第一回大罪大戦《正2の狭間》【戦闘フェーズ02】

紅(ルージュ)は不羈、ファンシー[ @noamarimo_sin ] 黒(ノワール)は旧紅色欲、ラスト[ @temari_sin ]
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ラスト/アドウェナ @temari_sin

扉の向こうは、森だった。鬱蒼と生い茂った緑の木々。爽やかな風が、彼女の頬を撫でて通り過ぎていく。「ここが、戦場……?」戦場にしてはあまりに雰囲気がのどかだ。彼女はふくらはぎ丈のプリーツスカートをなびかせながら、『戦場』を歩いていく。

2013-06-28 10:48:37
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

この戦場は森でした。森の中には社が建ちました。社の両脇狐の石像。中央壇上賽銭箱。あぶらげおんりー の張り紙がありました。 「♪ぴっ ぴっ ぴーひょろろ ぴーひょろろ ろ ぴーひょろろ」 いずれ届こう祭囃子。ボクの吹いてる鉄笛の音。来訪者には如何に聞く。

2013-06-29 00:16:58
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

賽銭箱のお隣で。座布団ひいて鎮座して。もふれる狐耳はきょろきょろと。8つの狐尾はゆらゆらと。祭囃子にあわせて動く、ひとことでは形容しがたい、和風で魔法な童子か童女が、そこには見えることでしょう。 「ひょろーん」

2013-06-29 00:21:17
ラスト/アドウェナ @temari_sin

何処からか聞こえる、賑やかな音。そこに『対戦相手』は居るのだろうか。用心しながら一歩一歩確実に進む。やがてそれが祭囃子と分かるくらい大きな音になると、目の前に見えたのは社。狛犬ではなく狐が鎮座していることに気付くと、ここが普通の社ではない事が分かった。

2013-06-29 00:28:32
ラスト/アドウェナ @temari_sin

さらに歩き進めると。ゆらりと揺れる尻尾が見えた。「狐……?」否、狐ではない。形は人間の体を成しているが、頭からは耳も生えている。この狐人間、子供のようだ。ただし性別は曖昧で。男の子かな……。彼女は、彼に近付く。

2013-06-29 09:47:32
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「ぴっ ぴっ ぴーひょろ ぴっ ぴーひょろろろ りっぴっぴ」 人影が視界に映ります。ボクは一節を吹ききって、笛から口を離しました。 「こんにちは? 虚のおねえさん…じゃないね。 ボクはファンシー。あなたは 何の罪?」 笑顔のままで、ご挨拶しました。

2013-06-29 10:39:54
ラスト/アドウェナ @temari_sin

ふぅーん……なかなかに可愛い男の子じゃないか。ファンシーの自己紹介を聞き終わり、やはり彼が今回の対戦相手であると知る。スペルビアの城にいた時、何度か『座』とか『黒』とか『紅』とか『虚』という単語を聞いた。しかし彼女はそれらの言葉の意味を知らない。→

2013-06-29 12:59:06
ラスト/アドウェナ @temari_sin

→だから彼女は答えに窮する。ファンシーの聞き方だと、アタシにも『座』があるのだろうか。しかし何も分からない。眉間に皺を寄せてしばらく黙り込んだ後、ファンシーを突き放すような声で。「アタシはラスト……、それだけ」

2013-06-29 13:30:45
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「ふうん? ラスト? 終わりってこと? 最後? 終末の罪ってあるのかな?」 座布団の上に立ちながら、ボクは答えて言いました。 「あっ ねえねえ。後一つ。あなたは虚《ゼロ》では見なかったから、黒《ノワール》って事でいいのかな!」 それだけ と言っている相手にまだ質問をします。

2013-06-29 23:19:02
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「『終末の罪』……?」ファンシーは『lust』という単語を『終わり』と捉えたのだろうが、そうではないことを彼女自身は感じている。「残念ながら『終末』ではないと思うの。あと」スカートの裾をめくり、太腿に仕舞ってある短剣に手をかけながら。「そうだね、あたしは多分『黒』なんだろうね」

2013-06-29 23:36:58
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「終末じゃないんだ…? 他に何があるんだろう…」 わからないボクです。ラストおねえさんはスカートの裾をめくりました。青少年には大変な目の毒です。でもボクは青少年なのかどうか。 「ボクも不羈《あやふや》だしね! まあいっか! そうかー。ノワールなんだ。じゃあ、おかあさんなんだね!」

2013-06-29 23:56:31
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「『お母さん』……?」何を訳の分からないことを言ってるんだこの子は。スカートを更にめくり太腿が露わになると、隠されていた短剣が晒される。これ以上ファンシーと話すのは野暮だ。ルクスーリアの為にも戦わなくてはならないのだから! 相手の様子を見つつ、太腿からゆっくりと短剣を引き抜いた。

