私専用の

「フランケンシュタインの花嫁」後日談的小咄、あるいはデイリー『神様』ライフ(ぷ)
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犬子 @27000hz

昨日おととい #ディスコード で暗いものばかり投下したので、今日はちょっとばかりファンシーにいくよ!くるよ!(くーるーきっとくるーきっとくるーさーだこはしろー)

2013-07-16 18:29:09
犬子 @27000hz

先の鞘だけの休みは、一日工作をしていたようだ。微かに塗料や接着剤らしき匂いを漂わせた室内がそれを物語っていたが、何を作ったのかと問えば、ほんわりたのしげに微笑んで「夏休みの宿題、の前倒し、ですよ」と。めったに隠し事がないだけに無闇と気になるが #私専用の 

2013-07-16 18:36:02
犬子 @27000hz

こんな笑い方をするときは絶対に口を割らないから、お披露目を待つほかはない。指先に塗料らしき朱色が僅かについているのを恨めしい気分で見ていると、「一人で作ったんですよ。私だってやればできるんです」とどこか誇らしげに云う。「だから何を」「ないしょ」 #私専用の

2013-07-16 19:47:53
犬子 @27000hz

昨日切ったばかりの爪がところどころ欠けていたり、朝よりいくらか荒れて切り傷もある手をそっと包むと「私、頑張ったんですよ?」と珍しくねぎらいを強請るが、何を頑張ったのかすら分からない。「だって私専用の、ですから」どうやらお披露目も怪しいかもしれない #私専用の

2013-07-16 19:53:11
犬子 @27000hz

そんなこともあったな、くらいの数日後、先に帰室してだらだらくつろいでいると、なにやら思いつめた様子で鞘が帰って来た。些少な所持品(鞘はあまり物欲がない。心配になるほどに)の奥からなにやら取り出してきて、「お願いがあります」と神妙な顔で言う #私専用の

2013-07-16 19:57:36
犬子 @27000hz

はいはい、と膝這いして寄ると「そこに正座してください」。何かやらかした記憶はないが。ごそごそと紙袋からミニチュアのようなものを数点取り出すと、「これ、持っていてください」と鈴に寄り合わせた絹紐がついたものを渡される。細工物か、と思う目の前に #私専用の

2013-07-16 20:02:23
犬子 @27000hz

小さい箱と赤い模型のようなものが置かれる。箱には「賽銭箱」と書かれている。赤いスタンドタイプの模型らしきものは、この間通りすがりに鞘と立ち寄った場所にあったものによく似ている。「よし」と案外男らしく一言を落とすと鞘は一礼して100円玉を小さな箱へ投げ込む #私専用の

2013-07-16 20:07:03
犬子 @27000hz

鈴を鳴らし、そしてぱんぱん、と拍手。「かしわで、というのです」とこの間立ち寄った処でも云っていたなと思い出す。そして一礼し「蓉を高校にいかせてやりたいと思っていますが和人が渋って邪魔をしています。和人を上手く説得して言いくるめられないように頑張ります」 #私専用の

2013-07-16 20:10:58
犬子 @27000hz

ああ、やっと得心がいった。「それは、俺にも説得を手伝え、ということなのか?」と問えば「いいえ?」と不思議そうな顔をする。「だって神社は己の決意を『神様』に宣言して、頑張る決意を立てる場所ですから。あくまで頑張るのは私自身でしょう?」また霧に巻かれた気分になる #私専用の

2013-07-16 20:20:17
犬子 @27000hz

賽銭箱、なるものを持ってみれば結構な小銭が先客だったらしく、割に重たい。要するに、『お参り』は比較的日常、だったらしい。部屋の片隅で、自分の目に触れない時間帯にでも、このおままごとみたいな道具達は活躍していたのだろうと思い至れば、なお納得がいかない #私専用の

2013-07-16 22:02:29
犬子 @27000hz

おねだり、でなければ、どうして今日に限って自分を飾って『お参り』なのか。そんな気持ちはやはり顔に出たようだ。「どうしてもかなえてあげたいから、『負けてしまう』わけにはいかないんです。だから、ずるいかなと思ったけれど、相手が相手だから『私専用の神様』に誓おう、って」#私専用の

2013-07-16 22:09:11
犬子 @27000hz

「私の『世界』に誓うのだから、今まで和人にどこか遠慮して、言い分を押し通せなかった自分じゃなくなれるかなって」紅い蝶の翅のような睫毛を伏せ、また上げると「貴方を都合よく使いたいわけじゃないんです」と少し不安そうに見つめてくる #私専用の

2013-07-16 22:27:12
犬子 @27000hz

実際、緒方という男は優しげな面はしているが随分なオニアクマでもあり、ああは云ったが、めったに頼みごともしてこないを通り越して、全てが終わってから「実は」と言い出す水臭い、本当の『神様』のお願いなら聞くにやぶさかではなかったが。そういえば頑なに固辞するのも鞘だった #私専用の

2013-07-16 22:39:11
犬子 @27000hz

だから「そうか。頑張れ頑張れ。時々泣いても頑張れ」と、神社セットごしに胸元に引き寄せた頭をぽふぽふとしてやれば「…頑張れます。だって私には『専用の神様』がいるんですから」と紅い髪の『神様』は可愛いことを囀るのだった #私専用の

2013-07-16 22:50:57
犬子 @27000hz

しかし、小銭のあの重量分、これまで何を願っていたのか。それにしても今日みたいに『お参り』すればいいのに、と、やはり引っかかる疎外感を隠さずに云えば、耳まで真っ赤に染めて「絶対、云えません!」と云うのは、いつか話してもらおう #私専用の

2013-07-16 22:56:53
犬子 @27000hz

たつさや。「私専用の神社と、神様」。『神様』だって願い事があり、『人間』として誓いを立てたり。リカちゃんハウス的なコンパクト神社セットはコメリかなんかで材料仕入れて、ちきちき作っておよその原価7500円 #私専用の

2013-07-16 23:07:07
犬子 @27000hz

というか私が書くとたつきのひとの決まり過ぎないかっこよさが85%減なので吐血。佐竹さんごめんなさい(遅いよ) #私専用の

2013-07-16 23:19:05