米国の反人身取引団体が宣伝するおかしなデータについて

エミコヤマ @emigrl

ちょっと人身取引について日本語で書かれていることを調べてみたら、反表現規制論者の「アメリカでは規制されているのにこんなに人身取引がある」みたいな発言が大量に見つかった。その「こんなに人身取引がある」というデータがおかしいのに、それを前提に「規制は意味が無い」という話になってる。

エミコヤマ @emigrl

アメリカで人身取引についてひたすらセンセーショナルな数字を出して、本当に必要な対策とは違う方向に政策を向けている人たちと、日本で規制を進めようとしている人たちは、だいたい同じ人たちでしょ？なんでこっちで困った活動をして問題を悪化させている人の発言を、肯定的に紹介しちゃうの？

愚民Artane.🦀サルに、謝れ。🇷🇺☭🇺🇦＠Fランωツイッタラー／コロナは風邪じゃない @Artanejp

@emigrl どうもです。確認なんですが、「アメリカで人身取引が沢山」と世論を煽ってきた人達の意に従う形で、先日FBIが大規模捜査を敢行したら、全然そんなことはなくて検挙できなかった。と言うのが、今までの流れですよね？

愚民Artane.🦀サルに、謝れ。🇷🇺☭🇺🇦＠Fランωツイッタラー／コロナは風邪じゃない @Artanejp

@emigrl これは、そういう通説を反表現規制に使ってきた人のミスだと思うのですが、人身取引問題がそういう構図だった（要はマッキノン主義の亜流みたいな人たちがうそをついてた）ことは、ここまで知らなかったのではないかと思います。エビデンスがあると騙されてた #hijitsuzai

エミコヤマ @emigrl

@Artanejp そんな新しい話じゃなくて、ずっと前からそういう状況です。でも１００人「救出した」と言えば、大勢救われた、もっとやらなければ、という世論になるので、「全然そんなことはない」という結論には至っていない。

エミコヤマ @emigrl

わたしにもいちおー「性的人身取引の被害にあった子どもを救う」活動をしている団体の中にも知り合いはいるので、話は入って来ているんですけど、「救出」された子たちは、非行少女として施設に拘束されているのと、あるいは家出してきた元の場所に連れ戻されたケースが多い様子。

エミコヤマ @emigrl

家に戻された人たちの多くは、また家出しちゃうだろうね。そもそも家出した理由が解消されたわけじゃないんだから。施設に入れられた人は、まあちょっとなにか更生プログラムとか受けたうえで、出てきて、元の状況に戻るのではないかと。

エミコヤマ @emigrl

売春に関わる未成年たちは、悪い奴らに強制されてやらされている、と考えるから、一斉摘発で「救出」するという発想になるわけ。でも実際、DV被害者が加害者の元から逃げないのと同じ程度には、かれらはかれらなりの理由でそういう状況に自分を置いている。

エミコヤマ @emigrl

本人の意思を無視して、DV被害者を強制的に「救出」してシェルターに入れれば解決するのかよ、という話。解決するわけがないよね。シェルターから出たら加害者の元に戻るに決まってるじゃん。厳しい状況で売春している未成年だってそれと同じ。

エミコヤマ @emigrl

えっと、ちゃんと言うと、おかしなデータとかイデオロギー的なところで正統性を与えているのはマッキノン亜流の人たちなんだけど、アメリカにおける反人身取引運動を進めている本当の推進力は「宗教右派」と「財源や権限の拡張を目指す警察」です。 @Artanejp

エミコヤマ @emigrl

たとえば、最近行った、ある人身取引についての集会では、パネリストは全員警察関係者だったのだけれど、会場からは「人身取引は性教育によるセックス推奨が原因」「妊娠中絶が広まったことによる文化の変化が原因」という主張が多く聞かれた。警察の人はそれにとくに反論はしない。

エミコヤマ @emigrl

せっかくだから、性的人身取引団体の明らかにおかしなデータをいくつか紹介。１）「売春をはじめる年齢は平均１３歳」これはすでに詳しく反論を日本語で書いたのでこれ参照 http://t.co/L4j3xgW1CI →

