大罪大戦WoS:第一戦闘フェイズ【第四の扉】

第四の扉 紅の暴食【 @sin_atom 】 対するは 黒の憤怒【 @mtdsin 】 演者よ踊り、紡げ
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紅の暴食 @sin_atom

「ここ…どこ?」 本能の赴くままに決めた、『扉』。 その中は真っ暗闇で、普通の人間と比べるとだいぶ夜目が効く方である筈の自分ですら何も見えない程だった。 そんな闇だけが支配する空間を、只真っ直ぐに突き進んで……『ここ』にたどり着いた。

2013-10-10 23:28:10
紅の暴食 @sin_atom

陰鬱とした雰囲気が漂うそこは、どことなく見覚えがある。今にも崩れ落ちそうな程古ぼけた建物に囲まれ、不自然にぽっかりと開けた空間。 その中心にそびえ立つのは、十字架。その後ろの方にひっそりと存在する大木の枝には、縄のようなものが何本も結びつけてある。 …自分はここを知っている。

2013-10-10 23:30:40
紅の暴食 @sin_atom

全く同じではないけど、似たような『何か』を、自分は――… 「みんなが、死んだ場所…」 ……処刑場。 間違える筈がない。ここは、人が、生き物が、有りもしない罪を被って殺される場所。 …思い出す過去の記憶に少し苛立ちを覚えながら、『黒』は何処だろう、と『暴食』は空腹の腹に手を当てた。

2013-10-10 23:31:39
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

扉を抜けた先、重くまとわりつくような空気。ざわと、胃の底から何かが這い出てくるような不快感。 苛立ちはなお募る。この先に進めば、憎たらしい紅、正当ではない罪がいるのだ。静かにひそやかに、怒りを蓄積させていく。 足音は響かない。音は鈍く、反響せずに曇り、落ちる。

2013-10-10 23:48:17
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

廃墟にも近い建物の群れを抜けた先は広場にも似ていて、その中央にそびえる十字架を見てく、と笑いがこぼれた。思い出したのは、黒の城にたどり着く直前。磔刑に処された、最期の日。嗚呼、狭間というのは、皮肉が過ぎる。 十字の近くに人影を見とめて、更に笑みを深くする。

2013-10-11 00:06:51
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

きり、と鉄、鈍い灰色の杭を自分の前に出現させる。数は四。一度に操るには、このくらいが丁度良い。更に一本、出現させて細く長く延ばす。細剣よりはやや太いそれを表現するならば、巨大化した釘か、もしくはやはり、細い杭。それを掴んで、足音を消すなどということはせず、躊躇なく歩みを進める。

2013-10-11 00:26:15
紅の暴食 @sin_atom

「……?」 ふと感じたのは、臭い。何かの。生き物の。臭い。そして気配。 反射的に気配のする方を睨みつけると、そこにいたのは黒い服を纏った男。 足音を少しも隠そうとせず、明確な殺意をもってこちら側に向かってくる男に、獣のような低いうなり声をあげて威嚇をする。

2013-10-11 00:28:59
紅の暴食 @sin_atom

…男の目の前に浮かんでいるあれは、手に掴んでいるものは、何だろう? 黒い、黒い、何か。 この距離では、アレが何かまでは良く分からない。 腰を低くし、身構えながら、『暴食』はなおも唸る。 屋敷の『餌』とは違う、久しぶりの本格的な『狩り』に、体中の血が湧き上がるのを感じながら。

2013-10-11 00:29:53
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

警戒も露な”紅”――ここに、狭間にいるのなら。不当なる紅以外にはいない――に、ぎりりと口の端を吊り上げた。しかし口元の笑みは深まりながらも、暗緑の目は笑わない。ガ、高く足を踏み鳴らし止まる。視線に意味を込め、自らの前で進めていた杭を見遣る。 ――飛べ。 眼前の四全てを、紅へ。

2013-10-11 00:38:27
紅の暴食 @sin_atom

男の眼前にあった黒い四つの何かが、こちらに向かって勢いよく放たれる。 よくよく見ればそれは、細く先が尖っていた。 ――…杭? 考える間もなく、それは眼前に迫ってくる。 素早く下に伏せて、ギリギリのところで躱そうとするが、完全には避けきれずに何本かが体を軽く掠った。

2013-10-11 01:07:20
紅の暴食 @sin_atom

中でも一番接触が深かった頬から、つぅ、と血が伝い落ちる。 それをペロリと舌で舐めとると、暴食は顔を赤らめながら、酷く興奮したように男に向かって声を投げかけた。 「凄い!面白い!凄いね君!それ、手品?手品?ああもう凄いよ!君って凄く美味しそう!」

2013-10-11 01:08:05
紅の暴食 @sin_atom

口から吐きだされる息は、荒い。 ――ああ良かった!不味かったらどうしよう、思った、から。 目の前の男は、肥えてこそいないけど、中々に美味しそうな外見をしている。 口からダラダラと涎があふれ出すのをお構いもせずに、男は傍に落ちていた太めの木の棒を拾い上げ、男に向かって投げつける。

