艦これ名作童話集1　『五十鈴デレラ』

宗像 智秋 (別称:訓練P) @DisciplinesP

『Lv12になったら魚雷と電探は流用、対空性能向上に使われて退役処分で普通の女の子になってしまうから気を付けるのよ』 と羅針盤の妖精に言われて海域に出撃して見事Lv12になったので撤退して 後日、対潜能力が同じだと第一艦隊に選ばれて幸せに暮らしましたとさ な五十鈴デレラ書けそう

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艦これ名作童話集　#五十鈴デレラ

宗像 智秋 (別称:訓練P) @DisciplinesP

むかしむかし、あるところにとても可愛らしくて、とても心優しい艦娘がいました。 でも悲しいことに、史実では彼女のお姉さんも妹たちも早くに戦没してしまいました。 1 #五十鈴デレラ

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そんな訳で彼女は新しい艦隊に配属され新しい仲間が出来ました。 ところがこの新しい仲間の艦娘たちは揃いも揃って大変な意地悪だったのです。 2 #五十鈴デレラ

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新しい艦隊旗艦は前からいた仲間よりも対潜能力の高い彼女が気に入りません。 「まぁ、お前は何て、憎らしい娘でしょう」 艦隊の艦娘たちはつらい遠征は全て娘に押しつけました。 それに娘は寝るどころか休むことも許してもらえず、着る服はボロボロでつぎ当てすらありません。 3 #五十鈴デレラ

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ドックに入る事も許してもらえず、彼女の顔はいつも煤で汚れていました。 そこで仲間は彼女のことを『煤にまみれてる』という意味で五十鈴と呼んだのです。 可愛そうな五十鈴でしたが、それでも彼女の対潜能力は、仲間たちの何倍も上でした。 4 #五十鈴デレラ

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ある日のこと、鎮守府の提督さんが追加戦力選びの演習を開くことになり、五十鈴の艦隊にも徴集令がかかりました。 「もしかすると、提督の秘書艦になれるかもしれないわ」 「いいえ。もしかするとじゃなくて、必ず秘書艦になるのよ!」 仲間たちは大はしゃぎです。 5 #五十鈴デレラ

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そんな仲間たちの支度を手伝った五十鈴は、仲間たちをニッコリ笑って送り出しました。 それから五十鈴は悲しくなって、シクシクと泣き出しました。 6 #五十鈴デレラ

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「ああ、わたしも演習に行きたいわ。山本提督や山口提督みたいな提督に会ってみたいわ」 でも、五十鈴のボロボロの服では、演習どころか鎮守府海域に入る事も許されません。 7 #五十鈴デレラ

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その時である。 「泣くのはよしなさい、五十鈴＝サン」 「……？ 誰？」 すると五十鈴の目の前に、魔女の格好をした妖精が現れたのである。 8 #五十鈴デレラ

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「ドーモ、五十鈴＝サン。 コンパスローズです。」 「ドーモ、コンパスローズ＝サン。……どうしてそんな言葉遣いなの？」 「この後何事も無く普通に戻るから気にしてはいけない。 イイネ？」 「アッハイ」 9 #五十鈴デレラ

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「お前はいつも仕事を頑張っている、とても良い子ですね。そのごほうびに、わたしが舞踏会へ行かせてあげましょう。」 「本当に？」 「ええ、本当ですよ。」 そういって妖精が杖を一振りすると―― 10 #五十鈴デレラ

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『何ということでしょう、 14cm単装砲は15.5cm三連装副砲に、 61cm三連装魚雷は三式爆雷投射機に、 壊れた21号対空電探は三式水中探信儀に、 匠の技でボロボロだった軽巡洋艦が対潜戦闘艦に生まれ変わったのです!!』 11 #五十鈴デレラ

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「うふふ、充分だわ。戦える!」 「さあ、五十鈴楽しんでおいで。 でも、Lv.12になったら改修されて酸素魚雷と対空電探を流用されて、対空性能向上の餌として普通の女の子に戻って退役しちゃうから、それを忘れないでね」 「ありがとう、妖精さん! 行ってきます」 12 #五十鈴デレラ

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鎮守府の演習海域には大勢の艦娘たちがいて、 みんな提督に気に入られて未来の第1艦隊旗艦になろうと伊号潜水艦を相手に戦っています。 そこへ、五十鈴が現れました。 13 #五十鈴デレラ

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彼女が演習海域に入ると、誰もがその装備のオーバースペックさに見とれて、あたりがシーンと静まりました。 それに気づいた若き提督が、彼女の前に進み出ました。 「よろしければ、私と共に戦っていただけませんか？」 14 #五十鈴デレラ

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五十鈴は対潜攻撃がとても上手でした。 彼女をとても気に入った提督は、ひとときも彼女を艦隊旗艦から外しません。 夢の様な楽しい時間は、あっという間に過ぎて、気がつくとLv.12目前です。 15 #五十鈴デレラ

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「あっ、いけない。……ベストな状態に戻してくるわね」 五十鈴は丁寧にお辞儀をすると、急いで演習海域を出て行きました。 ですが、慌てた拍子に爆雷投射機から爆雷を落としてしまいました。 16 #五十鈴デレラ

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幸い不発弾でしたが取りに戻る時間はありません。 五十鈴はそのまま最大船速で、母港に帰投しました。 五十鈴の後を追ってきた提督は、落ちていた爆雷を拾うと司令長官に言いました。 「私は、この爆雷の持ち主の娘を第1艦隊旗艦にします」 17 #五十鈴デレラ

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次の日、提督の使いが港を駆け回り、手がかりの爆雷を使いこなせる艦娘を探しました。 使いは、五十鈴たちの母港にもやって来ました。 18 #五十鈴デレラ

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『あの爆雷を使って潜水艦を沈めれば、私は第1艦隊旗艦よ』 五十鈴の仲間たちは爆雷を投げ込みましたがどう頑張っても潜水艦に命中しません。19 #五十鈴デレラ

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「残念ながら、ここには昨日の艦娘はいないようだな」 そう言って、使いが帰ろうとした時、五十鈴が現れて言いました。 「私も試してみていいかしら？」 20 #五十鈴デレラ

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それを聞いた仲間たちは、大笑いしました。 「何をバカな事を言っているの？」 「そうよ、あたしたちにも当てられないのに、あんたなんかに、」 Critical! 58ダメージ! 「「……あっ!!」」 21 #五十鈴デレラ

宗像 智秋 (別称:訓練P) @DisciplinesP

五十鈴が投げてみると、敵勢潜水艦は轟沈です。 皆驚きのあまり、口もきけません。 するとそこへ、あの妖精が現れました。 「どうやら、わたしの出番ね」 妖精が杖を一振りすると、五十鈴のみすぼらしい服と艤装が、たちまち昨日の光輝く対潜装備に変わりました。 22 #五十鈴デレラ

宗像 智秋 (別称:訓練P) @DisciplinesP

「アイエエエ!? ナンデ、五十鈴ガナンデ?!」 昨日の対潜戦闘で戦績トップの艦娘が五十鈴だった事を知って、仲間たちはヘナヘナと腰を抜かしてしまいました。 「おおっ、提督の心を轟沈させたお嬢さまは、あなたでしたか。さあ、鎮守府で、提督がお待ちですよ」 23 #五十鈴デレラ