【twitter小説】ニェスの蛇の巣#4【ファンタジー】

大迷宮『ニェスの蛇の巣』の物語はこれで終わりです。メルヴィとクシュスの旅はまだまだ続きます。小説アカウント @decay_world で公開したファンタジー小説です
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rikumo 516view 0コメント
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  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:17:38
     ニギミニアはとうとう玄室へと辿りついた。途中メルヴィとクシュスが消えたのが気になるが、辺りを捜索しても見つからなかったので先を急いだのだ。玄室の扉は路地裏にあるような木製の小さな扉で、弱弱しく門灯が光っていた。 127
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:23:07
     ノックしてみたが反応は無い。意を決し中に入ってみることにする。鍵は開いていた。そこにはやはり民家のような小さな部屋があり、床に医者らしき老人が倒れていた。彼はすでに死んでいた。部屋は荒らされた跡は無く、彼女が最初の来客に思えた。 128
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:28:55
     部屋には奥へと続く扉が一つあった。奥から微かに機械音と、何故か森のような匂いがする。この部屋にレニシェルはいないようだった。奥にいるのだろうか? 扉を開けてみると、そこにはやはり森があった。 129
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:33:38
     森……いや、玄室という名にそぐわない巨大な植物園がそこにあったのだ。天井はガラス張りで、いくつか消えているものの照明が眩しく植物を照らしている。地面はレンガが敷き詰めてあったが、苔生して絨毯のようになっていた。南国の植物が所狭しと生えている。 130
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:38:14
     いくつかの植物はニギミニアの身長より高く、視界を遮っていた。緑をかき分け進んでいくと、小さな広場があった。そこに……安楽椅子に座っている、彼がいた。レニシェルだ。ニギミニアはこのとき10年ぶりに彼の顔を見た。 131
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:43:17
     レニシェルは長い黒髪に簡単な黒い服を着ている。彼は寝ているようだ。苦悶の表情は時折歪んでいた。……生きている! ニギミニアはうっすらと涙を浮かべ、彼の傍に立った。そして優しく彼の名をつぶやいた。 132
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:48:05
    「その声はニギミニア……どこにいるんだ、ここは暗くて寒いよ……」  彼は幻影に苛まれているようだった。ニギミニアはやさしく彼の頬に触れた。すぐさま術返しの処置を始める。 133
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 16:54:47
    「うう……眩しい。そうか、使者が来たんだね」  レニシェルはゆっくりと目を開けた。いまだ呪いの影響下にあるが、意識を取り戻したようだ。 「ニギミニア……なのか? 随分……大人になったね」 134
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:00:06
    「レニシェル様、いま助けてあげます。本当はミクロメガス様の力を借りたかったのだけれど、このニギミニア、命に代えてもこの恐ろしい術を破壊します」 「君では無理だ」  レニシェルは目を閉じ、弱弱しくつぶやく。 135
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:04:53
    「安楽椅子の下に杖があるだろう、それはミクロメガスの物だ。彼の使者ならばその杖を使いこなせるだろう」  ニギミニアは安楽椅子の下を見る。するとそこには一本の杖が隠されていた。エメラルド色をした不思議な金属で出来ている。 136
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:10:46
     その杖を手に取った瞬間、持ち手が急激に熱せられる! 「あっ」  ニギミニアは思わず杖を手放してしまった。杖は苔生した床の上を転がっていく。 「はは、君ではだめだよ……」 137
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:15:24
    「これは……ミクロメガス様の置きみやげですね」  はっとしてニギミニアは杖の転がった方を見る。するとそこには……クシュスが立っていた。クシュスは杖を拾おうともせずそこに立っている。 「そうさ、君は彼の使者だね」 138
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:20:38
    「クシュスさん……いつの間に!」  レニシェルは以前ミクロメガスが訪ねてきたときの話をした。ニギミニアも知らないことであったが、彼はこの玄室に現れたらしい。そして魔除けとしてあの杖を置いていったというのだ。 139
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:25:07
    「ミクロメガス様は昔から色々と根回しをするのが好きなんですよ。いつか役に立つと計算して、様々な魔法物品を各地にばらまいています」  クシュスはそう言う。 「はやく、レニシェル様を助けてください、クシュスさん!」 140
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:32:28
     ニギミニアは焦るが、クシュスは相変わらずニヤニヤ笑うばかりだ。 「これはミクロメガス様の力無くしては使うことができません。ミクロメガス様は先程力を使ってしまったようなので、その力が届くのを待ちましょう」 「何を悠長な!」 141
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:38:36
    「大丈夫ですよ。力は手を伸ばせば届くのですから。ねぇ、メルヴィ」  その瞬間、玄室の壁が粉砕される! 植物園に転がり込んでくるのは……ミノタウロスの石像の首だ。そして大きく空いた穴からよたよたと歩いてくるのはメルヴィそのひとだった。 142
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:45:05
    「勝てるとは思わなかった。力が沸いてきて、自分じゃないみたいに動けた。気付いたら……倒していた」  催眠状態のようなぼんやりとした声でメルヴィはつぶやいた。ニギミニアは思わずメルヴィに抱きつく。 143
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:50:08
    「ああ……ニギミニアさん。ここは……みんないたんだ。よかった……」  涙を浮かべるメルヴィ。ニギミニアはレニシェルを助けてほしいとメルヴィに訴える。メルヴィはふらふらと杖に歩み寄った。 144
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 17:56:41
     杖を拾うと、杖は発熱することなく緑に輝きだした。クシュスはそっとメルヴィに近寄ると、耳のそばで小さく呪文をつぶやく。メルヴィの瞳孔が開き、青いオーラが彼女の足元に渦巻いた。 145
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 18:00:05
     そしてレニシェルの胸に手を置くと、杖を掲げた。エメラルド色の光と青いオーラが渦巻き、玄室は光に包まれた。そして……呪いを打ち砕いたのだった。 146
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 18:05:14
    ――『ニェスの蛇の巣』 エピローグ
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 18:07:46
     結局その杖は呪いの反射で全ての力を失い赤く錆びた屑鉄棒になってしまった。その杖を貰う予定らしかったのだが、これも予定のうちかもしれないとクシュスは笑うばかりだった。今回レニシェルの命を救ったことで特別に資金援助を受けてもらうことになる。 147
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-15 18:12:25
     ニェスの駅のホームには帝都に向かう様々なひとで混雑していた。もちろんチケットは高額なのだが、ニェスは裕福な街なのだ。旅人はみな高級なスーツや腕時計を身につけているが、そこに場違いな女二人がいた。 148

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