343日目 (8/13/2013)、ユウリさんとのお別れ

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 真夏の焼けつくような日差しを避けて、郊外の森へと足を運んだ。以前スモモの木がひっそりと自生しているのをみかけたのだ。うまくいけば実が手に入る。夏バテしている人たちに届けたいと思いながら下草を踏みしめた。「あれ？」以前と異なる道なのだろうか？「迷ったかな」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 毎日の病院勤務がないと時間を持て余す。連軍に言われるまでもなくそれは正直本当だった。あてもなく森の中をひとり散歩する。小屋にこもっているよりも、風に吹かれて森の中を歩いている方が涼しくて多少は快適だった。ふと見覚えのある人影に気づく。「ユウリさん？」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 名を呼ばれて振り向いた先には紫苑さんがいた。「え、し、ドクター、こんなところで……お散歩ですか？最近病院でもお会いしないというか辞められたように伺ったのですが……もしかしてお身体が？」働きづめだった彼女の姿を思い出して不安になった。

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「うん、散歩だよ。病院をやめて、正直時間をもてあましていて」とユウリさんに向かって微笑む。「私は元気だよ。それよりもユウリさん、体の調子はどう？前回会った時にHZ化したと聞いたから、その後が気になっていてね」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「館に行かれるとか、そう言う理由でおやめになったんじゃないんですね、良かったです。 ええと、体温がとても低くて暑さが堪えるのと、代謝速度は落ちていそうなのに怪我の治りが良くて変な感じです。でも……おかげでいいこともありますから」彼と、一緒にいられる。

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@ktosawa 「それはじきに慣れるよ。暑さはしょうがないね。普通の体でも今年の夏は正直堪える」と笑って。「病院をやめた理由はね、実は秘密にしておきたいんだけれど、そろそろ街を離れることになった。街を出る前に、ユウリさんに会えてよかった」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「そっか、しょうがないですか…暑さのせいで食品が腐りやすいですが、トマトは甘くなってますから…え、そうなんですか！？」叫びそうになって自分の口をふさぐ。「そうですか、おめでとうございます。あれ？冬海さんこの街の出身と仰ってたような。紫苑さんの故郷へ？」

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@ktosawa 「ありがとう。でも私に故郷と呼べる場所はないよ。子供の頃から引っ越し続きだからね」と苦笑して。「最終的にどこに落ち着くかは決まっていない。いずれはどこか静かに暮らせる場所で小さな病院でもやれればな、とは思っているけれども」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「ああ、それならばどこか腰を落ち着けた場所が、お二人の新しい故郷になるのかな。楽しみですね。病院……落ちつかれたら是非ご連絡下さい。どうなるかわかりませんが、就職の面接に管理栄養士が一人行くかもしれませんよ？そうでなくても開院のお祝いをもって伺います」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「でも秘密ってことは手紙のやりとりとかもナシなのかな。幸せにお過ごしだと信じて、この街か実家周辺で暮らします。あ、良かったらこれ、実家の住所です」懐のメモから綺麗な部分を切り取り書きつけて渡す。「父が弁護士なので、お手伝いできそうなら声をかけて下さいね」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「そうだね。しばらくは旅行三昧の予定だからね。落ち着き先が決まったら、この住所に手紙を送らせてもらうよ。もしユウリさんが就職の面接に来たら、採用は確約する」くすりと笑って。

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「新婚旅行もまだでしたものね。世界中を回って、一番素敵な場所を探して下さい。でもきっとお二人で暮らせるならそこが一番なんだと思うので、幸せなお二人を訪ねて必ずいつか伺います」 笑いながら「じゃあ料理の腕と野菜作り、もっと上達しておきます」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「出発は２６日だけど、こっそり出る予定だから見送りはいらないよ。だから、会えるのはここでは最後になるかもしれない」そしてユウリさんの目を見て。「本当にいろいろありがとう。病院でもそして結婚式でも。ユウリさんには言葉で言い尽くせないほど、世話になったね」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 出発も秘して出ることを踏まえれば、自分には与り知れぬ事情があるのだろう。その中でこうして話してくれたことで十分だった。 「では、お見送りには伺いません。26日にヘリを見たら手を振っておきますね。あの、私こそお世話になりましたし、色々立ち入ったことを…」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「そうだったっけ？ユウリさんには世話になりっぱなしだった気がするけどな。病院にいる間は、毎日ユウリさんの作ってくれるごはんを食べていたし。…… あの病院に詰めてた時期も、いまや良い思い出だ」と笑って。

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「ああやって作った野菜を役立てられる場があった事が支えになりました。何か生産してないと死臭の溢れるこの街では辛すぎましたから。この街で人の命に寄り添う強さを見せて下さってありがとうございました」深く一礼する。「どうか、これからもお健やかに」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「ありがとう、ユウリさんもね」と彼女の手を両手で握る。その手は、かつての自分の手のようにひんやりと冷たかった。「なにか身体上の問題があったら、病院に今度来る新しい医者、如月に相談すると良いよ。私の資料は全部彼に託していくし、彼の医者としての腕は確かだから」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「お知り合いの方ですか。それなら安心して御相談できます。…街の外はそれなりに落ちついているんですね、お医者さんを派遣できる程度には。脱出された焔煬さんと黄花さんが心配でしたが安心しました。一年経ってなおこの街は殲滅もされないまま。日本じゃないみたいです」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs （注：殲滅もされないまま一見状況もかわらないままでただ続いているこの状態、そして何ら救助の手が来ないことが日本らしからぬような、というニュアンスで）

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「でも、そうやって人が新しく来て、少しずつ変わっていけるなら、この街の未来もまだ捨てたものじゃないと思えます。きっと如月先生……？はそういう期待を背負わされますよ。大変だろうな」今はくすくす笑う余裕がある。それもドクターや皆が命がけで築いた尊いものだ。

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「どうだろうね。彼はそういうことを気にするかな。私も実は彼にはすごく期待しているのだけれど」こちらも笑って。「ユウリさんは前に比べて、ずいぶん落ち着いたように見えるね。HZになって良かったというのも変だけれど、君にとってはきっとそうなんだろうね」

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「泰然とした人じゃないとこの街のお医者さんは務まらないかも」何か楽しみを見つけたようで嬉しくなる。 「落ちついたというなら、ようやく報われた……からでしょうね」恥ずかしいけれど、そう告げておこう。「あの頃の私を助けて下さって有難うございました」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「私が何かしたかな？」と微笑んで。「報われたというなら良かった。ライトさんだっけ。彼とお幸せにね。本当は花束の代わりに何か贈るとかできたら良いのだけれど」HZの彼らにどんな未来が待ち受けているかはわからないが、彼らが２人でいられる時間がなるべく長く続けばと願う。

koto @ktosawa

@MaricaYM_zs 「花束よりも素敵な、花嫁姿を見せて頂きましたよ？それに花束は黄花さんからも頂きましたので十分すぎるほどです。むしろお餞別に何も差し上げられなくてすみません」言葉を切って俯き「やっぱり寂しいな。嬉しくて喜ばしいのに。でも今日お会いできて良かった。お元気で」

まりか＠午後卓民、新規卓は来年１月〜。 @MaricaYM_zs

@ktosawa 「ユウリさんもね」そう言って、ユウリさんの顔をちょっと見つめてから軽くハグをした。「じゃあ、またね。外で待ってるよ」