チャリア時報─海デート

チャリア時報-正月休み中 @charia_jihou

今日も験担ぎから始まる緑間が5時00分をお知らせします。今日のラッキーアイテムは用意済みだ、ぬかりはないのだよ。

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いつもと同じ時間に起きたもののちょっと時間に余裕があるのだよ。ジョギングがてら高尾の家の前まで来たら、今度は高尾が立っていたのだよ。「おはよ、真ちゃん♡」Uターンを決めた緑間が6時00分をお知らせします。なぜバレるのだよ！しかも追いかけてくるのだよ！

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さて目的は果たしたと言わんばかりに二度寝なうな高尾が7時00分をお知らせします。むにゃむにゃ…今日もいい写真が撮れました…。真ちゃんアルバムは順調に更新中…。

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真ちゃん今日もおもしれー！朝の激写写真を見つつ、もぐもぐ朝ごはんの高尾が8時00分をお知らせします。今日は和食！納豆とキムチはがまんがまん。

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そこには浮き輪を抱えた巨人が立っていた。「さっきも撮っただろうが！」「麦わら帽子とセットだとまたぶっふぉ！」浮かれきっている風体で本人はそんなつもり全然ねぇのな！「水着着てきた？俺着てきた！」「公衆の面前で脱ぐな！」ハーフパンツを引き上げられた高尾が9時00分をお知らせします。

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ラッキーアイテムの浮き輪電車の中でちょー視線集めてるんだけど。「嫌なら遠い席に行けばいい」なぁに言ってんの！「眠い？よっかかっていいぜ」「頭分足りないのだよ」「ひでぇ」って俺の頭の上に浮き輪を乗せようとすんな！緑間のうたたね枕にされそうな高尾が10時00分をお知らせします。

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ラッキープレイスとうちゃーく！海だうみー！「高尾準備体操するのだよ！」「ぐえっ」首にかけてたゴーグルを引っ張られてのけぞった高尾が11時00分をお知らせします。真ちゃん子供の日陰にされてる。「のわっ！踏み潰すところだった。君危ないからお母さんの近くにいるのだよ？…おい高尾笑うな」

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「持ちきれなさそうだったからコンビニ袋あげたらアイスもらった！」見知らぬ女性からの奢りのアイス。「なんだよーもっとありがたがれよ」濡れた黒髪が塩分で束になっているのをかきあげてやりつつ緑間が12時00分をお知らせします。「デコ出すなぁ！」連れて帰ってこなかっただけマシか、ふん。

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真ちゃんちょっと俺の腹の上に城建てるのやめて！出してここから！「人事を尽くすのだよ」あぢーよー顔があぢーよー。砂に埋められている高尾が13時00分をお知らせします。人事を尽くし万全を期すのだよ。真ちゃんなんか完全犯罪もくろんでるみたいに見えてきたぞ。

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かき氷うめー！真ちゃん舌見てみて、んべ。緑なのだよ。真ちゃんは？たぶんオレンジなのだよ。べ。ほんとだ！二人でべろ出す14時00分をお知らせします。氷はあっという間に溶け、冷たい薄いシロップに変わり果てる。しゃりしゃりした舌触り、海音の聴こえた夏を俺たちはきっとずっと忘れない。

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水中で揺れる緑間の髪は太陽の光でまばゆく跳ね、プランクトンのきらめきは星屑みたいだ。波が音も視界も奪っていく。海中の光と彼をゴーグル越しに見つめ、閉じられた世界にそっと囁く高尾が15時00分をお知らせします。ぽこぽこと昇る泡で聞こえない愛の言葉歌うよ、秒速1500mのあいのうた。

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「…お前何その構え、スナイパー？」「人事を尽くすのだよ」ぽこーん。ぽこーん。ぽこーん。ぽこー「あ、ちょっと待てスナイパー、店のおっちゃん青ざめてきた」「人事を尽くすのだよ」「ちょ」ぽこーん。ぽこーん。百発百中スナイパーが人事を尽くす16時00分をお知らせします。ぽこーん。

