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【ナム語辞典:制作秘話04】でも、若いのに自分でそこに気付くのはエラい。そこはやっぱり彼の才能だ。ともかく「まずはそこを直すべき」と思った彼は、出版のアテもない本の原稿を猛然と改稿しはじめた。おまけに新語もどんどん入れはじめた。過剰な男だよまったく。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話05】一方その頃ナムコでは。最初の投稿原稿がきた時点で、けっこう盛り上がったらしい。ただ、この原稿を「NG」誌に載せるスペースはないし、どうしようかと悩んでいたんだね。で、そこに当時のナムコ社員だったKさんという女性が登場する。
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【ナム語辞典:制作秘話06】このKさんという人は学生時代に板橋雅弘、えのきどいちろう、杉森昌武らが作った「中大パンチ」とかを読んでガツンとやられたサブカル女史で、ナムコ社内に(NGとは別の)出版部門を立ち上げようとしていたのだった。もうおわかりでしょう?
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話07】この出版部門の第一弾プロジェクトとして、西島くんの「ナム語辞典」が選ばれたわけ。ただ、新事業部立ち上げということで社内のネゴやら稟議やらいろいろ必要だったため、外部の西島くんは理由もわからず待たされてしまっていたのだった。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話08】さて、ようやく社内の整備も出来て、いざ「ナム語辞典」プロジェクト・スタート!となった頃に、再び原稿用紙の束が届いた。これが「新明解ナム語辞典」とタイトルも改められた第二稿で、収録語数は650件に増えていた。1995年8月のことだった。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話09】本人は、第一稿の若書きを反省してかなり文体を直したつもりだった。その自己研鑽は素晴らしいと思う。ただ、それでもまだまだ青臭い部分はあった。そこで、それを修正&編集する役割として、ナムコのKさんが知人のおれに声をかけてくれたのだ。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話10】でもね、そういう青臭さや鼻持ちのならなさ(本人自身がそう言っている)はたしかにあったけど、文章そのものはかなりしっかり書けていた。だから、おれが直すところはそんなに多くはなかったな。それより大変だったのは……。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話11】実際の制作作業が始まってからも、彼は新しい語句をゴンゴン追加するんだよ! 結局、全部の編集作業が終わったときには収録語数は1453件になっていた。孝徳、なんておそろしい子!
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話12】現物を持っている人は奥付を確認してもらうとわかるが、この本の制作には少しだけゲームフリークも関わっている。再現させるのが難しいゲームの画面写真を撮るために、腕のいいプレイヤーを派遣してもらったんだ。おれじゃ無理だったからね(笑)。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話13】本書にはひとつ大きな特徴があって、それがあの装丁。オールカラーの辞書ってことで、豪華版にすることは決まっていたけど、表紙はずいぶん悩んだ。それからしばらくしてデザイナーが出してきたのが「ゲーム基板にしよう」というアイデアだった。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話14】でも、原型作って、プラスチックで射出成形して、ハードカバーに貼り付けて、しかもそのままじゃ凸凹で書店に並べられないから外函に入れる。原価計算すると最低でも定価5000円。普通の出版社なら絶対ボツになるよね。でも通った。ナムコだから。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話15】当時、ゲームで十分すぎるほど利益が出ていたから、出版で儲けようとはあんまり思ってなかったんじゃないかな(※これはあくまでもおれの私見ですよ)。それにナムコの偉業を讃える本でもあるから、まあやってみなはれ、という余裕はあったはず。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話16】初の著書が特殊装丁函入りで刊行されるなんて、著者の西島くんは天にも昇る気持ちだっただろう。でも、こういうのって下手するとその人のライター人生を狂わすことにもなりかねない。オレ天才、物書きなんてチョロイ商売! って思ってしまうからね。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話17】その点では西島くんは安心な人だった。自分の文章が甘いということもちゃんと自覚していたし、本を出して浮かれたりすることもなかった。たしかこのあと少しライター業をやってから就職し、エンジニアか何かになったのじゃなかったかな。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話18】「新明解ナム語辞典」の造本は、ニューヨーク・アートディレクターズクラブ国際展と、ブルーノ・ビエンナーレで入選した。これは素晴らしいことだと思う。でも、おれと西島くんはそれを聞かされてもピンと来なかったな。ぼくらにゃ関係ないもんね。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話19】とても評価された本だけど、初版が少なかったのと増刷が不可能な装丁だったので、あまり多くの人の眼に触れないまま幻の本になってしまった。 @bigburn さんも言ってくれてるけど、電子書籍化してほしい本ですね。(以上。ありがとうございました)
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
togatterは、まあ、してもいいけど、あとで自分でまとめてブログに載せると思うよ。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話20】訂正します。【制作秘話08】にあった「ようやく社内の整備も出来て、いざ「ナム語辞典」プロジェクト・スタート」というのは自分の記憶違いで、ナムコ社内で出版部門を立ち上げようとしていたKさん独立し、編集プロダクションを設立されたのだった。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko
【ナム語辞典:制作秘話21】その編プロが「ナム語辞典」を制作し、おれはそこから仕事を依頼されたのだった。発行はソフトバンク。ナムコからの刊行ではないけど、全面協力してもらっていたので、画面の撮影などで何度も矢口渡の本社を訪問したっけ。(以上です)

コメント

サマンサ @dan564 2010年9月19日
子供のころ小遣い溜めて買いました。今でも大事に持ってます。ナムコが、というかゲームが好きで好きでしょうがない感がひしひしと伝わってくるけどどこか一線で押さえ込んだバランスのいい文章になっているのはそういうことだったんだなと納得した次第です。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko 2010年9月20日
自分は完成時に一冊もらいました。書店でも何度か見かけて、保存用にも買っておこうかと思ったのですが、なにしろ定価5000円だし、駆け出しの頃でお金もなかったですから買えませんでした。いま思えば無理してでも買っておくべきでした。
今村勇輔 @yimamura 2010年9月21日
訂正のツイートを追加しました。
とみさわ昭仁 @hitoqui_ponko 2010年9月21日
【ナム語辞典:制作秘話22】さらに調べてみてわかった(思い出した)ことですが、編集を代表されていたKさんは当時まだナムコに在籍中だったようです。なので編集・制作はナムコです。Kさんが独立されたのはその後でした。何度も修正して失礼しました。
NaTu @NaTuP_ 2013年6月17日
これと電波新聞社さんの「ALL ABOUT NAMCO」は聖書だったなあ。
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