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@tyayamanotanuki ノリキは、狸の上目遣いに全く興味を示しませんでした。それもその筈。報酬の対象+夕飯の食材、としかみなしていませんので。ノリキは大きく一歩を踏み出しただけで、アナタの腹を思い切り掴みました。もう、逃げ場も逃げようもありません。
2010-10-02 05:08:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
一方その頃、ダブルポニテ組である。「…ふむ、ここが『すき家』で御座るか」物珍しげに店内に続くドアを開けるのに、るるもその後を続く。「どこでもどうぞ」などと案内されて戸惑う彼女の手を、るるは勇気を出して取った。そして「ここ、座りませんか?」窓際。道の車の往来が見える場所。座った
2010-10-02 05:11:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
さて、我が家。「材料空じゃねえかあああ!」声を張り上げるが、誰もが知らん顔だ。「だーかーらー。御飯全く足りてないってのは、危機的状況だぞ…」『近くのコンビニ利用か、諦めて男食…じゃなくって断食継続、とか』「まぁ、ちょっと意識遠くなってきてるし。寝ちまってもいいかな…」
2010-10-02 05:14:39![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tyayamanotanuki ノリキは、獣臭い狸をとりあえず軽く水洗いして、何か臭いが更にきつくなった気がして後悔した。消臭剤を振ろうかと思ったが、しかしこれから食べることを思えば、そういうものを使うのは良くないだろう。だから、ノリキは我慢して、まずは依頼主の元へと持っていく
2010-10-02 05:16:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
依頼主は狸を見て唇の端を歪めて「は、みすぼらしい狸だ。バイト代は出す。…ありがとうな」それだけを告げると、シッシっと手を払うような仕草をした。どうやら、もう興味は無いからこの場から立ち去れ、という合図らしい。「ありがとう」とノリキはシロジロに告げて、立ち去った。
2010-10-02 05:18:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
さて、そうしてここはノリキの家だ。彼の弟や妹達が、狸を囲んで、最初は物珍しそうに。だが、段々とその伸びてくる手の力が強くなってくる。有体に言って狸は子供達の遊び相手になっていた。――少し離れた場所、エプロンをつけたノリキが台所で夕食の支度を始めている。どうやら、鍋、らしい
2010-10-02 05:20:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
アナタが居る部屋に、晩御飯の良い匂いが充満してくる。それに同調するかのように、部屋の子供達もテンションが上がっていく。子供達の中の一番の年長者が、「ほら、食器とか準備するよ」なぁんて声を掛けて、兄の料理を今か今かと待っています。しばらくして、ノリキは鍋をテーブルの中央へと。
2010-10-02 05:30:22![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
野菜や豆腐、ウィンナー辺りが沢山詰まった、簡素に醤油で味付けされたと思われる、鍋。ノリキがどかりと座り込み、そして手を合わせて、「「頂きます」」皆が声を揃えた。そして子供達が「わぁ」と箸で一斉に鍋を箸で突付く。中身は、あっという間に空になる。
2010-10-02 05:32:36![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
子供達は、「まだ足りないよ」とでも言いたげにノリキを見る。そしてノリキが、狸を見た。 ――あの、どうしますか?どうもしませんか? 1分だけ時間の余裕があります
2010-10-02 05:33:36![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tyayamanotanuki アナタは叫びました。「私を食べないで欲しいのよーぅ!もっともっと可愛がって欲しいのよーぅ!」それは、アナタの心からの叫びだったに違いありません。そしてその願いは、飢えた子供達の心には、――。
2010-10-02 05:37:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
――通じませんでした。そもそも食べるかどうかはアナタが決めることではありませんし、可愛がるかどうかを決めるのもアナタではありませんでした。残念。
2010-10-02 05:38:20![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tyayamanotanuki さて、子供達の番です。子供達はアナタをその小さな手で、耳やら腹やら尻尾やら、それぞれ思い思いの部分を掴むと、「私がー!私が抱くのー!」「いや俺!」「ちょっと待ちなさい皆。ご馳走様したの?」「このナマモノ臭いからお風呂で洗ってやろうぜ!」
2010-10-02 05:40:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そんな弟妹達の様子を、ノリキは微笑みとともに見つめています。「……今夜もお腹一杯食べさせてやることは出来なかったけど」お風呂場へと消えていくアナタを見つめて、「……頑張れ」それだけを告げると、夕食の後片付けに入りました。
2010-10-02 05:41:57