グッド・オーメン・フライング・クルーン #1

ヤンデレの翔鶴に死ぬほど愛されて瑞鶴をやめられない提督
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劉度 @arther456

「どーなってるのよ、ホントに誰も居ないじゃない」一方、兵舎にて。部屋を片っ端から開けては首を傾げているのは、電に連れられてここにやってきた少女である。いつまで立っても電が帰ってこないので、仕方なく兵舎の中に入ったのだが、見事なまでにもぬけの殻だ。26

2013-10-06 23:36:26
劉度 @arther456

「ここ、軍人さんの基地よねえ。こんなのでいいのかしら?」食堂にあったラムネを拝借しながら、彼女は建物の中を見て回る。深海棲艦の脅威は、この世界に住む人間なら誰でも知っている。もしも今、深海棲艦が攻めこんできたらどうなってしまうのだろうか。不安が胸中をよぎる。27

2013-10-06 23:39:38
劉度 @arther456

その時、キィンと高い音が響いた。「――ッ!?」咄嗟に辺りを見渡すが、そんな音を出しそうなものはどこにもない。不思議に思っていると、また同じ音が聞こえてきた。廊下の先、建物のもっと奥から、聞こえてくる。少女は音に導かれるように、ふらふらと歩き出す。28

2013-10-06 23:44:58
劉度 @arther456

耳をつんざく高音は、頭の中で混ざり合い、徐々にノイズ混じりの音声へと変わっていく。不思議な感覚だった。知らない声が、聞いたことのないような爆音が、酷く懐かしく、そして悲しいものに聞こえる。気がつくと、少女は一枚の扉の前に立っていた。鍵はかかってない。29

2013-10-06 23:49:48
劉度 @arther456

申し訳ないと思いつつも、好奇心を抑えられない。中は牢屋のように殺風景な部屋で、窓のない扉がいくつも並んでいる。その中の一つに、少女の心が強く惹かれた。開けようと思ったが、こちらには鍵がかかっている。だけど開けなくちゃ。そんな思いが、彼女の頭の中を一杯にしている。30

2013-10-06 23:53:11
劉度 @arther456

気がつけば、彼女は知らない言葉を、人生で初めて発する言葉を、当たり前のように叫んでいた。「艦爆隊、艦攻隊、発進!」31

2013-10-06 23:56:14
劉度 @arther456

【グッド・オーメン・フライング・クルーン】# 1終わり 2に続く

2013-10-06 23:56:25

おまけ

劉度 @arther456

「水上機母艦千代田です。千歳お姉」グシャ、と鈍い音がした。翔鶴が、建造されたばかりの千代田の頭に、ハンマーを振り下ろした音だ。返り血を気にすることもなく、翔鶴は次の資材を投入し、バーナーの炎を吹きかける。

2013-10-06 23:59:39
劉度 @arther456

「貴様が司令官か、私は」グシャ、と一発。「軽空母りゅうじょ」グシャ、ともう一発。炎の中から現れた艦娘を、翔鶴は表情一つ変えずに淡々と解体していく。「やっと会えた!」「ご指導ご鞭撻」「よろしゅうな」三回連続、音が響く。「艦隊のアイ」カーンカーンカーン。

2013-10-07 00:01:41
劉度 @arther456

「瑞鶴、まだかしら。遅いわねえ」すっかり赤く染まった自分の道着を見下ろして、翔鶴は呟いた。「お洗濯、先にしたほうがいいかしら?」

2013-10-07 00:03:24
劉度 @arther456

ウチの艦これ世界の設定は建造したら艤装だけができるから使えなかったシーンでありました。

2013-10-07 00:04:09