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肩がヒリヒリするのだよ。そりゃ人より太陽に近いしな？輻射熱からは遠いのだよ。まぁ砂に埋まってた俺の事はいうなよ。黒々高尾と真っ赤な緑間が17時00分をお知らせします。絶対今日風呂でヒリヒリするのだよ…。なーなー触っていい？触ったらぶつからな！

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「日が落ちるな」「そうだな」みんみんとうるさいセミの声。7日間の恋人たちは土に還る。俺たちの今日も終わりが近づいている。帰りたくない、そう思いながら寄り添ってバスを待つ二人が18時00分をお知らせします。

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「…あ、俺たち乗りません」バスは去り二人きり。「…見送っちゃった」「ああ」次最終か、結構待つし隣の停留所まで歩かねぇ？距離もわからず歩き出す二人が18時30分をお知らせします。はは、乗り過ごしたら帰れねーな。あたりは真っ暗、でもお前がいるから大丈夫。太陽の残滓を灯す指先が触れる。

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めったに車とすれ違わない道の端を歩く。なぁ緑間先生、夏の星座を教えてくれよ。俺を見上げる瞳は動かない。天なんて見てないお前に解説するだけ無駄なのだよ。…帰りたくねぇなぁ。指先に力がこもる。ガードレールの内側で、もつれるように近づいた二人が19時00分をお知らせします。

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虫の声がうるさい。木立の影が深い。星屑が墜ちてくる。速足で歩いては立ち止まる、不規則なダンス。歩かないと、このまま帰れなくても、帰りたくない、まだ離れたくない。苦しい。どうしようもない。いつもより長いキス、柔らかな唇の感触を記憶に刻む二人が19時30分をお知らせします。

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煌々と照らされた車内で海の残す疲労感に揺られている。隣の横顔は窓の外をずっと見つめていた。真っ暗で見えねぇだろ。見える。ちゃんと、覚えた。小さくそう言った緑間が20時00分をお知らせします。星の堕ちる音を、虫の命の歌を、海が満ちる波を、俺たちは聴き、閉じた目蓋の奥で見つめていた。

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おやすみ真ちゃん、また明日。分かれ道そう言って踵を返そうとしたら腕を掴まれた。「へ？」「ラッキーアイテムなのだよ。お前の」白からクリーム色へのグラデーションに染まる小さな巻貝とロマンチストが21時00分をお知らせします。笑顔を見せた表情の上、最後のやわらかな星屑が目蓋に墜ちた。

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流れ落ちる湯と共に海の気配が消えていく。風呂からあがったらいつもよりほんの少し紅い緑間真太郎の出来上がり。白いタオルにくるまった、赤い肌の緑間が22時00分をお知らせします。手首に顔を寄せてすんと嗅ぐ。水の匂い、夜の匂い。熱のこもった匂い。それは消えない恋の匂いだった。

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『もう寝んの？高尾くんさみしー』「ラッキーアイテムをやっただろう」『貝殻に愛を囁けと？』もぞもぞ寝返りを打つ緑間が23時00分をお知らせします。「…眠れる程度で頼む」電話越しの優しいララバイ。目を閉じると耳の奥で混じる、波の音にまぎれシーツにたゆたう、おまえの密やかなあいのうた。

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手のひらにすっぽりおさまる小さな抜け殻は、まるで俺たちみたいに秘密めいて、そして脆い。…全くロマンチストはやんなっちゃうぜ、こんな想い出の欠片ばっかりたまっていって、そのうちあふれ出しそうだ。恋の欠片に唇を当て、そっとしまい込む高尾が23時30分をお知らせします。

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そろそろ寝ないとな高尾が携帯を置いてベッドに潜り込み0時00分をお知らせします。おやすみ、真ちゃん。