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「絵が先」 (無題) - BL向けイラスト 絵:芳賀沼さら

元まとめ→ http://togetter.com/li/131312 画部の芳賀沼さんから、BL向けのイラストを頂きました。 「きゅんの魔術師」もりかさんとの組み合わせで、どんな物語が紡がれるのでしょうか? 続きを読む
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もりか @_molica_

@ts_p 「みづき、俺を見て」 言われて、きつく目をとじていたことに気づいた。 恐る恐るまぶたをあげると、いつもよりずっと近くに見慣れた顔がある。 こんな近くで進藤と対峙するのは初めてだった。 「嫌だった?もうやめるか?」 とっさに頭を振っていた。

2011-05-19 11:34:18
もりか @_molica_

@ts_p それは考えるというより反射のようなもので、僕自身信じられない気持ちでいっ ぱいになる。 そんな僕の戸惑いをどう思ったのか、進藤がつないでいた手をほどいて僕の心臓 の上辺りに置いた。 「どきどきしてるな」 語尾にかすかに笑いを含ませて進藤が言う。

2011-05-19 11:34:40
もりか @_molica_

@ts_p そして急に真面目な表情になる。 「こんな気持ちを『大切なひと』にも感じた?」 文字の羅列が意味を持って流れこんでくるまでに、ずいぶん時間があったように 思う。 「大切な人…」 苑子さんにこんなかき乱されるようなざわめきを感じたことはない。

2011-05-19 11:35:19
もりか @_molica_

@ts_p 彼女に向けられていた僕の想い…それに思い至って身体から力が抜ける。 僕はなんという過ちを犯していたのだろう。 苑子さんに僕が求めたもの、それは美しくかけがえのないものではあったけれど も、すべてが思い出を拠り所とするものだった。

2011-05-19 11:35:46
もりか @_molica_

@ts_p 一人の女性としての彼女との未来を描いたことはなかったと言っていい。 静かなあきらめに支配された苑子さんとの時間。 それを僕は心地良いと思っていた。 大切にしたいと思っていた。 何をなげうっても守りたいと思っていた。 自分自身のために?

2011-05-19 11:36:09
もりか @_molica_

@ts_p 「…っ、僕は」僕のしたことは苑子さんの最期の日々を傷つけたのだろうか。甘えている、そう言った彼女の言葉は、本当に文字通りの意味だったのだろうか。何か他に方法があったのではないか。もっと、もっと、もっと…

2011-05-20 00:15:58
もりか @_molica_

@ts_p 焦りに似た感情にぬりつぶされそうな僕の心をつないでいたのは進藤だ った。「それでも…みづきにとっていちばん『大切なひと』だったんだな」 またあの何かを耐えるような表情。 持ち上げられた進藤の指が、もう一度目の縁をなぞる。 そのまま僕の頬を滑り、唇に差し入れられた。

2011-05-20 00:16:26
もりか @_molica_

@ts_p 感じた涙の味に、泣いていたことを知る。 呼吸すらままならないような激情ではなく、少しまえ進藤の腕の中で感 じた痛み。 苑子さんを失ってぽっかりと空いた穴を埋める清かで透明な哀しみ。 進藤が僕の頭を胸に抱く。

2011-05-20 00:16:49
もりか @_molica_

@ts_p 痛いほどの力…僕を生きているものの世界に引きとめようとする腕。耳には規則正しい鼓動が聞こえる。 不思議なのは亡くした哀しみと、慰めの安らぎが同じ場所で重なり合っていることだった。 進藤とこうしていることなど想像したこともなかったのに、僕は迷わずにその手をとった。

2011-05-20 00:17:33
もりか @_molica_

@ts_p そうするのが当然だとでも言うように… 抱きしめる力がすこし緩んで髪にくちづけを感じる。 その心地よさにうっとりと目を閉じた。 キスが額、まぶたと降りてくる。 涙の跡をたどるようにかすかに触れるだけ。 そして重ねられた唇が、亡くした人と同じに僕の名をささやく。

2011-05-20 00:18:03
もりか @_molica_

@ts_p 答えようと開いたすき間を温かな舌が濡らす。 ひどく直接的な接触なのに嫌悪は全く感じなかった。 きつく吸われて一瞬息が止まる、なだめるようにそっと噛まれる、そそ のかすように仕掛けられる行為に目眩がする。

2011-05-20 00:18:24
もりか @_molica_

@ts_p 「こっち…」 進藤が唐突に僕の身体を引き上げた。 そのままベッドに投げ出され、羞恥に顔が赤くなる。 足元がぎしりと沈み、進藤が僕の腰のあたりをまたいで膝立ちになっていた。 それが何を意味するのかわからないわけではない。

