大阪支部失踪事件編

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【前回までのあえあすじ】渋谷区殺人事件にて浮上した謎の名前「ウィンストン」槙島はグソンのみを協力者とし単独捜索に出る。一方で多発した監察官及び執行官の失踪事件による人員不足の穴を埋めるため、一時的に大阪支部へと派遣された宜野座、佐々山、そして槙島は失踪事件の真相に挑むこととなった

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大阪支部刑事課】ギノ「槙島、佐々山、至急現場に向かう…」佐々山「ん？いま局内放送あったっけ？」ギノ「いや…今回は俺たちだけで捜査することになった。本部からの命令だ。被害者は…」槙島「公安の人間…察するに失踪していた監視官かな」ギノ「そのとおりだ。大阪支部の人間とも協力関係はない」

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佐々山「大阪支部のやつら、うるさくいうんじゃね？」ギノ「仕方ない、俺たちにはどうすることもできないからな。とにかく現場に向かう」槙島「…現場は？」ギノ「難波のスラム街だ、遺体…というよりも一部と言った方がいいか…」槙島「ふむ…」 http://t.co/6hhKxZ1LKX

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難波スラム街朽ちた地下クラブ跡】佐々山「おーおーこれは…よく身元がわかったなあ」ギノ「ドローンで遺伝子解析をした」佐々山「食ったあとの焼き魚みたいになってんな」ギノ「…あまりそういう表現をするな」槙島「…詳しく見ても、いいかな？」ギノ「かまわん、気づいたことがあったら話せ」

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手袋をし損傷の激しい遺体を観察する槙島「衣服を含む遺留品は一切なし。それどころか柔らかいところもなくなっているね」ギノ「？」槙島「佐々山執行官の表現はあながち間違ってはいないのかもしれない」佐々山「…うえ」槙島「ふふ、美味しそうなところばかりだ」顔しかめたギノ「カニバリズムか」

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槙島「鋭利な刃物でそぎ落としたような傷跡だ。遺体をバラバラにしようとしたわけじゃない。顔は頬、脳髄、なるほどね…」佐々山「けどよ、一応監視官だろ、ドミネーターだって携帯していたはずなのになあ、油断していたのか？」槙島「どうだろうね…例えば今、宜野座監視官をやろうと思えばできる」

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ギノ「なにを言っているんだ」槙島「例えだよ、ドミネーターの携帯は問題じゃないっていう説明だ。みたところこの監視官はあまり肉体を鍛えてはいないようだし、そこそこ腕に覚えのある者なら襲うことができるという話だよ」佐々山「じゃあ、あとの監視官たちも誰かの胃袋に収まってる…なんてな」

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ギノ「行方不明の監視官はこの遺体を含めて二名、そして執行官は一名だ」佐々山「執行官には首輪がついてんだろ」ギノ「それは南港付近で通信が途絶えたそうだ」槙島「その執行官の経歴はたしか、元はイタリアンのコックだと書いていたな…この腹身、パンツェッタにどうだろう」ギノ「パンツェッタ？」

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槙島「ベーコンだよ。執行官のデバイスを外すには二つ、決められた手続きを行う、もしくは腕を切断する」佐々山「自由を手に入れるために腕とったってか？」槙島「佐々山執行官、君がこの肉体から肉をそぎ落とすなら、どうやる？」佐々山「は？…こうやって（左手で押さえ右手で切るふり）こうかな」

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槙島「そう、どちらかの手でしっかりと体を固定させるね。そうなれば手の形をした死斑が残る、しかしこれを見てくれ」ギノ「押さえた感じはするが手の形というよりも太い棒で押さえたような痕だな」槙島「時期的に義手も手にはいならない、この痕はなにを物語るのかな？」佐々山「なるほどね」

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ギノ「そんな馬鹿な、脱走した執行官が監察官を食べただと？」槙島「まず執行官が逃げ出し、そして監視官が失踪した」ギノ「だとしても監視官を襲うメリットはなんだ、脱走してカニバリズムの欲望に負けたとしても一般人を襲う方が理にかなっている」佐々山「ギノせんせー、普通に考えちゃいかんよ」

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佐々山「俺たちを人間と思うなっつーたのはギノせんせーだろう」ギノ「だとしてもだ…」槙島「そこは捕まえて本人に聞き出すか、いや、その前に執行されてしまうかな…この世界では真相は二の次だからね…まあ、理由はともあれ容疑者の狙いは監視官、もしくはそれに準したエリートの可能性がある」

