第104期生訓練兵七番目の謎　～二千年を越えて輝く絆～

かごころ式 @kago2koro

「…古代遺跡トロストの端にはいまも訓練兵舎が残されています。そう、トロストの訓練兵といえば！第104期訓練兵が有名ですね。歴代の訓練兵の中で最も多くの英雄を生み出し、その中には巨人が紛れ込んでいたという、人類のターニングポイントを担った世代です」世界ふしぎ発見！

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「104期訓練兵の内、巨人も含めて成績上位の者は列聖、もしくはそれに近い待遇で名前が刻み込まれています。しかし、長らく『成績七番』だけ空席となっていました。『成績七番』の兵士のみ、トロスト奪還戦で命を落としたため、活躍がなかったせいなんですね…」

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「さて、ここである本の話に触れましょう。この本は自伝であり遺言状である、と一ページ目に記載されています。そうです。あの有名な、調査兵団分隊長の『ジャン・キルシュタイン』の直筆です。ジャン・キルシュタインの活躍は知らない方でも、この本なら読んだことがあるという方はいるはずです」

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『ジャンは104期訓練兵の中では一番最後にこの世を去った。それまで意識不明で食事や排泄すらままならなかった彼は突如死の淵で起き上がり、三日三晩かけてこの本を書き上げて息を引き取った』(ナレーション)

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「この本の一ページ目には、こう記されています。『我が心臓は親友に捧ぐ』。この『親友』とは、一体誰のことだったのか…近年まで議論が繰り返されました。かの知将、英雄アルミン・アルレルト説。巨人であり兵士であった怪物、エレン・イェーガー説。『人類最強』ミカサ・アッカーマン説…」

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「研究の結果、この三名の内の…誰でも無い、ということが判明したのです。ここで、話をもう一度『成績七番』に戻します。104期訓練兵は上位から、人類最強のミカサ、ライナー、ベルトルト、アニ、エレン、そして六番目にジャン…七番目の兵士の名はいまも正式にはわかっていません」

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「ジャンと七番の兵士は、とても仲がいい親友であったと周囲の発言や記録に残されています。英雄アルミンとも親しかったそうですが、先の説明の通りにトロスト奪還戦で命を落とし、列聖は叶いませんでした。なにより七番の彼は、熱烈な王制支持者であり憲兵志願者でした」

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(ナレ)『巨人を駆逐したのち、王制とそれを支えた憲兵は激しく批判され民衆から拒絶された』「憲兵志願者を列聖させる訳にはいかなかった、当時の時代背景がうかがえますね。巨人ですら後に功績が認められ列聖しているというのにそれはそれでふしぎな話です…」

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「本には一度だけ、『マルコ・ボット』という名前が記されています。所属兵科を決める日に彼が後押しした、とジャンは遺しています。周囲の記録からおそらく、成績七番はこの『マルコ・ボット』ではないか、と結論づけられました。座学に秀でた訓練兵で、血気盛んだったジャンを助けたそうです」

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「マルコはジャンの命を奪った悪霊である。いや、最後まで生きながらえた友を親友のマルコが迎えたのだ…ジャンの死後様々な説が飛び交い、マルコ・ボットの親族が彼の名を歴史から削除することで世間に謝罪をしたそうです。マルコさん、かわいそぉ〜…」ミステリーハンターの演技過多な感じ

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「ジャンの遺族たちが嘆願し、後にマルコ・ボットの英霊としての功績が認められ彼の名は回復します。親友の死から百年以上の時を経ていま、隣に並ぶことが叶ったのです。二人の墓には二人の体はありません。遺族はジャンの遺言に従い、彼をマルコと同様に火葬し散骨したからです」

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(ナレ)『この当時、自ら火葬を行うことは非常に珍しく理解され難いものではあったが、以降火葬し散骨する葬儀を「キルシュタイン」と呼び広まったという』「日本人の私たちならまだしも、彼らにとって体がなくなるというのは…復活を望まない、という意思表示に繋がります」

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「復活することなく、マルコを含む無辜の命と同一になることを選んだのだろう、とジャンの遺族は語ります。それだけ強固な『親友』でありながらジャンは生前、『マルコ』のことを語ることを拒んだそうです。彼らにしか理解できない絆が、二千年前のここに確かにあったんですね」

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ミステリーハンターがもはや廃墟と言った方が適切な遺跡となった、訓練兵舎を見上げて終わる。