【竹の子書房】 PCを媒介としたホラー「怪集 電忌」
- takenoko_madori
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【電忌】「ソリティア」2真っ暗な部屋で、ぼんやり光る画面から伸びた腕はキーボードを叩き、ソリティアを夢中でプレイしていた。私は近づけぬまま再び靴を履いてドアを閉め、カギをかけるとその夜はネットカフェで時間を潰した。明け方、戻るとパソコンの電源はしっかり切れていた。
2011-01-26 20:13:54【電忌】「ソリティア」3キーボードにはベタベタと粘った液体がこびりついて、とてもじゃないが使う気になれない。私はそっとコードを引き抜き、拾った集積所へとそれを戻した。やはり、拾いものなんて使わなければよかったなと後悔しながら。数日後、集積所からパソコンは消えていた。
2011-01-26 20:14:07【電忌】「ソリティア」4誰かが持って行ったかな、と私は行方知れずのパソコンの持ち主は、どんな人だろうかとひそかに想像した。そういえば、隣に住む大学生、部屋に戻っていないみたいだけど、カレンダーを見たらパソコンが消えた日とほぼ同じ時期ぐらいからカギがかかったままだ。
2011-01-26 20:14:18【電忌】「ソリティア」5もしや、とベランダごしにそっと隣を覗くと、捨てたはずのノートパソコンがテーブルにひっそりと置かれていた。やはり、画面から腕がニョキッと出ている。私に気付いたのかキーボードを打つ仕草をやめてヒラヒラと掌を振った。また会いましたね、とも言いたげに。(了)
2011-01-26 20:14:29@rangming Togetter http://bit.ly/ceaRZk ではなく、Twilogのほうですね?http://bit.ly/hKNaAh
2011-01-26 20:26:11青懸巣さん アカウント確認できず。コピペ。
@ts_p 怪集『電忌』からタイトル「関連付けますか」 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:21:00
@ts_p コンピュータの画面を見詰めて首を捻っている男、小倉は、感染症センターの研究員だった。「妙だな」と呟いた。通常、夏には発生しないインフルエンザの患者の数が7月以降に急増していた。「新型だ」と直感した。「厚生労働省に報告しなくては」 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:21:42
@ts_p ふと思いついて、小倉は別の画面に切り替え、日本地図を表示させた。患者数の全国分布を見ようとしたのだ。「おっ」と小倉は息を呑んだ。患者は全国で発生していたが、患者数が急増しているホットスポットが北海道と九州に現れたのだ。 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:22:19
@ts_p 「北海道と九州に何かが起こっている」小倉は懇意にしている札幌の医師にスカイプで連絡をとった。「患者は先週から増えていますが、弱毒性のウイルスでそんな危険じゃないですよ。ただ…」スカイプは突然切れた。小倉は風邪をひいたかのように寒気を感じた。 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:22:56
@ts_p その時、小倉の頭の中に、過去の心霊体験や友人から聞いた幽霊話、どこかで読んだ怪談話がブワッと噴出した。一瞬、思考が分断し、次の瞬間、コンピュータ画面から黒い虫がぞろぞろと這い出てくるのを見て、「うわあ」と小倉は叫んだ。コーヒーカップを投げつけた。 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:23:35
@ts_p 「やめてください」同僚の田中が駆け寄った時には、もう、小倉のコンピュータ画面には何も表示されなかった。「データ、飛んじゃいましたよ」と責める田中に、小倉は「怪談は、所詮、とめられないんだ」とぶつぶつ呟きながら、部屋を出て行った。そして、二度と戻らなかった。 #tknk
transmitter01 2011-07-09 03:24:07