『月見里日誌』（呉鎮守府の一室より発見さる）

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 ってゆきました。机上演習では十分に勝算のある決戦です。鎮守府の結界はまた、深海の姫たちの力を大きく削いでいるはずですから。それでも私は、この部屋を離れる気になれません。 / 十二時を回りました。「川内」の声が聞こえないことに、酷く違和感をおぼえます。

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#月見里日誌 細やかながらお茶会を開いた。彼女たちにお酒を飲ますわけにもゆかない。高いお店でご馳走しようかとも思ったけれど、なにぶん、自分で動かせるお金はあまりない。せいいっぱい頑張ってフルーツパーラー。第二、第三の子たちには内緒よと。ただ、隠し切れないだろうという気はしている

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#月見里日誌 のだけれど。**と**以外の面々とあうのははじめてで。**さんと**さんは、いかにも軍務に慣れている様子だった。**は、以外なほど普通だった。「利根」の口調に違和感があるとか。頑張ってほしい。**は……「羽黒」とそう変わらない。彼女も頑張ってほしい。そうだ。頑張っ

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#月見里日誌 て。あなたたちの人生は、まだまだ長いのだから。あなたたちの倍も生きていない私が言える台詞ではないけれど。でも、そのように願いたい。祈りたい。力を尽くしたい。

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#月見里日誌 南方航路を転戦。カムラン半島沖にて、敵艦隊と幾度かの交戦したが、被害状況が尋常ではない。式の触媒用ボーキサイトが物凄い勢いで目減りしてゆく。艦娘は保護される演習と雖も弾薬は浪費されるため、演習であってもボーキサイトは減ってゆく。「蒼龍」は申し訳なさそうな顔をする

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#月見里日誌 けれども、実の所は出撃せず基地に居られる時間が少し伸びたことに、僅かな安堵と喜びを覚えている私がいる。だめだ、いけない、こんなことでどうする。私が確りしなければ、彼女たちはどうなるのか。 夏休みが近い。書く出講停止願の枚数が減ったぶん、いくらか気が楽になる。

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#月見里日誌 本日一人の未帰還者。 / 「赤城」慣熟訓練中、鎮守府第三海域にて、深海棲艦と遭遇。「白雪」、及び****、帰らず。 / 私は

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#月見里日誌 「白雪」さんは我艦隊が稼働し始めた直後から所属していて、鎮守府周辺海域では、ずいぶんと手助けしてもらっていました。 / まだ挨拶をできていませんでした。 言い訳です。私には何ができるのか。 / 「川内」がドックからもどってきます。どんな顔をしていれば

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#月見里日誌 / 「川内」 / **は、「川内」は、あなたの誇りを、取り返してくると言ってくれました。バシー島沖の戦域へ、第一艦隊が出撃し、はや半日が経とうとしています。今は午前○○時。「川内」の時間です。結界外縁を超えた先のバシー島には、本来の戦闘力を備えた敵艦隊が遊

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#月見里日誌 弋しているとのこと。作戦目標は、敵主力艦隊。「川内」どうか無事で≠≠≠ 似合わないことを書きました。「蒼龍」さんに替わってやってきた「赤城」さんは、言葉は力になると言われていました。「雪風」の口癖はそういことだったのでしょうか。ならば私が刻めるのは一つだけです。

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#月見里日誌 / 暁の水平線に勝利を刻もう。 /

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#月見里日誌 紀26**/**/** 月見里** 記 我艦隊は、羅盤の快調にも助けられ、オリョール海戦域を突破。南方戦線最大の激戦区である沖ノ鳥島海域への航路を開拓した。オリョール海域における決戦時、大破者３。うち一名は新任の戦艦「金剛」であり、「川内」も負傷者に含まれてい

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#月見里日誌 た。選良型とも称される、本来の性能を発揮したとも言われている深海棲艦。沖ノ鳥島戦域には、これが相当数遊弋しているという。私の仕事は、皆を十分に訓練させること。強がりを聞き逃さないこと。上からの圧力に耐えること。皆に、少しでも夏休みを使わせてあげること。皆で海へ行こ