2013-06-30 00:34:16
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「うんうん。ルージュがおとうさんでノワールがおかあさんで一家離散したんだよ。大殿さんが言ってた」 ラストおねえさんが短剣を取り出すのが見えました。 「わあ…これは物騒…。いいよ? それじゃあ、今から君の罪を、赦してあげる!」 びしっと、鉄笛(※30cm)を突きつけポーズです。

2013-06-30 09:57:12
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「へぇ……中々に面白い話だねぇ」ファンシーが話す比喩に思わず笑みが零れる、が。鉄笛を見るなり表情は一変。ゆっくりと舌なめずりをして橙色の目を輝かせる。さながら、獲物を狙う肉食動物だ。「お姉さんと遊ぼっか!」素早く走り寄り、ファンシーの懐を狙って短剣を振り上げる。

2013-06-30 12:49:02
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「でしょう? 面白いでしょう?」 面白いのはいいことです。平和な時間はそこまで。 「うん、遊ぶよ!」 諸手をあげて歓迎します。ラストおねえさんが走り寄ってきます。その短剣がボクに届こうとしたタイミングで、ボクの姿はもやっとします。 カクリヨへ。その短剣は通り過ぎるでしょうか。

2013-06-30 13:07:37
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「え……っ!」短剣を突き刺そうとした瞬間、ファンシーがぼやけて跡形もなくなる。剣はそのまま真下へ抜けて。体勢を整えた瞬間、ぐらりと視界が揺れた。

2013-06-30 13:11:32
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「にゃははっ!」 短剣はそのまますり抜けていきました。…何が何でも捉えちゃうようなタイプではなかったようで一安心です。 ボクはそのままラストおねえさんも通り過ぎて、カクリヨを解除。体勢を整えたおねえさんの後頭部目指して、鉄笛を横薙ぎに振りました。

2013-06-30 13:25:30
ラスト/アドウェナ @temari_sin

後ろから殺気。さすがにはなから打たれるような質じゃない。この子、見た目よりも厄介な能力を持っている……! しゃがんで避けたついでに、空いた背中にすかさず剣を振る。

2013-06-30 13:32:01
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

鉄笛は宙をぐるんと空振りしました。わお。思った以上にアクロバティックなおねえさんです。 ボクはそのまま一回転して―― 「あいたっ!!!」 何かが背中をかすりました。ぴょんぴょん跳ねて座布団を呼んで。座布団に乗って少し距離をとりました。

2013-06-30 13:44:12
ラスト/アドウェナ @temari_sin

ひとまず傷はつけられた。彼女が短剣を持ち直すと、ファンシーは距離を置いて座布団に座る。ぼやけた視界も元通りだ。ゆらゆら揺れる八本の尻尾を見ながら、艶やかにウインクをして微笑んで。「大丈夫、お姉さんは怖くないから……ね?」相手を惑わす瞳。

2013-06-30 13:53:38
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「お・・・おお・・・・・・?」 背中がまだちょっと痛いので、河童の軟膏を引き寄せて、憑喪神で勝手に塗りこませようとしたところで(※能力の無駄遣い) なんだかおねえさんの眼が怪しく光ったような気がします。 「おお? 怖くない…?」 怖くない気がしてきました。

2013-06-30 14:07:21
ラスト/アドウェナ @temari_sin

「うん、怖くないよ……だからおいで? いいこと、しよ?」また妙な能力を出してきたな……でも。彼女は誘うと、短剣を太股に仕舞った。ふわり、ふわり。スカートが新緑の風になびく。「さぁ……おいで?」一歩一歩、ファンシーに近寄る。

2013-06-30 14:42:20
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「怖くない…いいこと………あぶらげ?!」 あぶらげをくれるなら、これは行くしかありません! 「行く!」 ボクはラストおねえさんに駆け寄りました。

2013-06-30 17:54:53
ラスト/アドウェナ @temari_sin

狐には油揚げ……か。でも油揚げ持ってないんだよなぁどうしようかなぁ。ひとまずぎゅっと抱き締め、ファンシーの頭を自らの胸元に預け頭を撫でる。「油揚げだと思った?」耳元で囁くと、そのまま耳をぺろりと舐めた。

2013-06-30 18:32:04
ファンシー・S・ピグレーツォ @noamarimo_sin

まふん。おお…もしかしてこれが母のぬくもりというやつでしょうか。 「おかあさんだ…! やっぱりノワールがおかあさんなんだ……! ……にゃっ!!」 耳に違和感が走りました。尻尾がざわざわします。ううん大丈夫だ怖くない? 怖いってなんだっけ…? そもそもあぶらげじゃないだと…?

2013-06-30 18:53:17
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