ささやか「黄瀬誕(？)小話」

黒子、俺はさbot @from10_to11

「“誕生日おめでとうございます。キミの一年が幸せであるように祈っておきます。これからもよろしくお願いします。”……送信。

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黄瀬くんに誕生日を祝福するメールを送った直後鳴った携帯に、発信者の名前も見ずに取ったのは彼だと信じて疑わなかったからだ。だって、まさか。 「どうしました？こんな夜に」 「え？しいて言えばドッキリ？あと嫌がらせ！」 「…はぁ」 キミは意表を突くのが本当に上手いですね、高尾くん。

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「どうしました？何か緊急を要する御用でも…？」 「真ちゃんが今日は黄瀬の誕生日だっつってたから、電話しちゃった」 「…はぁ」 「気のない返事だな！」 「いや、発言が支離滅裂で…よく意味が…」 「だーから、嫌がらせ！黄瀬に！」 「黄瀬くんの誕生日に僕に電話する行為が、ですか？」

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ご明察ー！と、至極楽しそうに笑っているのであろう。電話越しでも分かるくらい明るい声で返される。が、どうしてこの行為が黄瀬くんへの嫌がらせになるのかがさっぱり掴めない。 「なぁ、黄瀬にメール送ったりした？」 「え？はい。おめでとう、と」 「ふぅん」 ちょっとトーンが下がったような。

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「なぁ、真ちゃんの誕生日、もうすぐだよな」 「そうですね。休日ですし、会えたらいいですね」 「うーん、そうだな？」 「…何で疑問形なんですか？」 「俺、真ちゃんのことすっげースキなんだわ」 「…はぁ」 あ、また“気のない返事”をしてしまった。

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「天才滅べ！って思ってたけどさ、お前に負けたあとアイツ、すっげー練習してさ、今まで以上に勝利に貪欲になったっていうか…変わったところもあるっちゃあるし、やっぱ憎めないんだ。だから今アイツの相棒だってこと、誇りに思ってる」 「…秀徳の緑間くんは、以前よりずっと素敵になりましたよね」

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「素敵、か」 「違うんですか？」 「…そーだけど、黒子の口から他のやつの評価が出ると微妙」 「キミだって言ってるじゃないですか」 真剣に緑間くんへの感情を吐露したかと思えば、拗ねた声色で僕に不満を零す彼が可愛く思えてしまう。こんな彼を見ることができるのは僕だけがいいな、なんて。

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「黒子、一緒に祝おうな。真ちゃんの誕生日」 「はい、二人で一緒にお祝いしましょう」 「…ちなみに黄瀬には会うのか？」 「いえ、特に決めてはいませんが、彼なら会いに来るかなと」 「うわぁ、想像つく」 「でしょう？」 「…俺の誕生日も祝ってくれる？」 「何をいまさら」 当然のことを。

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「キミが望まなくたって、遠慮したって、嫌がったって、絶対に祝ってやりますよ。おめでとうって言いたいし、言うのは僕の勝手ですから」 「…男前ー…」 「でしょう？」 拗ねたかと思えば照れて、やっぱり彼は面白い。試合では無理でも、こんなひと時の電話越しなら、全部わかってしまうんだ。

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「絶対、お祝いしますから。サプライズ用意してあげますよ」 「言ったらサプライズにならねーし！」 「内容が分からなければスリルでしょう？」 「…あ、ホントだこええわ！」 どんなサプライズとかもうずっと前から決めていた。それにキミの誕生日を祝わない選択肢なんてどこにも存在しないから。

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「あ、やっべ、もうこんな時間じゃん！結構話したな！」 「本当ですね…もう寝ないと」 「お互い朝練がつらいもんな。今度また電話しようぜ。真ちゃん誕生日企画会議！なんてな」 「…直接会った方が早くないですか？」 「…そう、だな！会うか！会おう！」 「？　はい」

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突然どもって「うわーそっかそうだよな、俺だけ、とかうわー意識しすぎだわないわー！自意識過剰！ないわー！」なんてブツブツ言い始めた彼に疑問符が浮かぶけれど、とりあえずばいばいをする。また今度、会いましょうね。楽しみにしてますから。 「じゃあ、おやすみ。黒子」 彼の声で、眠りにつく。

黒子、俺はさbot @from10_to11

電話を切って、彼の声を脳内で反芻しながら布団に潜る。携帯がチカチカ瞬いていたような気がしたが、このまま眠りたかった。きっとすごくいい夢が見れるだろう。幸せな夢を。 （あ、なんで嫌がらせなのか聞くの忘れました） まぁいいか、と意識を沈める。また今度すぐに会えるから、その時に聞こう。

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おやすみ、黒子。いい夢を。 ……あと、黄瀬。悪かったな、あんま本気で思ってないけど。

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【管理】突発でしたが黄瀬誕おめでとうございます！取り敢えず土下座しながらぽちぽちしておりました。嫌がらせは言わずもがな、電話でもいいから黒子っちにおめでとうって言われたいとか思ってそうな黄瀬を牽制して先手を打った高尾氏の策略です。ごめんね黄瀬くん！あいしてます！