モーリー・ロバートソンさんが共産党に怒られた話

東京MX「ニッポン・ダンディ」でお馴染みのジャーナリスト、モーリー・ロバートソンさんが共産党の人にガチで質問したら怒られた話。今後の共産党や脱原発に対する提言も
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モーリー・ロバートソン @gjmorley

ところが、そこで計算外、想定外のことが起こります。穀田さんは「モーリーさんには共産党の歴史を勉強していただきたいところですね」と言ったまま、この件でのディベートに乗ってくださいませんでした。防音ガラスから副調整室を振り返ると、Dさんや構成作家の表情が硬く凍結しています。え…?

2013-07-03 02:16:52
モーリー・ロバートソン @gjmorley

そのまま、あらかじめ印刷されていた台本に戻って、国内政治関連の質疑応答を形式的に続けることにしたら…あっと言う間に時間切れとなり、そのままコマーシャルへ。コマーシャルが流れる間に穀田さんと党員お二人が身支度をしてスタジオを出て行ってしまいました。え…?ディベートの続き、しないの?

2013-07-03 02:18:29
モーリー・ロバートソン @gjmorley

その後、確かDOCOMOのお知らせ完パケコーナーが10何分間流れ始めたか、そんな感じでちょっと空き時間ができました。副調整室の防音ドアを開けると、スタッフがぞろぞろと穀田さんのご一行の後を追って18階のエレベーターに。あれっ?…う…やばいかも。と思って、ぼくもエレベーターの方に。

2013-07-03 02:19:56
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「謝った方がいい」と誰かに耳打ちされたかどうか、ちょっと思い出せません。「すみませんでした!」と、少し明るすぎる声でお辞儀をしましたが、扉が閉まり行くエレベーターの中から穀田さんは特に返事をしてくれなかったような気がします。告白します。ぼくは内心で「勝った」と思っていました。

2013-07-03 02:21:28
モーリー・ロバートソン @gjmorley

えー…それでまあ、この番組の後半は、台本を読み上げ、お知らせも読んで、曲を紹介して終わったような感じだったのですが。その後の反省会は、精神的な時間において、とても長く感じられました。制作チームから「いったいなんていうことをしてくれたのか」といった批判をいただきました。

2013-07-03 02:23:14
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「これが亀井さんだったら、本当、どうなっていたかわからない」と叱る構成作家。「亀井さんて、誰ですか?」と聞きたくなる衝動を抑えて、目の前の机をじっと見ていました。ぼくは、悪いことしてないもん…

2013-07-03 02:24:18
モーリー・ロバートソン @gjmorley

その後「歴史上、共産主義の初期にはボルシェビキがいて、爆弾闘争とかもやっているし、ソ連にはスターリンがいて大虐殺や戦争もやっている。共産主義体制は世界中で全体主義だったじゃないですか」などの、にわか仕込みの知恵で応戦するも、リアル政治において、現場において、ぼくは敗北しました。

2013-07-03 02:26:24
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ここからは当事者の証言にもとづいています。放送の翌日、しんぶん赤旗の編集長からJ-WAVEの編成部に電話で抗議が来ました。「どういった意図であのようなやりとりになったのか?」を追求された、と聞いています。つまり、モーリーが穀田さんに不謹慎、筋違いな質問をぶつけた背後の意図です。

2013-07-03 02:30:03
モーリー・ロバートソン @gjmorley

その後、編成ナンバー2が菓子折りを持って代々木の共産党本部にお詫びに行きました。特に意図はなく、モーリーが制作チームに事前の相談がまったくない状態で、ただ一人の意思であのような質問をぶつけたことを説明し、今後不祥事の再発防止につとめるとの確約をされたとのことでした。

2013-07-03 02:31:21
モーリー・ロバートソン @gjmorley

録音や文書に書き起こされたやりとりはなく、聞き伝えの範囲で続けます。「なんでジャーナリストが共産党にボルシェビキという言葉を使って質問をしてはいけないのか?」とぼくは編成部に食い下がり続けました。その結果、編成側が決定した妥協案が「事前収録・擬似生」です。

2013-07-03 02:33:54
モーリー・ロバートソン @gjmorley

次の回からぼくの「Jam」では、本番の数時間前にスタジオ入りをして、トーク部分をほぼすべて事前収録することになりました。そして番組の放送時間に自分の声が流れる中、時折生でボイス・オーバーをする形式になりました。

2013-07-03 02:36:01
モーリー・ロバートソン @gjmorley

コマーシャル明けにオンマイクで「現在、時刻は夜8時43分を回ったところです。ここで首都高速の情報を聞いてみましょう。○○センターの○○さーん?」と声を出し、トラフィック・インフォメーションが中継されると「ありがとうございましたー!」と返答、曲を出し、その後収録済みが再生される。

