内田樹氏の考える、親孝行とは何か

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内田樹 @levinassien

『女性セブン』からまたまた電話取材。なんか「子供電話相談室」化してきました。今日のお訊ねは「親孝行とは」。お答えは「10代後半から40代までは親と盆と正月と親戚の法事くらいでしか会わず、会ったら敬語で時候の挨拶をするくらい」がぐう。

2013-09-04 16:59:18
内田樹 @levinassien

その年代は「親とはかくあるべきだ」という基準が子供の側にあるので、親に会うと「自分の基準と違う点」だけが目に付き、それに腹が立ち、場合によっては「自分の基準に合うように生き方を変えろ」と要求するようになります。そうすると親子で傷つけ合う他ありません。

2013-09-04 17:00:49
内田樹 @levinassien

でも、自分に子供が出来て、その子供から「親離れ」されたり、自分の親が余命幾ばくもないということになると、そういう「かくあるべし」の呪縛がふっと消えます。そうすると親と会っても「ああ、この人は『こういう人』だったんだ」ということが素直に認められるようになる。

2013-09-04 17:02:31
内田樹 @levinassien

親孝行のピークは通常「親が死んだあと」に来ます。「墓に布団は着せられず」ということわざがあるのは、親が墓に入った後に「布団を着せたい気分」になるのが人間として標準的だ、ということです。死という超えられない距離を隔てたときにはじめて親のことがよく理解できるようになるからです。

2013-09-04 17:04:04
内田樹 @levinassien

ですから若い人への親孝行のアドバイスは「若い時は親とあまり関わりを持たない」「親の挙措を見ていちいち『頭に来る』ことがなくなったら、たまに会い始める」「親の余命が残り少なくなったら、いっしょの時間をぼんやり過ごす」「死んだあと、親がどういう人だったのか、理解しようとする」です。

2013-09-04 17:07:18