みそひともじと140、短歌221B。

ばら @baranoibarano

「シャーロック。」「……。」「おい、シャーロック。」「……。」「…。まったく。彼にバイオリンを持たせると、いつもこうだ。何をイメージして弾いていることやら。………それにしても本当に良い音色だ。」＊目を閉じて音だけを聞く映画にも光はあってそれを見ている /山崎聡子 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「じろじろ見るなよ。落ち着かないだろ」「気にするな、ただの観察だ。趣味と言っても差支えない」「僕が飯食ってるところを凝視するのが？いい趣味をお持ちで。君も何か食えよ」「結構。僕は満腹だ」＊サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず／佐佐木幸綱 #短歌221B

ばら @baranoibarano

マインドパレスから戻ると、ジョンが倒れていた。また病院にカンヅメだったに違いない。ヒゲの伸び方とシャツの汚れ、洗濯物の量からして今回は３日ってとこか…。綺麗なのは玄関とハドソンさんの部屋だけだな。＊めざめれば棺のような部屋だろう玄関に挿す百合の香みちて /佐藤りえ #短歌221B

ばら @baranoibarano

「シャーロック、…きみ何日食事をとってない？」「75時間24分31秒だ、ジョン。」「3日以上じゃないか…！唇が紫色だぞ。」「…そうか。」「今すぐ栄養をとれ…。買い置きがないから、何か注文するぞ。」＊星の夜ふたり毛布にくるまって近づいてくるピザの湯気を想う /穂村弘 #短歌221B

キュウ @acutefever

@ikenami221b 「ねえ、ジョン、もう帰りなさいな」「えっ？」「またシャーロックと喧嘩したんでしょ？急に夜景を見に誘ってくれるから驚いたけど」「…ほんとごめん」「うふふ…いつものこと！」＊きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり／永田和宏 #短歌211B

キュウ @acutefever

@ikenami221b 「ジョン、ビスケットがない。脳には最低限のブドウ糖が必要だ」「君も一応人間だったんだな」「しかし君が買う安物には不」「ビスケット買いに一緒に散歩にいくか？」「…」＊先に死ねばやはりこの人は困るだらう金ではなくて朝のパン夕べの飯に／河野裕子 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「あはははははは、ジョン、くすぐったい」「おい笑うなよ！ヤードの奴らに聞こえないように話せって君が言ったんだぞ」「お前ら遊んでるなら帰れよ」「ほらシャーロック、グレッグも呆れてる」「あはははは」＊樹の葉噛む牝鹿のごとく背を伸ばしあなたの耳にことば吹きたり／早川志織 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「ジョン、夏のダイサンカクって何だ」「どしたの急に」「知らないと言ったらアンダーソンに笑われた。不要な知識だろうが馬鹿にされるのは我慢できない。さぁ教えろ！」「君って難義なやつだなぁ」＊あまい香のめまいの中の子どもの問い――きんもくせいってどんな惑星？／佐藤弓生 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「冷蔵庫に遺体を入れるな！風呂場に標本を置くのも勘弁してくれ。バクテリア培養も結構だが牛乳は補充してほしい。ああもう、君との暮らしは滅茶苦茶だよ」「でも悪くないだろ？」「…何で嬉しそうなんだよ」＊こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ／穂村弘 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「薬局に寄ろう。石鹸も歯磨き粉も無いんだ」「ご自由に。僕は先に帰る」「OK、君の好きなノンシリコンシャンプーは買わないからそのつもりで…グレッグどうかした？」「お前らマジで一緒に暮らしてんだな…」 ＊今日風呂が休みだったというようなことを話していたい毎日／俵万智 #短歌221B

池波 @iknm_221b

「ジョン見てくれ！ヘモグロビンだけに反応して沈殿する試薬が完成した」「後でね。サラとデートだ」「これより面白いものなんてあるか」「僕だけに反応して顔を赤くする女の子のほうが面白いんだよ。行ってきまーす」＊柔肌の熱き血潮に触れもみで寂しからずや道を説く君／与謝野晶子 ＃短歌221B

キュウ @acutefever

@ikenami221b 「…ったく…連絡くらいしろよ…」「潜入捜査をしている間は自分の携帯は使わない」「君はいつもじゃないか！…へくしゅ！うう…もう春なのに夜は冷える…」「飯いこう」「…珍しいな」「僕は腹は減ってないが」＊清水へ祇園をよぎる桜月夜今宵会う人皆美しき／与謝野晶子

池波 @iknm_221b

「ねぇ、僕言ったよね。傘もキャブに乗る余裕も無いから病院まで迎えに来て欲しいって。何で手ぶらで来るの？しかも何で財布も忘れるの？2人共びしょ濡れじゃん」「不要な情報だと思って」「頭の中どうなってるの？」 ＊雨だから 迎えに来てって言ったのに 傘も差さず裸足で来やがって／盛田志保子