【腐：T&B】自作倉庫【#同題二次TB】

伽哉 @muon_kaya

「そんなに言うなら、証明してみせろよ」あまりにもしつこい告白につい挑発を返せば、有無を言わさず肩を掴まれた。殴られるかと思いきや、マジックペンが額を走る。逃げ込んだトイレで見たのは、書き殴られた愛の言葉と証明終了の文字。まだ、白旗は挙げたくない。〈Q.E.D.〉 #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

復帰後、バニーが何やら数字を羅列しているのを時折見かけるようになった。「美しい数式に心を落ち着かせてもらうんです」歌うようにペンを走らせる横顔で四十路の心を惑わせておきながら、何を言うか。数Ⅱで白旗を挙げた俺には、さっぱりわからない。〈Q.E.D.〉 #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「いーかぁ、ヒーローにとって睡眠時間ってモンはなあ！」文字通りへべれけになった旧友は、生意気な後輩の愚痴を吐いていた筈だった。「僕がサポートしますとかそんな問題じゃねーんだよ、抜かずの３連発とか俺の腰も」「もう勘弁してくれ！」どうしてこうなった。〈寝不足〉 #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

泥酔した彼の肌は、驚く程に熱かった。暑そうだ苦しそうだと言い訳をこじつけては、触れる箇所も時間も少しずつ暴いていって。「あとは、あなたが目を開けるだけなんですよ？」ひくつくそこへあてがって、返答のない寝顔を覗き込む。どうやら、まだ〈寝不足〉の人日々は続くらしい。 #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

甘美な夢を見るのは、決まってバニーの家で酔い潰れた時だ。口内で高められ赤く染まった脳裏のどこかで酷く淫らな水音がして、息も止まるほどの衝撃が体を襲う。堪らなく心地が好い。「こてつ…さん、本当は、起きているんでしょう？」夢はまだ、夢のままで。〈寝不足〉 #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「ねむいです」「……寝ろよ」シャワーを浴びて満腹になって、重くなった瞼を彼の肩口に押し付ける。温かい掌が近付くのを感じ、髪を梳かれるに任せて目を閉じた。「ほーらっ、布団入れっての」呆れたフリをしながら、どうやら彼は眠たげな僕を甘やかすのが好きらしい。<寄り添う> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「やめ…ますか」僕を収めた彼の瞳から溢れた涙が、腹部を濡らす。いやだ、やめんな。僕との関係に時折表情を曇らせる理由は恐らく、彼女だ。敵う筈のない相手に、身を引く覚悟は端から出来ていた。「夢じゃないんだ、バニー。またこんな風に触れ合えることが、幸せで」<夢じゃない> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

夢で会えたら。形振り構わず暴れ回って、そう願い夢に落ちた夜は数え切れず。けれど夢でさえ、彼女に会うことは叶わなかった。「俺…ずりぃよな…」鈍色の指輪を滲む視界に捉え、ついそんな戯れ言が漏れる。自ら年下の相棒へ乗り上げ、腰を振るこの現実は、紛れもなく。<夢じゃない> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「夢…か」酒の勢いで彼を抱くという浅ましい夢から目覚め、込み上げる申し訳なさに唇を噛んで自室の天井を睨む。「言っとくけど、夢じゃないからな」突如挙がった反論に飛び起きる。唖然とする僕に、珍しく怒り顔の彼は二の腕を指差した。「これ、俺が引っ掻いた痕」<夢じゃない> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

雨宿りだと引き込まれた軒先。掴まれた腕を振りほどくタイミングも逃し、服越しでさえ目眩を覚えるほどの掌の熱度に、唇を引き結んだ。「こてつ…さん、」耳元の吐息に身体が震える。恐らく融けているだろう翡翠の瞳さえ捉えなければ、きっと。雨はまだ、止みそうにない。<やみ> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「あー、なんかアイス食いたくなってきた」僕の両足の狭間から、彼はふいにそんなことを言う。「お願いですから、かじらないで下さいね？」面白がってぶちまけたジェルの酷く甘い香り。どーかなぁ。ソフトクリームでさえかじる彼の意地悪い笑みに、ぞくりと背筋が泡立った。<バニラ> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

