霧島艦隊赤城轟沈

ツイッターの霧島艦隊内における赤城轟沈事件を元に、艦むすを失った提督の哀しみを表現したとかなんとからしいデース
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谷風 @Tanikaze_DD

「赤城さん、やっぱりここにいたのね。弾薬庫や物資保管庫にいなかったから、ここだと思った…」 霧島はドックで高イビキをかいている赤城に、そう声をかけた。 「別の赤城さんって言っても、貴方はやっぱり赤城さんね」 霧島の頬を熱い何かが零れ落ちた。 「今度こそ…貴方を守るから…」

2013-07-22 18:50:43
谷風 @Tanikaze_DD

「むにゃ…。ご飯の時間ですかぁ…?」 「ご飯の時間ですね」 目を覚ました赤城は霧島を見ると怯えた表情を浮かべた。あんなに強く責めてしまったのだ。無理もない。 「さっきはごめんなさい。貴方が遠くに行ってしまった私の親友にあまりにも良く似てたから、取り乱してしまいました…」

2013-07-22 18:54:25
谷風 @Tanikaze_DD

「赤城さん、良かったら私と、もう一度仲良くしてくださいませんか…」 「もう…一度?気にしてないので、謝らないで下さい」 そう、この艦は、あの赤城さんではない。それでも、もう一度と彼女へと想いを伝えたくなる自分を抑えられなかった。 「私は霧島です。艦隊の頭脳と呼んで下さいね」

2013-07-22 19:00:11
谷風 @Tanikaze_DD

「霧島さん。私に似てる親友さんを、とても好きだったのですね」 大好きだった親友の笑顔が脳裏によぎ り、霧島は奥歯を噛み締め感情を押し込めた。そうしなければ、また感情が爆発しそうだったからだ。 「ええ、とても…」

2013-07-22 19:06:43
谷風 @Tanikaze_DD

「大食らいで良く寝て慢心していて。それでいて、とても仲間想いの優しい艦むすでした」 霧島の言葉に赤城は赤面した頬を膨らませ、慢心なんてしてませんと否定した。 「それでは食事の席でまた会いましょうね。お騒がせしました」 そう言い残し、立ち去ろうとした霧島を赤城は引き止めた。

2013-07-22 19:10:50
谷風 @Tanikaze_DD

霧島が振り返ると、赤城は弁当箱を二つ取り出していた。 「寝起きは手製のお弁当を食べないと我慢できない性分なのですが、霧島さんもいかがですか?」 これから補給に入るというのに、間食は正直したくなかったが、赤城の弁当に懐かしいものを感じ、霧島はそれを受け取った。

2013-07-22 19:13:56
谷風 @Tanikaze_DD

「美味しい…」 「嬉しいです。私のお手製ですよ」 赤城の弁当は、沈んでしまった彼女の弁当と同じ味がした。逝ってしまった親友とは別艦かもしれない。想い出は消えてしまったかもしれない。それでも、失ってしまった赤城との時間は、きっと取り戻せる。 霧島は礼を言い、ドックを後にした。

2013-07-22 19:20:01
谷風 @Tanikaze_DD

もし大切な艦を失っても、これだけは覚えていて欲しい。同じ艦は二隻といない。過ごした時間と思い出は還らない。それでも諦めないで。同じ魂を持つと艦むすと新たな絆を結べるはずだ。きっと沈んでしまった、あの子もそう願っているのだから。 霧島は、おかえり赤城さん、と呟いた。 『お終い』

2013-07-22 19:31:56