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少しだけ昔の話をしよう。ちょうど数年前、まだ大学四年だった俺は就活塗れの日々を送っていた。だが受ける端から祈られ、あまりに祈られすぎたので危うく俺の適職は教祖なのだろうか、いやこれはもう神、神ですわ自分、さすが俺、こんだけ神なら祈られても仕方ないと思い込むことでクールを装っていた
2013-09-14 04:15:29しかし、いくら神とはいえ、このままではノージョブ。だが、神なので就職できなかった時のための保険を打つことにした。さすが神。伊達に50社から祈られていない。無職回避のために夏休みの間、ラノベを書くことにした。今考えるとこの選択の段階でだいぶおかしいのだが、気の迷いというやつだろう。
2013-09-14 04:18:45まずは応募する先を決めようと本屋に行った。棚をぐるっと眺め、そしてMF文庫Jの新人賞募集ポスターを見つけ、俺は決めた。よし、ガガガ文庫に送ろう。気の迷いというやつだろう。賞金額と卒業までに賞の発表があるというのも大きかった。受賞すれば卒業の頃には無職ではなく作家!無職じゃない!
2013-09-14 04:22:34いざガガガ文庫に送ろうと書き始めると嫌なことをたくさん思い出した。昔のことから最近のことまで。特に一番大きかったのは就活で俺を一番最初に落とした小学館のことだ。他の出版社はそこそこいいところまで行ったのに、小学館だけは俺をESで落としたのだ。俺は復讐に燃えていた。だからなのだろう
2013-09-14 04:27:18だから俺は時代劇をモチーフに書いた。気の迷いというやつなのだろう。いや、そうではない。復讐というのは別に小学館に限ったことだけでなく、およそこの世の全てに対してだ。そこでラノベを書くというのはおかしな話だが、言うなればこれは俺に理解を示さない社会に対する嫌がらせのようなものだった
2013-09-14 04:31:18挑戦というといいイメージを持たれるかもしれないが、これは悪い意味での挑戦だっただろう。挑戦的、あるいは挑発的な行為だ。俺はこれだけ考えている、これだけ書ける、まだ行ける、そう誇示するのに等しかった。無論、そうした野心を覆い隠し、むしろそれを「覆い隠せる俺」を演出しようとすらした。
2013-09-14 04:34:06はっきり言って、書いている時の俺は明らかに変人だっただろう。ヒャッハー!と口の中だけでモゴモゴと叫び、「締切が…」と一人でプロぶってみたり、途中泣きながら書いたりもした。病院へ行っていたら鬱病か躁鬱病の診断をされていたかもしれない。そこへ中二病の再来である。ついでに無い内定だった
2013-09-14 04:37:56これだけの苦難を抱えることもそうそうあるまい。部屋にこもり、深夜から朝にかけて原稿を書き、あとは寝てゲームしてアニメ観て漫画を読む生活をした。もちろん就活も忘れていない。おそらく当時俺の面接をした人は異様に目が死んでいるのに受け答えがやけにハキハキさている俺を気味悪く思っただろう
2013-09-14 04:42:08そんな日々の中で最終まで行きながら落ちるということが三回あった。祈られたが祈りたいのはこっちだ。なめとんのか。そして九月も半ばに差し掛かると俺が行きたいと思うようなところはもうほとんど募集がなくなっていた。あとは後期に予定されている幾つかと二次募集くらいだ。俺はついに覚悟を決めた
2013-09-14 04:47:20これはなんとしても書かねばならん。賞が獲れなくてもなんか夢を追ってるみたいな形になればかっこはつく。おそらくこれほどかっこ悪い動機もないだろう。だが、おかげでというのか、ようやく書く気になった。むしろ以前よりもやる気は上がっていただろう、主に他社への不満で。半ば八つ当たりである。
2013-09-14 04:50:30書いた、とにかく書いた。あとはだいたい寝ていた。そして書き、ゲームをし、アニメを観てた。で、また書く。何をどうしてあの物語が書きあがったのか、今はもうあまりよく覚えていない。昔の話だからというのもあるのだろうが、たぶんそれ以上に書くことに夢中になっていたのだろう、内定もなかったし
2013-09-14 04:53:57書いている途中のことはよく覚えていないが、書きあがったあの瞬間のことだけは鮮明に覚えている。最後の一文を書き終え、しばし手を止める「…終わった?…終わった。終わったー!」疑念、放心、歓喜、爽快と感情は爆発し最高の気分だった。終わっているのは就活、ひいては人生だったのではなかろうか
2013-09-14 04:58:15書き終えた時の達成感、解放感、万能感。なんと形容するのがもっとも正しいのか、いまだに考えあぐねているが、あれは成し遂げたものだけが得ることを許される至上の快楽だろう。内定がないことも小学館に落とされたことも、あの瞬間だけはどうでもよくなっていた。が、次の瞬間には現実を思いだした。
2013-09-14 05:01:17思うに、あの感覚を得たいがために、俺は今も小説を書いているのだろう。ドMである。変態だ。作家は皆変態だ。むしろ作家になった瞬間から、書き上げたあの瞬間から変態、いわば生まれながらの変態である。傍から見たら、あの頃の俺は無い内定の変態という救い様の無い存在だったのやもしれぬ。
2013-09-14 05:07:42今も、これから先もあの感覚を得るためにものを書くだろう。相変わらずの変態だが、今は会社員をしながらの変態なのでより社会的に大変な変態になってしまった。その上、今は締切とかいうもので縛られている。より高度なプレイである。だが、だからこそあの感覚は強くなり、最高に気持ちがいい。変態だ
2013-09-14 05:15:01小説を書いて、そして白んでいく空を眺める。そんな生活ができるようになった喜びを噛み締めている。空は白んでもいいのだが原稿が白んでいるのには閉口する。ただそれでもこの生き方は楽しい。もし進路や就活に悩んだり迷ったりしたら本を読んだり、小説を書いたりしてみてほしい。気休めになるから。
2013-09-14 05:21:12感想・反応
@watariwataru 丁度、この冬から就活なので、辛い時が来たらこのツイートを思い出しながら頑張りたいと思います。
2013-09-14 05:24:24@watariwataru 本当に努力した人間だけが言える言葉だと感じました。身体に気を付けてこれからも頑張って下さい、応援しています。 俺も仕事をやり遂げよう
2013-09-14 05:24:54@watariwataru 来年からしゃかいじんなのですが、何か勇気をもらいました。ありがとうございます。これからも執筆頑張ってください!
2013-09-14 05:30:44