2013-10-11 01:09:15
紅の暴食 @sin_atom

そして、それと同時。 ほぼ同じ瞬間に、『暴食』は男に向かって勢いよく走り出した。

2013-10-11 01:09:47
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

投げられた声、『美味しそう』。ならばこれは、暴食か。 「暴食は、ガストリマルギアこそが正当だ」 声は低く。 飛来した木の棒を握っていた杭で打ち落とし、先ほど飛ばした杭に目線を向けようとして、迫る赤茶に目を見開く。 「――ッ!!」 四本の回収を一旦諦め、六本目の杭を出現させる。

2013-10-11 01:21:21
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

漂っていた四本の杭が、憤怒の視界から外れた。自在に宙を走っていたとは思えないほどあっけなく、杭は低い音を立てて地に落ちる。 しかしそれに構わず、さらにもう一本。七本目を出現させた。早々と攻撃手段の全てを出すことになった現状に、不愉快なと舌打ちをする。

2013-10-11 01:40:21
紅の暴食 @sin_atom

「正当?がすまる…?なに、それ。」 突っ込んでいった先で、男はまた新たな杭を二本出してきた。 「…正当なんて、自分で決められるものじゃない。」 ――君も、…僕も。 がうっ、と獣のように低く吠える。 瞬間、男の真後ろと左側の何もない空間に黒い穴が開いた。

2013-10-11 14:22:26
紅の暴食 @sin_atom

横に大きく避けたそれは、どちらも男の肩口の高さで浮いている。 大きさはそれほど大きくはなく、人間の腰から膝にかけてまで位の長さ。 裂けたその穴の上下には、獣のような鋭い牙がびっしりと生えそろっていて、まるで口の様にも見える。 「…いただきます」

2013-10-11 14:23:44
紅の暴食 @sin_atom

杭を警戒するとあまり近くには入り込めない。 だから長過ぎる袖を利用し、右腕を相手の右側面に向けて薙ぐ様に大きく腕を振った。 この位置からでは袖は届いても腕は届かない。仮に当たったとしても殆どダメージはない。だがそれでいい。 相手がこちらの思惑通りに、身を動かしてさえくれれば――…

2013-10-11 14:34:59
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

「不当な紅が、決められるとは思っていないさ」 言葉を返しながら、唸り声に巨体の狼を思い出した。それもまた、紅の一つ。 唸り声の後呟かれた言葉を拾い戦いとは無関係なことに意識を割いた意識へ舌打ち。次いで、杭を剣に見立てるようにして片手で構える。 構えて、ぞわりと総毛立った。

2013-10-11 22:31:32
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

後ろと右。何かはわからないが、何かがある。 声、とほぼ同時に現れたはずだ。ならばこれは、紅の暴食の能力。黒の暴食を思い出す。彼女は凝視で食らう。 目の前の紅の罪科はわからないが、背負う大罪から、その能力の発現は食らうことに関係しているはず。 ならば、下がることは得策ではない。

2013-10-11 22:42:30
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

左側を襲うように振られた腕、そちらにも何か能力があるかもしれないが、背後と右側の得体の知れない何かに飛び込む形になるよりは。 袖を打ち落とすように左手の杭を振る。中身のない布が絡む様に折れる。一旦五本目を消し右の手中に出現、突き出すように正面へ踏み出した。

2013-10-11 22:43:53
【魔女/魔法使い】 @mm_ssd

だが攻撃をしようという意図は薄い。すれ違うように、すり抜けようとする。三では心もとない、先ほど飛ばした四本の杭を回収することが先決。

2013-10-11 22:45:33
紅の暴食 @sin_atom

袖の攻撃を左手の杭により邪魔され、その腕は空しく空を切る。その際相手の反対の手からも杭による攻撃が行われたが、元々当てる気はないのか空振りした暴食の右腕を軽く掠っただけだった。 (…残念、気が付かれちゃった) まぁいい。この程度で食われる獲物でない方が暴食としては嬉しかった。

2013-10-11 23:17:07
紅の暴食 @sin_atom

ライオンが獲物を甚振り殺す時、それは只純粋な食への欲求だけに非ず、獲物への強い加虐心も影響しているという。彼の場合もそうだ。 餌への加虐心、遊戯心、食までの過程もパォシーは大事にしている。寧ろ、それらの感情を含んでこその『食欲』だと彼は考えていた。 (ますます美味しそう)

2013-10-11 23:18:13
紅の暴食 @sin_atom

予想以上のご馳走の予感に胸が躍る。 宙に浮かぶ『口』はそのままに、先ほどの腕の回転を生かし、もう一歩だけ相手の方に踏み込むとそのまま体を大きく捻らせ遠心力のままに大きく右脚を振った。 …先程杭を振り下ろしたせいで、幸い敵の左腕は後ろに流れている。 狙うは、がら空きの左脇腹。

2013-10-11 23:19:15
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