2011-05-22 19:17:15
もりか @_molica_

@ts_p けれど僕は、むしろ待ち望むような気持ちでこの状況を受け入れる。 いけないと思うのは、僕が進藤を利用しようとしている事実に対してだけだった。 もう二度と手にすることのできない温もりを、進藤に求めてしまいたい。 「進藤…」僕を見下ろしている進藤に向かって両腕を伸ばす。

2011-05-22 19:17:43
もりか @_molica_

@ts_p 刹那、何かが壊れたように手首を激しく掴まれた。そのままの勢いでマットレスに抑えつけられ、噛み付くようにキスされる。 それはさっきまでのいたわるような、甘やかすようなキスとはまるで違った。 乱暴にねじ込まれた舌が、歯列を割って上顎のアーチを撫でる。

2011-05-22 19:18:20
もりか @_molica_

@ts_p 逃げる僕を追うように舌をすりあわされて、あふれた唾液が口角からこぼれた。深く口腔を犯されて苦しさにうめいたが、進藤は解放してくれなかった。 怖い、と思った。 けれど何も考えられないほどひどくして欲しいとも思う。 そんな僕の心を読んだように、両手が頭上にまとめられる。

2011-05-22 19:18:45
もりか @_molica_

@ts_p 進藤の手が片方だけになったぶん、指が食い込むほど握り締められた。 もう片方の手でシャツをまくられる。 身につけている物すべてが進藤のものなのだと意識した。 今までは気にもしなかったのに… 進藤の指が腹の上をすべる。

2011-05-22 19:19:27
もりか @_molica_

@ts_p 触れたところから波紋のように、くすぐったいような切ないような感覚が広がる。そんなふうに誰かに触られることなどなかったから、すこしうろたえた。身動ぎをどう受け取ったのか、僕を戒める進藤の手がよりきつく締まる。

2011-05-22 19:20:11
もりか @_molica_

@ts_p「いっ…た…」思わず口を付いた僕の声に、進藤がびくりと身体をすくませた。 「ごめん…」 謝罪と共に手首からも、服の中からも進藤の体温が離れようとする 僕は自由になった両手を進藤の背中に回した。 嫌じゃないしひどくされてもいい。

2011-05-22 19:20:43
もりか @_molica_

@ts_p でも、許されるのならこうして抱き合いたい。 僕のずるさを進藤が…赦してくれるのなら。 「みづき…」 進藤の声はかすかに震えていた。 それを聞いて僕の胸の中に生まれた感情をなんと呼ぶのだろう? それは進藤に触れられたときに感じた切なさに、ひどく似ている。

2011-05-22 19:21:12
もりか @_molica_

@ts_p 耳元にキスされたとき、熱っぽい進藤の吐息を聴いた。 くすぐったさに肩をすくめると、それをこじ開けるように首すじを噛まれる。 硬く力強い歯の感触に、知らず呼吸を止めていた。 その噛み跡を癒すような熱い舌の感触に、今度は深く溜息をつく。

2011-05-23 11:22:28
もりか @_molica_

@ts_p シャツの中に差し入れられた手に胸元を探られ、尖りを摘まれて腰がはねた。明らかな快感に、無意識に腕に力がこもる。 それが恥ずかしくて、慌てて手を離した。 僕の腕の中から解放された進藤が、膝で足をわって体勢を入れ替える。

2011-05-23 11:23:03
もりか @_molica_

@ts_p 進藤の熱を押し付けられて、自分も同じように昂ぶっているのを知らされる。どうしていいのかわからなかった。 思わず閉じようとした脚で、進藤を思い切り挟んでしまう。 進藤はくすりと笑うともう一度深く口付ける。 僕が安堵するのを確かめたように、下着の中に手が差し込まれた。

2011-05-23 11:23:32
もりか @_molica_

@ts_p ちょっとだけ乱暴に扱かれて、覚えのない人の手の感覚に息が上がる。 追い上げられて濡れた指の感触が生々しい。 「だめ…」 そう訴えるのが精一杯だった。 墜ちる、そう思った瞬間あの甘だるさに全身を浸されていた。

2011-05-23 11:23:53
もりか @_molica_

@ts_p 放り出されたような気持ちで弛緩する僕を、進藤はぎゅっと抱きしめてくれる。 なんだか申し訳ないような気になって、進藤の昂ぶりに手を伸ばそうとした。 それをやんわりと止められて戸惑う。 「みづきとひとつになりたい」 進藤の声は情欲にかすれていた

2011-05-23 11:25:10
もりか @_molica_

@ts_p 強制されたわけではない。けれどどんな懇願より、その言葉は僕を従わせる力を持っている。 「いいよ…」 答えた僕の声も囁きにしかならなかった。 見つめられて気恥ずかしさに目をそらす。 脚から衣服が抜かれ、耐え切れずに腕で目元を覆った。 進藤の手が膝を押し上げるのを感じる。

2011-05-23 11:25:39
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