『運命の剣』連作ツイッター小説まとめ(11呟）

とおる6th @windcreator

なぁ、《運命の剣》を知ってるかい？ そうそう、あの窓から見える城の地下に眠ってる代物だ。昔この国が荒れ果てていた頃、勇者がそいつで悪しき者たちを次々と地下に封じたのさ！ そして最後に、封印の楔として剣を突き立てたっ！ その封印を守る為にあの城を建て、勇者は王になったのさ。『剣』1

とおる6th @windcreator

城を見学？ やめなさい。酔っ払いに何を吹き込まれたかしらんが、《運命の剣》なんぞただの都市伝説に過ぎぬ。確かに、かつて魔物が暴れていたこの地に国を建てたのは初代の王だが、魔王を封じたのは一人の女性なのじゃ。わしの祖先は勇者一行の魔法使い。彼女を守れなかった弱き一族よ。『剣』2

とおる6th @windcreator

ふむ、貴方も中々に好奇心旺盛な御方ですな。この国生まれなら同僚になっていたでしょうに。確かに我が国の生誕に纏わる魔王討伐には諸説あるのです。《運命の剣》も《歌姫の子守歌 》も《魔王との裏取引》も、一定の根拠がありながら可能性の域を出ない。王家は黙し、噂と伝説が謎を深める。『剣』3

とおる6th @windcreator

えっ？ ここで子守歌を歌えってぇのかい？ 全く最近の旅人ってのは変わり者が多いねぇ。まぁいいさ、五人も育てたあたしが美声を披露してやろうじゃないのさ。チップは弾んでもらうよ？ まぁ、ばぁさんから聞いた歌姫様みたいにはいかないがね。気持ちいいからって寝たりするんじゃないよ？『剣』4

とおる6th @windcreator

じゃあ今日はおじさんが勇者の役ね！ 僕が魔王でみぃちゃんが姫様！ るぅくんが魔法使いで、まぁくんは戦士ね っ！ 魔王と姫様は戦いの中で恋に落ちて駆け落ちするんだ！ 勇者役のおじさんは僕たちを追いかけて二人を斬ろうとするけど、魔法使いと戦士が食い止めてその間に逃げ切るのね！『剣』5

とおる6th @windcreator

こんな郊外まで我を探すとは、対した執念だな。いかにも、我は勇者一行の戦士の末裔である。だが、我が一族に魔王討伐の記憶は語り継がれておらん。ただ事実として城から遠い森の中 に居を構えさせられた。そして、我が一族には子守歌は無い。 毎朝毎晩、歌姫の安息を祈るだけである。『剣』6

とおる6th @windcreator

あなたですかな、魔王復活を企む怪しげな旅人とは。おっと、動きなさるな。斬りますよ？ しかし、その身のこなしは危険ですな。さて、寛大なる王からの伝言を伝えましょう。『旅人よ、我が眼前にて汝が見定めし真実を述べてみせよ。正しければ報奨を、誤れば死を与えよう』断れば今斬ります。『剣』7

とおる6th @windcreator

やぁ、僕が王だよ。脅してすまない。《影》はドＳだから仕方ないよね。さてじゃあ聴こうかな、僕の国の始まりを。実際、恥の歴史らしくてさ。君みたいな部外者なら学者連中より遠慮無くていいんだ。真実かどうかは、後で地下室に行けば判る。何せ『真相を知る者だけが入れる』とこだからさ。『剣』8

とおる6th @windcreator

あのぅ、そうしますと、勇者は最愛の姫様に振られ、魔王に姫様をお持ち帰りされた挙げ句、あまりの情けなさに魔法使いや戦士にも愛想を尽かされ、独りぼっちが寂しくて国を建てたということですか？ ご、ごめんなさい、でしゃばりましたっ！ でも、祖先がヘタレでも私は王の妻ですからっ！『剣』9

とおる6th @windcreator

調査報告：――との王妃の台詞に王はうなだれたが、地下室にはすんなりと入れた。地下に封じられていたのは魔界との門であり、《運命の剣》とは即ちこちらからあちらへと『命を運ぶ鍵』であった。ただし、剣は真っ二つに折られていて門を開くことは出来なかった。嫉妬とは怖いものである。『剣』10

とおる6th @windcreator

ふ〜ん。パパもママも出会いを語りたがらない訳ね。駆け落ちとは聞いてたけど、まさか人間界で出会ってから魔界に駆け落ちだったなんて。ママも魔界のイイ空気吸って転生したってことかぁ。私も種族超えちゃう恋したいなぁ。ん？ アンタも割と悪くないわね。ご褒美として私のモノになる？『剣』11完