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#月見里日誌 う。海は飽きているかもしれない。山？ といってもここからだと神社仏閣巡り。嫌いではないけれど仕事気分が抜けない気もする。そうだ。私の仕事はそれ。戦えないけれど。**は笑ってくれている。

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#月見里日誌 「隼鷹」に手伝いを頼まれる。符の清書作業。これからも頼むとのことで、確かに提督として着任した以上、そちらの心得はあるのだが。気安いのはありがたいかもしれない。 きょうは、第一艦隊の主要なメンバーが海戦で負傷したため、着任したものの訓練のみだった皆での出撃となる。艦

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#月見里日誌 霊の格は高いものの実戦経験はまだということで、わずかでも危険を感じたら即座に撤退するよう重々にお願いし送り出す。 / 南方戦線で選良種多数含む艦隊と戦闘の結果、被害甚大。それでも全員無事の雰囲気は、**さんの人徳だろうか。 ともかく、課題は多い。資源とか。

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 紀26**/**/** 月見里** 記 本日付けで大佐昇進の辞令が届く。**と「川内」が、お祝いにと一風変わった掛け軸を贈ってくれた。手作りだそうだ。どうするか思案したが司令室に飾っておくことにする。いい加減怪獣映画のポスターもないだろう。此処の処バシー沖を転戦

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 している。急務は沖ノ島戦域への補給線に楔を打ち込むことだ。我艦隊に未だ力不足するは明白なれど友軍の援護に努めぬ理由なし。深海棲艦はその名に反し、活動領域に海上の輸送路を必要とする。領界拡張という意味があると推測されているが詳細は不明。なれど此戦に意義はありだ。とこ

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 ろで「金剛」が来てからずいぶん本営が騒がしくなった。「川内」とよくじゃれているのを見る。宿直室にどちらが入り浸っているとか、どちらが来ても歓迎するというのに。高等学校時代の寮生活で慣れているから、多少狭いくらいは気にしない。さすがに二人来ると艤装は外して欲しいが。

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#月見里日誌 紀26**/**/** 月見里** 記 東武オリョール海転戦中、第一艦隊よりの通信途絶。蒼白となるも鎮守府全体が騒然としており、通信障害の生じた由。深海棲艦の新兵器でないかという声もある。それはない。はずだ。彼らはあくまで人の嘗て残したものをなぞる。 / な

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#月見里日誌 んてことだ。通信障害は自然現象。ただし悪い予想は当たっていた。敵主力と衝突し、「金剛」「榛名」大破。他の成員に被害はないが、事実上第一艦隊が行動不能。意図しない短期休暇となる。**と**、「榛名」と「金剛」には悪いけれど。 / 「川内」と「金剛」が司令室に入

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#月見里日誌 り浸っている。「金剛」と**さんは、ギプスを吊って松葉杖をつきながら良い紅茶まで持ち込んできた。それに伴い入れ替わり立ち代り艦娘と依童たちが出入りしており、護衛から戻った「那珂」がいま、大変にやかましい。尚、紅茶は結局私が淹れた。日東粉紅茶より遥かに美味しい。

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 それにしてもこうしたときに、彼女らが艦娘であることを思い知る。どこへ消えるのかもわからない大量の鋼材は「金剛」と「榛名」のために消費されるのだと。理屈ではわかっていても目にすると衝撃であり、艦隊の帳簿が勢いよく目減りしていく。「那珂」には悪いが頑張って遠征して貰わ

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#月見里日誌 紀27**/**/** 月見里** 記 沖ノ島戦域の動向は予断を許さない。我艦隊も何度か直接砲火を交えるも、旗艦型と称される（厳密に言えば旗艦ではない。しかし多くが旗艦として行動している）等級の深海棲艦との交戦結果は[_______] 彼我の戦力比率の問題で、最

里村邦彦 @SaTMRa

#月見里日誌 近では夜戦を仕掛ける余裕すらない。「川内」は少しどころではなく不満そうで、たまったうっぷんを演習相手に叩きつけている様子。相手にまた菓子折りでも贈らないと。彼女らの長期休暇をふたつ挟もうかという時期、「金剛」さんと「榛名」さんも夜勤室に入り浸りだ。遠慮がなくなって