2013-07-03 02:37:19
モーリー・ロバートソン @gjmorley

青かった、と言ってください。バカだった、と言われてもいい。その時2スタに座ったまま、2時間ほど前の自分の声をヘッドフォーンで聞いて黙っていることは、ぼくにとって屈辱以外のなにものでもありませんでした。

2013-07-03 02:38:33
モーリー・ロバートソン @gjmorley

自分の声が流れている上からカフを上げて、「この放送は偽物だ!だまされるな!」と叫びたかったです。でも、ニュースは公共性が高いし、番組内部のいざこざを実況中継しても報道の使命を汚すようでもあり、逡巡しながら、ただ黙って目の前のデスクや窓の外に映る西麻布の夜景を睨み続けました。

2013-07-03 02:40:14
モーリー・ロバートソン @gjmorley

自分の中で電池がどんどん消耗していくような気分でした。でも、これは仕方がない。いや、仕方がないと諦めたら、何も変わらないぞ、この国は?…振り子のように訪れる破壊と破滅への衝動を抑え込むのがやっとでした。終わった後、また反省会がありました。ぼくは構成作家に怒った声で切れました。

2013-07-03 02:42:04
モーリー・ロバートソン @gjmorley

何を言ったのか、覚えていません。「おれにはおれのやり方がある。いやならこの番組を去ってもらってもいい」といった内容だったか?…しかし雰囲気において、ぼくに勝ち目がないことは、空気が読める人ならば誰しもが感じていたことでしょう。擬似生の新体制は「当面続く」ことになっていました。

2013-07-03 02:44:30
モーリー・ロバートソン @gjmorley

こういう番組を2回か3回やったタイミングで、ぼくはWeb1.0状態の自分の公式サイトに「告発の録音」を掲載しました。MP3が一般的ではなかったので、RealAudioという形式に圧縮した音声です。「えーっとぉ。今、ふとんの中で寝ながら話しているんですけどぉ」と、30分以上独白。

2013-07-03 02:46:16
モーリー・ロバートソン @gjmorley

意図的にだらだらとしたトークを続け、聞いている人が退屈するかな、というタイミングで、「今ちょっとした問題が起きていて、ぼくの番組で流れている声。あれ、本当の生放送じゃないんですよね。ボルシェビキって言ったんで共産党にJ-WAVEが叱られて、ぼくがJに叱られているわけで」

2013-07-03 02:47:52
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「まあ、いっかー、と。でも今後進展があるかもしれないので、しばらく報道としてはクオリティー落ちちゃうかもしれないんですが、そのへんご容赦いただいて聴いてもらえると、幸せかな?」といったトーンで語った「おしらせ」をサイトに掲載。確かRealAudioファイルへの直リンクでした。

2013-07-03 02:49:22
モーリー・ロバートソン @gjmorley

その数日後。編成トップからパソコンにメールが届きました。「すぐに打ち合わせがしたい」という一文でした。局に赴くと、ついたてに仕切られた会議スペースに案内されました。編成部トップとナンバー2が並んで座り、ぼくは番組からの即時降板を言い渡されました。

2013-07-03 02:51:34
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「なぜ、こんなことをしたの?筋を通さなきゃいけないと思ったの?」と聞かれましたが、返事をしませんでした。

2013-07-03 02:53:03
モーリー・ロバートソン @gjmorley

会議の直後、ぼくは「この瞬間」を体に刻み込んで忘れないようにするため、西麻布三井ビルの18階から1階までの階段を、一段ずつ踏みしめて降りて行きました。エレベーターを使わなかったのが初めてでした。

2013-07-03 02:53:08
モーリー・ロバートソン @gjmorley

このまま、この件を週刊文春に持ち込んで「激白」するか?日本共産党、日共と戦争するか?たった一人で?そんなことして、何になる?業界からの激しいバッシング、外国人であることなどに対しても攻撃を受けた時にわざわざ相手になるのか?逆にJ-WAVEと共産党を題材に小説、書く?

2013-07-03 02:54:44
モーリー・ロバートソン @gjmorley

怒ったような、興奮したような、でも爽快感があり、今までに感じたことのない大人の味わいを骨董通りで満喫しながら、ふわっとした気持ちで歩いていました。こんなにネガティブで不調和なのに、なんか、おれ、今輝いてる。楽しい…なんだろう、この風は?

2013-07-03 02:55:45
モーリー・ロバートソン @gjmorley

これがジャーナリズム?これ、ドキュメンタリー?「今、おれという選択」?複雑に変幻するエモーションはことごとくグラデーションのようにつながり、落とし前をつけるのなら、大きく行こう。そう、「羊達の沈黙」のあの博士のように。鉄格子の中からでも。しかし、やるのなら、奥深い満足がほしい。

2013-07-03 02:58:38