ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/07

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel ベッドに体を投げ出すと、天井のしみが人の笑顔に見えた。「気楽そうだな。いっそ代わってくれよ。」気が付くとベッドを見下ろしている。しかも動けない。数時間後、笑顔の男が入ってきて、話しかけてきた。「3年ぶりだな。俺が代わるって言うまでそこで気楽にしてろよ。」

2010-10-07 00:18:18
てふろん @teflon__

母に会った。正確には見た。家を出て5年目の真夏のこと。駅前広場のベンチにスーツ姿でぽつんと座っていた。まだ保険の営業をしているんだ。使い込んだ鞄からハンカチを出して汗を拭く。僕はかなり離れた信号の下で隠れるように母を見た。ずっと見てた。少しだけ泣きそうだった。 #twnovel

2010-10-07 00:35:27
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 片想いの眼鏡のあの子は錆びだらけの汚い自転車に乗っている。それを見るたびに僕の心はとても窮屈になる。今日もまた、彼女に好意をよせる男子が彼女に新しい自転車をプレゼントしている。以前、僕がプレゼントした自転車と同じように彼の自転車もまた彼女のコレクションになる。

2010-10-07 00:37:11
糖類の上 @tinouye

#twnovel あるところに男が一人で住んでおった。ウサギは淋しいと死んでしまうんだよ、とドラマで言っているのを聞いて、本当だろうかと思いウサギを飼い始めたそうじゃ。しかし、そんなことをしている自分の行動の淋しさに気づき、そのうち死んでしまったそうじゃ。

2010-10-07 02:21:51
帽子屋@エリー @10s6p

妹が死んだので、死体をどうするか妹の霊に聞いた。「火葬かなあ。うち仏教だし」霊の次に、妹の死体にも同じことを聞いた。「土葬。火葬は火傷しそうで嫌」最終的に土葬となり、裏の畑に埋めてやった。次の盆、妹の屍で育ったナスの牛で、妹の霊が里帰りをするだろう。 #twnovel

2010-10-07 02:25:10
てふろん @teflon__

「ケツを蹴っ飛ばしてみ?飛んでいくよ俺」川に向かって飛び出す格好で彼女にお尻を突き出す。初デートで、どうやればそんな展開になるのか自分でもわからない。元気キャラを演じようとして迷宮に入った。しばらく反応がなくて振り返るとそこには風が吹いていた。ま、それもまあ。 #twnovel

2010-10-07 02:29:24
とおる6th @windcreator

「私を攻略してくれませんか?」『えっ?』「はいこれ。私の攻略本ですので」『えっ? ええっ?』「そこにも事細かに書いてありますが、家事も一通り人並み以上にこなせますし、特に料理は自慢できるレベルです。正直なところ、優良物件と言えます」『つまり、どゆこと?』「好き」 #twnovel

2010-10-07 02:30:25
糖類の上 @tinouye

#twnovel 「この子はだめぢゃ、心が歪み、精神がゆがんでおる。ここで暮らさせるわけにはいかない。病院へ送らねば」「病院といっても別の世界に隔離してるだけじゃないですか」母親は泣いていた。・・・「お母さん、元気な男のお子さんですよ」今日も地球には子どもが送られてくる。

2010-10-07 02:31:15
ほちゃ @hocha32

【不条理な話:埋】今夜は配水管工事のバイトだ。道路に開けた穴の中での作業はとても疲れる。腰に手をあて一息つくと、ドサッと土が落ちてきた。何事かと上を見ると、同僚が土をかけてくる、一気に半身が埋まる、そして声が聴こえてくる。「神よ、無事に工事でき感謝します…」 #twnovel

2010-10-07 02:35:42
瀬口 @an2a_09

#twnovel 突如現われたその女は、私の目の前で彼の隣に座り親しげに会話を始めた。コーヒーに入れる砂糖の量があの頃と変わらない、なんて如何にもな台詞。イヤなオンナ!魔法でもかけられたように硬直する彼。私の視線に気付いたみたいね。さて、帰ったら詳しく聞かせてもらいましょーか?

