古峰文三のメッサー講座

この続きはいろいろクドい話で http://stanza-citta.com/bun/
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DB601を積んだ時点で無茶だったという話

Bunzo @Kominebunzo

ドイツ機ファンの間でまことしやかに語られる「Bf109の短い航続距離は欧州では標準」という話には要注意。Bf109C/Dは全力で2時間=930km。巡航なら理屈の上で1300km位。元々は増槽無しで千km以上飛べる飛行機。E型以降で無理やり搭載したDBの燃費が悪い、ということ。

2013-08-21 20:45:23

Bf109E-1について

Bunzo @Kominebunzo

昭和16年夏に陸軍が立川で実験したBf109Eの最大速度は555km/hで570km/hに届かない。燃料は日本の方が良いのにどうしてか。これは「輸出用モデル」だからではなく元々そんな性能で、薄い主翼の下に飛び出した20㎜弾倉による性能低下が招いたもの。独側の数字とも合致する。

2013-08-22 05:57:00
Bunzo @Kominebunzo

Bf109Eの20㎜は本来プロペラ軸内装備。これが延期されたために応急的に翼銃としたのがE-3。だから生産はE-3が早く立ち上がり、E-1は後を追う。バトルオブブリテン時のBf109Eの大体半分位に達する数が20㎜後日装備となった軽武装のE-1なのは「E-1が本命」だったから。

2013-08-22 06:03:40
Bunzo @Kominebunzo

英本土にBf109E-1が多数残骸を晒しているのはこんな理由で、E-4型の風防に改修されたものまであるのはE-1が第一線機であったから。でも火力に劣るE-1は激戦の中で部隊から補充を拒否されてしまう。けれどもE-3/4は性能が劣り、100オクタン化したスピットファイアに勝てない。

2013-08-22 06:08:12
Bunzo @Kominebunzo

20㎜翼内装備によって抵抗の増したE型の性能を補ってスピットファイアに対抗するために導入されたのがC3燃料を使用するDB601N装備型。41年生産分のE-7は殆どこのタイプ。日本の書籍の解説は性能低下→復活の流れに無頓着なのでどうしてそうなるのか説明できていない。

2013-08-22 06:13:33
Bunzo @Kominebunzo

ガーランドが武装強化に逆行すると批判する翼銃を廃したF型の登場はE型もE-1のような軸内発射型が本命だったことを踏まえていないと腑に落ちない。DB601装備の大改修でスピットに対抗したE型の機体改修を完成させたのがF型ということで、E-3以降は性能低下を忍んだ回り道の応急武装機。

2013-08-22 06:23:32
Bunzo @Kominebunzo

何もかも判明しているはずのBf109初期型にすら不明瞭な部分が残ってしまうのは、日本での外国機解説がそれほど質の良くない海外出版物の書き写しで為され、「こんな型式がある」との羅列が優先していて「なぜ?」が問われない結果だけれども、細かい事を突き詰めるのはくたびれるからねぇ・・・。

2013-08-22 06:59:45

BoBにおけるif

Bunzo @Kominebunzo

1940年夏の英本土航空戦でBf109Eは落下タンク装備が間に合わず、その上、英軍機が100オクタン燃料を使用し始めた事で性能面でも追い詰められたのは有名な話。それもこれも日頃の信心が足りない・・のではなくあのBf110が悪い、というお話。その1

2013-09-29 10:23:23
Bunzo @Kominebunzo

Bf110が戦闘機としてはどうも使い物にならないのではないか、という疑念はポーランド侵攻時から生まれる。けれどもポ軍戦闘機との交戦が少なく、今ひとつ深刻に受け止められないまま1940年4月のノルウェー侵攻作戦を迎え、ここで25機の損害(対空砲火を含む)を出して問題が深刻化する。

2013-09-29 10:26:33
Bunzo @Kominebunzo

旧式戦闘機とやっても危ない、と認識されたBf110への強化策は1940年1月から生産に入ったDB601N発動機。高オクタン価のC3燃料を使い、高ブーストでダッシュが効く発動機でBf109にはF-1から装備予定だったもの。これで速力を補おうという応急策が生まれる。

2013-09-29 10:29:46
Bunzo @Kominebunzo

まだ十分に数が揃わないDB601NをBf109Eにも配給する計画もあったけれども、性能面で窮地に立つBf110に優先して装備することが命じられ、Bf109は87オクタンのB4燃料用DB601Aを装備し続けることになる。DB601Nはストックされていた、というところが惜しい話。

2013-09-29 10:33:35
Bunzo @Kominebunzo

Bf110が英本土上空で最初に撃墜されたのは英本土航空決戦に先立つ1940年7月のこと。この時、Bf110は格闘戦能力で劣り、ハリケーンに対して射撃位置につくこともできず、後方に占位されると振り切ることもできないことが再確認される。何をやっても無駄、ということ。

2013-09-29 10:36:37
Bunzo @Kominebunzo

航空戦指揮官の立場からは遠距離侵攻可能なBf110ほど魅力的な道具はない。怪しい、怪しい、と言われながらもその能力を強化するために大型増槽が計画され、英本土制圧用のD型だけではなく、現行のC型にも増槽を、ということで300リットル増槽がBf110用に供給されていた。

2013-09-29 10:40:16
Bunzo @Kominebunzo

300リットルあればBf109Eが二速全開で1時間弱飛べる。英本土での滞空時間が大幅に延びて歴史が変わる可能性があった。すぐ横に在庫もあったし、増槽を現地改造で搭載できるETCラックキットも存在していた。けれど全てがBf110に振り向けられてしまった。

2013-09-29 10:44:48
Bunzo @Kominebunzo

結局、この躓きのために英本土航空決戦は一番重要な8月、9月の戦いに増槽もDB601Nも間に合わない。けれどBf110を諦めた途端にE-7Nとして投入される。戦訓対応としては非常に迅速だけれども、実際には8月に出来る準備があったものが10月以降に遅れたのだから悔やまれる。

2013-09-29 10:49:27
Bunzo @Kominebunzo

という訳で英本土航空決戦には史実と紙一重のところに重大な「if」が設定できるので面白い。けれど、もっと面白いのは航空戦に参加したBf109Eの半分位は20mmMGFFを搭載していなかったことじゃないか、という話はまた別の場所で。

2013-09-29 10:53:13