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佐々山「…それって、つまり…ギノせんせーも？」ギノ「なに」槙島「だろうね、ただ彼が失踪してから僕らが派遣されたわけだから宜野座監視官を知っているとは限らない」佐々山「でも知らないとも限らない、だろ」槙島「もちろんね」ギノ（…食われる？）佐々山「その執行官と面識なわけ？せんせ」

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ギノ「俺には…その記憶がないが…」槙島「宜野座監視官になくとも彼にはあるかもしれない。用心に越したことはない」佐々山「せんせ、俺が守ってやんよ」ギノ「……俺は大丈夫だ。どちらにしろ捜査をやめることはできんのだからな」槙島「さて、この遺体を片付けたら次はどうする？」

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ギノ「その執行官の捜索を最優先だ」佐々山「大阪支部には言うの？」ギノ「…」佐々山「大変だこりゃ」ギノ「次の犠牲者が出る前に捕まえる、それだけだ」佐々山「ふうん、しかしなんでまた急に脱走しようと思ったんだろうなあ」槙島「脱走は珍しいことじゃない、が、そこは詳しく調べてもいいかもね」

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遺体を搬送し、公安車両の中で会議する三人】ギノ「執行官が失踪したのは7月2日、麻薬組織の摘発のために大阪市部総動員で南港の隠れ家に踏み込んだ。そのとき監視官の一人が執行官がいなくなったことに気がつきGPSで捜索したが南港の港で消息を立ったという。デバイスが落ちていたこともない」

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佐々山「もみくちゃの中、絶好のチャンスとなったか？にしては浅はかだな」槙島「しかし実際に彼は逃亡に成功している（シビュラはそれに気づいているのか？だから僕たちだけに捜査を？だがなぜ気づいた…演算処理能力のおかげか）」ギノ「どうした」槙島「なんでもない、気づいたことは話しているよ」

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佐々山「それでもなー急に逃げ出して腕切り落とすまでの度胸はあるか？道具はどうする」ギノ「お前たちに携帯が許されている装備で腕を切り落とせるものはないな」槙島「そうなんだ…逃亡しどこかで見つけたとしても無計画すぎる。宜野座監視官、大阪市部の分析官も使えないのか」ギノ「残念ながら」

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槙島「なら僕たちで執行官の通話記録などを調べるか？ 一応外部との通話はすべて録音されているとは言え面倒だな…」佐々山「ぼくはそういうのできません」ギノ「おまえたち…」槙島「仕方ない、僕の便利な文房具を使おう」佐々山「本当に便利な方ですね…猫型ロボット並みですね」

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グソン『はい、旦那しばらく待ってください』ギノ「この執行官、普段は支部の奴らとうまくやっていたそうだ」槙島「仲間が脱走したとは思えず失踪扱いか…もしかするとどこかで気づいていたのかもしれないな、しかし仲間を疑う罪悪感に負けたんだ」ギノ「…愚かだ、それにより被害が…」槙島「…」

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槙島「宜野座監視官は僕を執行することができるかい」ギノ「は？」槙島「僕じゃなくてもいい征陸、縢、六合塚…彼らが脱走するとき君は撃てるのかな、エリミネータモードでも」ギノ「当たり前だ」槙島「ふむ」佐々山「あの、そこに、俺の名前が入ってないのはワザと？思いやり？」槙島「さあ」

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グソン『お待たせしました、外部との通話記録はほとんどありませんね…ネットではゲーム、レシピサイトをメインで閲覧していますよ、そちらに閲覧履歴を送りましょう』槙島「すまないね、ネットもそんなに頻繁に使っているわけではないようだ」佐々山「ゲームで知り合ったやつとか」

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槙島「オンラインゲームも執行官はできないはずだ、ね、宜野座監視官」ギノ「ああ、それで縢に文句を言われたんだ、だからお前と狡噛が縢のゲームにつきあっているんだろう」佐々山「付き合ってやってる感じはしねえけどな…自分がやりたいだけだろ」槙島「否定はしないけれど…あとはレシピサイトか」

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槙島「レシピサイトに掲示板などがあっても執行官は常に監視されている…逃亡の計画などできないはずだが……（レシピサイトの掲示板を片っ端から眺める」佐々山「腹減った、ジャージャー麺食べたい」ギノ「その図太さは呆れを通り越すな」佐々山「通り越した先は尊敬？」ギノ「それはない」

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槙島（人は表面的な感情だけを抱き続けるわけじゃない、なにかきっかけがあれば昇華し通り抜けた向こう側に辿り着くことがある。例えばレシピを語り合っているだけに見えるこの掲示板のコメントも誰かにとっては美味しそうを通り抜けたなにかを抱くかもしれない…執行官ならなおさら…なんて…ん？）