音響監督・長崎行男氏の選曲に纏わるアレコレ
アニメの音響監督です。たまに、実写映画の音楽プロデュースもします。声優志望の方々にアドバイスなどもしていますが、基本は演出家としてのスタンスですので、身になるかどうかは本人次第ということで。
ついでだし、暇なので、選曲に纏わるアレコレを少し書いてみます。 あるシーンに、どの曲を当てるか、ということはもちろん重要なのですが、前後のシーンとの連動で、どこから始めて、どこで終わるのかも大切です。 シーン、シーンにブツ切れに当てると、単調だし、体感時間が長く感じるのです。
2013-08-14 16:26:04よって、2つのシーンに跨がるように曲を置いてみたり、次のシーンに少しコボすようにしてみたりします。 また、曲のスタート位置はシーン頭から入れる場合もあれば、登場人物のセリフを受けて入れる場合もあります。 スタート位置によって、曲の持つ意味が変わってきたりするので、これも大切です。
2013-08-14 16:32:02そして重要、かつ、楽しい選曲の作業は、曲のどの部分をシーンのどこに当てるか、ということです。 これは音楽メニューを書く時に心掛けているのですが、1曲の中に様々な要素が入るように、予め作曲家にお願いしているのです。 ポップス的なインスト曲よりも、劇伴の曲は表情の変化が必要なのです。
2013-08-14 16:41:11例えば、戦闘シーン。 撃ち合いや爆発の時はイケイケの派手な音楽が盛り上がるのですが、その最中に、コックピット内での会話が挟まったりします。 この時、曲を終わらせるのではなく、曲の静かな部分が来るように調整するのです。 そして、再び、戦闘シーンに戻れば、音楽も派手な部分に戻します。
2013-08-14 16:47:32もっと繊細な調整もあります。 そんな中で、奇跡的な偶然が起こったりするので、選曲作業は楽しいのです。 例えば、悲しいシーンでストリングス系の曲が流れていたとします。 主人公の頬に涙が流れる瞬間に、ピアノのフィルがポロンと鳴ったりするのです。 偶然ですが、感動は大きくなります。
2013-08-14 16:56:28昔、映像に合わせて、生で音楽録音をしていた時は、監督の要望に応えるべく、時間と競争しながら、譜面で調整をしていました。 サビのメロディーをもっと主人公の顔のアップに当てたい、なんて要望です。 そういう時は1小節が何秒かを測り、何小節足したり、引いたりすればいいかを考える訳です。
2013-08-14 17:03:38当時は時間と戦いでしたが、作曲家や指揮者、演奏者が揃っているので、その場での修正が簡単でした。 今は事前準備が完璧で、生楽器の録音時には打ち込み演奏が完成しているので、現場での直しは難しくなっています。 その代わり、ステムという手法で編集作業をやり易いように工夫しています。
2013-08-14 17:09:48そろそろ新幹線が東京に到着するので、選曲に纏わるツイートはこれまでにします。 また、機会があれば、思い付くことをつぶやいてみたいと思います。 ではでは(^O^)/
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