きみは溝口和洋という男という男を知っているか? /世界陸上モスクワ 2013 記念

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sp @nurarinop

溝口和洋って元やり投げ選手のノンフィクションを上原善広の「異形の日本人」で読んだ。彼の陸上界から、忌避され、誤解を受け続けた無頼な態度、極端なトレーニング法や奇抜な思考と奇異な投擲術、そうした彼の全てに度肝を抜かれた。なんなんだ。こいつは。

2013-05-24 15:34:18
sp @nurarinop

彼の日本記録は未だに破られていない。「やりを誰よりも遠くに投げること」というシンプルな目的から、思考を開始し、既存の技術や練習方法は全て検討し直した。そうして奇異なガニ股気味に走り抜ける彼独自の投擲フォームを編み出す。

2013-05-24 15:38:54
sp @nurarinop

スタート時の猫背姿勢はモーリス・グリーンが、後に採用する10年以上前の80年代の段階で、溝口は実践していた。「なんで短距離の奴ら、こう走らんのかなーって、ずっと思っとった」。彼の魅力はそのぶっきらぼうな語り口にもある。

2013-05-24 15:41:26
sp @nurarinop

「外人に対抗すべく」苛烈なウエイト・トレーニングを自身に課す溝口。「疲労?だいたい疲労ってなんやねん。そんなもん根性で克服できる。死ぬ気でやったら人間、不可能はない」と、自らの実践の上で、「根性論は正しい」という結論に達した。

2013-05-24 15:47:00
sp @nurarinop

現在も一般的な多くの指導者が掲げる「大きな筋肉を使おう」「末端の筋肉はリラックスさせる」というトレーニング理論を溝口は真っ向から否定する。「一番大事なんは末端や。デッド・リフトにしても、大事なんは握ってる手と足先。末端を意識して鍛えるんや。そうすると、全身の神経回路も発達する。」

2013-05-24 15:54:23
sp @nurarinop

“ベンチプレスも、背筋群と腹筋を総動員するフォームで行う。末端を意識し、握る手先には特に力を込め、足のつま先にも意識を集中させる。スクワットでは、肩甲骨を意識して寄せる独特のフォームで行っている。つまり、ウェイト自体が、やり投げをしているのと同じように意識して行われているのだ。”

2013-05-24 15:58:35
sp @nurarinop

溝口和洋「わしはプロはどっちかというと、細く長くやらなあかんやろ。わしは違う。あとはどうなってもいいから、一瞬でも世界の頂点いきたいだけなんや。そういう意味ではアマチュア。」

2013-05-24 16:01:43
sp @nurarinop

溝口和洋「陸連ってなんやねん。グランプリも知らんし何もしとらんくせに、金ばっかり持っていきよる。わしのCM出演料なんか、ほとんど陸連が持って行ったんやぞ。人の足ばっかり引っ張りよるし、あいつらただの金取り団体やないか」溝口の先駆的体験が、後の有森裕子らのプロ宣言へと繋がっていく。

2013-05-24 16:05:02
sp @nurarinop

溝口和洋「80メートル台の記録で日本選手権連覇とか、しようと思えばできた。せやけど、そういうことは嫌いなんや。一瞬に賭けたい。世界のトップにしか興味がなかった。なんとかもがきながらも練習は続けたけど、そういう極限状態での勝負は、もう無理やとわかった」

2013-05-24 16:08:23
sp @nurarinop

溝口はやり投げを引退したあと、パチプロ(スロット)に転向する。か、狩撫麻礼だ…

2013-05-24 16:10:13
sp @nurarinop

溝口和洋「俺は、やり投げしてたからか指先が敏感でな。振動の波長を感じ取って、『出る』てわかるんや」「俺の人生やから関係ないやんけ。高野(進、東海大。400mバルセロナ五輪八位)なんかも『オリンピックに出た者が…』とか、訳わからんこと言うてきよったけど、あいつ、かなりアホやからな」

2013-05-24 16:16:15
sp @nurarinop

室伏広治の指導で中京大学に来ていた頃、日本記録保持者でありながらただの怖いおっさんと思われていた頃、日本トップ級の実力の学生選手は、溝口の練習方法とその量に驚き、こう訊いたという。「溝口さん、私の大学四年間はいったいなんだったんでしょう」「お前の四年間か。わしの二時間じゃ。」

2013-05-24 16:20:33
sp @nurarinop

溝口はタバコを吸う。それを公言する者は皆無だった。日本選手権に出場したとき、溝口は国立競技場でもタバコをふかしていた。食事にしても「ホカ弁にラーメン・ライスです」と公言。海外遠征時は毎日、ハンバーガー。「食事なんかしっかり食っときゃそれでええ。後はプロテインとビタミン剤で十分や」

2013-05-24 16:24:02
sp @nurarinop

溝口和洋「女も面倒くさい。あれは口説くまでが楽しいんや。極端な話、セックス中もこの動きをやり投げに応用できんかなて、そんなことばっかり考えとったな」

2013-05-24 16:25:50
sp @nurarinop

上原「やりを投げていないら今のあなたな何ですか」溝口「わし?わしはただの燃えカスかな」上原「あなたがいま故郷に帰ったとしたら、誰も思い出さなくなるかもしれないですね。それが怖くないですか。溝口「それの、なにが怖いねん(笑)」

2013-05-24 16:29:36
sp @nurarinop

溝口和洋のやり投げ日本記録は未だに破られていない。彼は指導したやり投げの三宅貴子と結婚し、パチプロを経たあと、故郷の和歌山で農業をやっている。No.1無頼アスリート。

2013-05-24 16:30:39
flagflag @flagflag

上原善弘「異形の日本人」。槍投げの日本記録保持者の溝口和洋が極限まで指の末端を鍛え上げた結果、その研ぎ澄まされた感覚を活かしてパチプロで生活しながら室伏の指導をしていたというエピソードが激アツ。などと世界陸上見ながら。

2013-08-13 02:15:32