「‥朝、って言うには少しばかり早いか」 少年はベッドから身を起こしつつ、そう呟く。彼の名前は八岡拓八。トキオシティの近郊某所に住んでいる中学二年生だ。
2013-07-29 21:40:27「早起きは三文の徳‥いや、三銭だったか?まぁいいや」 他愛も無い事を呟きつつ彼は学校へ行くための準備を始める。もはや日課だ。‥親からは寝る前に準備するべきだと常々言われるが。
2013-07-29 21:44:11「‥あと一日。明日か」 明日はトキオシアでLBXの大会がある。だからといって今日の授業を休める訳ではないが。なまじ明日が楽しみであるために授業の気怠さも倍増するだろうと、取り留めもなく考える。
2013-07-29 21:48:28家を出てすぐに、一人の同級生と会う。 「オイッス」 「やほー、ショウジ」 彼の名前は二野彰二。家が真向かいだという事もあり、登下校時にはこうして一緒に行く事もままある。 「明日だな」 「そうだね〜」
2013-07-29 21:54:55学校に着き、つまらない授業が始まる。その内容については割愛するとして‥ 「リーチ、だよな」 「そうだね」 ここで言う「リーチ」とは、最近都市伝説としてまことしやかに語られている「神威大門統合学園」への入学資格に関しての事だ。
2013-07-29 22:02:07なんでも、LBXの公式大会で三回優勝すれば、人知れず本人の元に入学証書が届くという。しかも、そこではLBXによる戦争まがいの‥何でも「ウォータイム」と呼ばれているんだとか‥行為が行われているらしい。 「実際眉唾な話ではあるけどもね」 「確かに‥だが面白そうだ」
2013-07-29 22:08:58と、話し込んでいた所でチャイムが鳴った。 「もう五分前か‥次の授業は?」 「音楽。まったくさ、ショウジが今持ってるのは何なんだい?」 「時間割!?時間割ナンデ!?」 「それはそうと、早くしないと遅れるだろう?先に行くよ」 「ちょっ待てって」
2013-07-29 22:14:17今日の授業も終わり、家路につく。 「今日も練習だな!」 「言われずとも」 「につけても‥ミルクティーが美味しいのは認めるがそれは飲み過ぎだろ」 「ホラ、僕質量足りない人だし大丈夫」 「オイオイ‥」 「とりあえず今日もあそこでしょ?『オカモト模型店』」 「今更‥分かってるって」
2013-07-29 22:20:56カァン!キィン!剣戟の音がジオラマの中で鳴り響く。タクヤはデクーを、ショウジがアキレスを使っている。戦況はタクヤの方に傾きつつあった。 「毎度毎度思うんだが、どうしたらこうもデクーを使いこなせるんだ?」 「機体の性能差が、そのまま戦力の決定的な差にはなり得ないってことさ」
2013-07-29 22:27:39「驕っていられるのも今のうちだぜ?」 ショウジのアキレスが果敢にウェポンブレイクを‥端的に言えば武器を破壊しようと‥仕掛ける。 「なんのこれsh‥ひゃーッ」 デクーの武器は、破壊されこそしなかったものの、弾き飛ばされてしまった。今取りに行こうとすれば背中を晒す事になる。
2013-07-29 22:35:20即座に思考を切り替え、拳を構える。 「オイオイ何を‥」 「イヤーッ!」 手刀だ!手刀を関節部に突き刺し、行動不能にさせようというのか!? だがショウジとて何もせずに喰らおうとは考えない。相手は拳、自分は曲刀なのだ。リーチを守れば‥
2013-07-29 22:42:12そう考えショウジが曲刀で攻めようとした‥その時! 「うおりゃッ」 タクヤは拳を掴み、相手の曲刀の一撃を食い止める!そこから‥ 「でェりゃッ」 相手の曲刀を叩き落とした!ついでに拳も! 「なッ‥バカ力にも程がある」 「まぁまぁそう言わずに」
2013-07-29 22:49:40相手の拳ごともぎ取った曲刀を使い反撃に出る! 「でぇぇぇい!」 「そんなんアカン!」 そんな断末魔(?)を残し、ショウジのアキレスはブレイクオーバー。タクヤの勝利だ。 「派手に壊しやがって‥まぁいいか、明日は別の機体で行く」 「えっ何何?」 「今は言わん、明日見せてやる」
2013-07-29 22:56:17「まぁいいや、明日は僕も新機体を使うしね」 「えっ何使うんだよ」 「今教えると思う?悪いねショウジ、明日教えるよ」 「せいぜい期待して待ちますか」 ふと時計を眺める。門限が近い。 「じゃあ今日はこのぐらいで」 「そうだな。今日もありがと、オカモトのおっちゃん!」
2013-07-29 23:01:44そんな事を言いつつ彼らはオカモト模型店を後にする。 「じゃあ明日な」 「おやす〜ショウジ」 明日は大会だ、コンディションを整えておこう。そう思いつつタクヤは家へと帰って行った。 「Eight-Eight No.1」完。次回へ続く‥といいね
2013-07-29 23:07:45