2010-10-07 02:44:41
hina @ec_hina

たとえばあの星のように恋を語ろう。煌く夜空のようにきみを愛そう。いつだったか貴方はそう囁いてくれた。けれど夜空は翳り、星は見えなくなる。富めば富むほど貴方の姿は霞んでいった。蝋燭ひとつで夜をしのいだあの頃の記憶も、やがて何処かへ消えてしまうのでしょう。 #twnovel

2010-10-07 03:12:25
浅葉積木 @tsumiki_a

好色な王から身を守るため、娘は千の掌篇を語る約束をした。ある日、王はパソコンを指して言った。「娘よ、おまえの話はこのツイのべの剽窃であろう。ぐふふふ」「それは私の創作専用アカウントです」ツイート数は千編ちょうど。王はお伽噺の姫に、一番目にフォローしてもらった。 #twnovel

2010-10-07 07:01:57
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 不良品の確率は十億分の一と言われていたので、空を構成する十億のパネルのうち一枚が剥落したのも、数字上の不思議はない。些細だがあってはならない事故を管理部は隠蔽し、地表に落ちたパネルは回収せずに放棄した。耐用年数千年のパネルは今もどこかで空の色を放っているだろう。

2010-10-07 08:07:26
まくるめ @MAMAAAAU

創作者がかかる病気としては、「中二病」をはじめ、芸術病・商業病・内輪病・前衛病・批評病・自然主義リアリズム症候群・評論症候群・ネット中毒・カフェイン中毒・ニコチン中毒等ありますが、最も恐ろしいのは「大人」です、一度大人にかかると、治ることはまずありません。 #twnovel

2010-10-07 11:46:15
雨之森散策 @t_amamori

交際半年になる彼女が親指大に縮み俺の部屋で遭難した。刺激の薄れだした頃起こった珍事に「あいつは俺の中を彷徨っているんだ」というマッチョでサディスティックな快感が湧いたが体が火照るより前に携帯が鳴った。「この靴下埃被ってる」 この事件を期に俺に母親が一人増えた。 #twnovel

2010-10-07 14:23:53
140字物語 @shortshortshot

長年連れ添った妻が亡くなって私は荒んでいた。彼女のいない事に耐えられない。ならばいっそのこと…。ふと老猫が膝に乗ってきた。お前が死んだら誰が面倒を見るのだと言わんばかりだ。他の猫達にも見つめられ、猫好きの妻の姿が浮かんだ。「ああそうだな」私はまだ死ねそうにない。 #twnovel

2010-10-07 17:46:40
nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel やっと残暑が去ったと思ったら、朝夕、肌ざむいくらい。季節は確実に変わった。日没も早くなった。黄昏の住宅街には、キンモクセイの香りが漂っている。秋だなあ、と実感する。この芳香を放つ花はどんな姿をしているのだろう? 嗅覚で探してみると、とあるお宅の小さな窓……あれ?

2010-10-07 17:57:16
layback @laybacks

私を月へ連れてって。彼女が潤んだ目で言う。やせ細り骨と皮だけとなりはてた手を僕の頬にそっと伸ばす。月の上からこの星を見てみたいの。お願い。ああ。きっと連れていくよ。だから今日はもうおやすみ。指にキスをすると彼女は静かに瞼を閉じた。乾いた唇がふるえる。ありがとう。 #twnovel

2010-10-07 19:05:24
らし @rashi_catwillow

#twnovel 朝の電車はすし詰めで普通の席も優先座席も変わらぬ早さで埋まってしまう。だが稀に、ひかえめな人に囲まれてぽっかり空いたまま残る席がある。そういう場所には妖精が座る。ひゃあ楽ちんラッキーだわー、と羽をたたんで、やがてかすかな寝息をたてはじめる。終着駅まで幸福に眠る。

2010-10-07 22:19:23
砂女 @sunajopon

#twnovel 開かないファイルをひとつ遺された。小さな容量だけどあたしの名前がついていいて、クリックするとパスワードを請求される。彼の暗証番号や生年月日、あたしや息子のそれを入れても開かない。暇なときにあれこれ数字を入れてもう十年。今夜ファイル名を息子に変えて明日は手術。

2010-10-07 22:45:17
アライユウコ @yuko_novel

彼女は砂時計を止めない。砂が落ちきる前に必ずひっくり返す。僕といる間もそうなので、腹が立って砂時計を床に叩きつけた。彼女は怒らず、代わりに二人以外すべての時間が止まった。僕らは百均で新しい3分計を買い求めた。以来彼女が笑って文句を言う。ひっくり返すのは僕の役目だ #twnovel

2010-10-07 23:39:50
@yuki_doke

#twnovel 早朝。惰眠を貪る僕の部屋に彼女がそっと入ってきて目が覚めた。でもまだ寝たふり。ルールその1、彼女の声で起きること。そうすると魔法をかけられたように幸せな1日が始まるのだ。今日はどんな風に起こしてくれるのか。ニヤけるのを必死に我慢。彼女が傍にきて息を吸う、そして

2010-10-07 23:40:34