エミコヤマ @emigrl

２）「全米で毎年１０〜３０万人の子どもが犠牲」は間違い。この数字も先のリンクで紹介したEstes & Wienerによるけど、これはあくまで「人身取引の被害を受ける『リスクがある』人数」として書かれている。その時点ですでに大きく間違っている。→

エミコヤマ @emigrl

→そして、その数字は、さまざまな「リスクが高そうな」集団の規模に、どこから求めたか明らかでない「どれくらいリスクが高いか」を掛けあわせた数値。たとえば「トランスジェンダーの子」は１００％リスクがあるとされている。ってなにそれいくらなんでも違うだろ！→

エミコヤマ @emigrl

→さらに、たとえば「公共住宅に住んでいる」というリスクファクターと「トランスジェンダーである」というリスクファクターは別の集団であるとして計算されるけど、当然「公共住宅に住んでいるトランスジェンダー」だっているわけ。→

エミコヤマ @emigrl

→たくさんのカテゴリにわたって、そうして重複して該当する人が複数回カウントされている。

エミコヤマ @emigrl

３）「家出した未成年の１／３は４８時間以内に売春させられる」は間違い。そもそも家出する子の大半は、４８時間以内に帰宅しますｗ この数字は、ある家出少年少女支援団体をソースとして挙げられることが多いのだけど、その団体自体が「そんな調査知らないよ」って言ってる。→

エミコヤマ @emigrl

→ではどこから来た数字か。オハイオ州にある、あるストリートユースのためのシェルターで行った調査によると、調査した女子の１／３は家出してから調査時点までのいつかの段階で、多くは他の女子から、売春しない？と誘われた。それしか、それらしい調査は見当たらない。→

エミコヤマ @emigrl

→女子の１／３だから、家出した少年少女の１／６程度ということになるし、そもそも彼女たちが売春したというわけじゃない。「あなたもしない？」と誘われただけ。そして、ほとんどは断っている。第三者によって強制的に売春させられた人は、それよりさらに少ない。

エミコヤマ @emigrl

４）「◯◯という街は、人身取引の中心地だ！」という主張。これ、わたしが調べた限り、全米で３０を超える街について言われていますｗｗｗ 要するに、各地の団体や警察や政治家やメディアが、てきとうなデータを元に、そう主張しているだけ。だってそうしたら予算が入るんだもの。

エミコヤマ @emigrl

５）「ワールドカップやスーパーボウルなど大きなスポーツイベントにより、何万人の女性や子どもたちが自身取引されている！」は間違い。ドイツでは、ワールドカップの少し前に売春が合法化されたのだけれど、それに危機感を感じたドイツの反売買春派が言い始めたこと。→

エミコヤマ @emigrl

→実際、ワールドカップの前後に、さまざまな国際機関やメディアや非営利団体や研究者が調査したけど、人身取引が以前より増えたという根拠はいっさいなかった。人身取引について通報するホットラインにすら普段より多く通報があったわけではない。→

エミコヤマ @emigrl

→ところがその後も、ワールドカップやオリンピックのたびに同じことが言われる。笑えるのは、スーパーボウルの時にもまったく同じデマが広まること。ワールドカップは１ヶ月にわたってある国の各地で多くの試合が繰り広げられるイベントだけど、スーパーボウルってたった１日、１試合だけだよｗ→

エミコヤマ @emigrl

→どう考えても、ワールドカップとスーパーボウルで同じ規模の売買春が起きるとは思えないのに、反人身取引運動は、まったく同じ数値を「これだけ人身取引が増えると危惧される」と宣伝する。そもそも事実に興味がないとしか思えない。→

エミコヤマ @emigrl

→でもそのせいで、もともと黒人女性やトランスジェンダーの女性に対する警察による嫌がらせやでっちあげ逮捕が頻発するニューオーリンズでは、スーパーボウルの前後に警察が増員され、たいへんなことになっていた。