どのくらい入れればいいんでしょう。バニラエッセンス片手に首を傾げるバニーへスプーンを差し出せば、案の定5,6滴垂らしたそれを何の疑いもなく口へ運ぶ。「苦っ！」涙目を指差して笑えば、吐息さえ奪う勢いで噛み付くようなキスをされて。「あまい…」「どっちだよ」<バニラ> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「今、何してた？」「…寝てました」電話口の不機嫌さを隠しもせず、それでも調子を合わせてくれる年下の恋人が可愛くて仕方ない。「なぁ、ちゅーしてぇんだけど」足を絡ませ、上掛けを捲ってキスをねだる。同じベッドで電話を掛け合う、なんてバカな真夜中の戯れ。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「あなたの声が聞きたくて堪らなくなって」彼の迷惑は承知で、真夜中に電話をかけた。大丈夫だとたった一言、染み込んだ声が酷く愛しくて、胸が痛い。「…そうか、僕、あなたのことが好きだったんですね」突如切られた通話に、僕は慌ててベッドを飛び出した。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「すみません、寝てましたよね」着信音で叩き起こされ、それでも大丈夫だと返せば電話口に安堵の吐息。「ふと目が覚めたら…あなたの声が聞きたくて堪らなくなって」溶けそうに甘い声が、耳朶へ染み込む。どうか、この無垢なうさぎが、己の抱く恋心に気付きませんように。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

躊躇うようなコール音は、決まって１回半。その僅か約３秒の間に、彼はこんな真夜中の電話を悔やみ、僕はベッドを抜け出す。救いきれなかった命に、寝付きが悪くなるのは僕も同じ。けれど、悲しみの分け合い方をしった今なら。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

暑苦しさに目が覚めた。キングベッドに男二人、何もそんなに引っ付くかなくとも。胸板へ額をぴったりと貼り付け、両腕でがっちりと抱き寄せられた上半身に、絡み付いたお互いの足。「全く、バニーちゃんは甘ったれでちゅねぇ」お前、どんだけ俺のこと好きなんだよ。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

ふと、目が覚める。気付けば自分は彼の腕に抱かれていて、その心地好さに知らず頬が緩んだ。「こんな幸せでいいのかな」髪へ触れる吐息が、心までくるくるとくすぐったい。「なあ…友恵」確かに呟かれた三文字に、つんと鼻の奥が痛んだ。まだ、夜明けは遠い。<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

ふと、目が覚める。同じベッドで体温を共有していた目の前の身体を腕の中へ収めて、そっと息を吐く。「こんな幸せでいいのかな」抱かれて、抱き締めて、愛し合って。鼻先を埋めた金糸からはシトラスが香り、爪先までぬくぬくと心地好い。「なあ…友恵」<午前三時> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

恋人がBBJだったらなんていう雑誌記事に、つい「バニーちゃんは俺ンだぞー」なんて戯れ言がこぼれ落ちた。いやいや、ないない、今のナシ。自らの妄言に苦笑すれば、視界へ差し出された缶コーヒーと見慣れた指先。「はい、あなたのバニーです」あああ…<穴>があったら入りたい！ #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

「ナカに…出す、な」脚を掴み直した僕に何かを察したのか、彼は顔を押し付けていた枕から片目を覗かせてそんなことを言う。赤い目尻に呼応して、埋め込んだ自信が彼を苛む。女性のそれとは違う箇所へ吐き出す行為に、その表現は不釣り合いだ。「いっそ穴なら、良かったのに」<穴> #同題二次TB

伽哉 @muon_kaya

未送信メールを開いたままの携帯電話を忘れたことに気付き戻った時には既に遅く。僕が部屋へ飛び込むなり、立て続けに鳴り響いた彼の着信音。「…軽蔑、しましたか」こんな幼稚な欲求、届けるつもりもなかったのに。声を震わす僕へ、彼はただ自分の携帯電話を突き出した。<メール> #同題二次tb

伽哉 @muon_kaya

ふと忘れられた二つ折りケータイに気付き、何気なく開いたそこへ表示されていた文面とその宛先に目を見張った。騒々しい物音に顔を上げれば、しまったとばかりに血の気の引いたバニーの顔。ついもう一度その未送信メールの宛先を確認してから、俺は送信ボタンを連打した。<メール> #同題二次tb

伽哉 @muon_kaya

華麗な連携プレーで犯人を確保出来た後、美味しくお酒を飲み交わした後、彼との賑やかな時間と終えてふと1人になった途端、喉元へ競り上がる言葉があった。「好きです」「愛してます」「僕のものになって」子供染みた欲求がまた、未送信フォルダへ溜まっていく。<メール> #同題二次tb

伽哉 @muon_kaya

新規メール画面を開いて、さてどんな用件だったか。突然のド忘れに、これじゃあバニーに年寄り扱いされても仕方ないと頬を掻く。用件を思い出せはしないかと、指先を彷徨わせた。「愛してるよ」無意識に打ち込んだ本音。莫迦らしいと一蹴して、未送信フォルダへ追いやった。<メール> #同題二次TB