@yashirosatoruさんと考える、2020東京五輪の在り方とは?

開催が決まった2020東京五輪。賛成の人も反対の人も、少し前向きに、望ましい五輪の在り方を考える時期なのではないか。2005年の愛・地球博を参考に、屋代聡さんの考察をどうぞ。
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屋代 聡 @yashirosatoru

24:ところが、「自然の叡智」という構想を掲げて準備を進めるなか、会場の跡地利用として宅地造成の新住宅市街地開発事業(2,000戸、6,000人居住。以下「新住事業」)や道路建設は、そのまま残っていたのだ。

2013-10-17 03:33:51
屋代 聡 @yashirosatoru

25:今度は市民がこれに反対する。「愛知万博は土建国家日本のシンボルである」と批判したのである。そして2000年2月、BIEは「万博を隠れ蓑にした土地開発事業」と宅地開発と連動した会場計画を批判し、全面見直しを強く求めることになった。市民の声が国際委員会を動かしたのである。

2013-10-17 03:34:40
屋代 聡 @yashirosatoru

26:これにより万博誘致前から決まっていた宅地造成計画は中止、万博会場は原状復帰が決まった。メイン会場は青少年公園。海上の森利用はわずか10ヘクタール(最初は650ヘク)。万博会場は、誘致決定後に、これほどまでに移ったのである。第3の成果は決定的だった。

2013-10-17 03:35:21
屋代 聡 @yashirosatoru

27:その後、博覧会最高顧問になった堺屋太一がこれを修正して会場拡大構想を公表したが、市民の反対が大きく、堺屋氏はすぐに辞任した。愛知県民は妥協しなかったのだ。この時の目標入場者数は1500万人。第4の成果である。

2013-10-17 03:36:01
屋代 聡 @yashirosatoru

28:やや煩雑になったが、おわかりだろうか。愛地球博は1990年に計画された時点、そして開催が決まった1997年の時点からでも大きな変更を迫られた。愛知県民の声が会場設備はもちろん、会場の場所・規模、コンセプト、跡地利用さえ全く変えてしまったのである。

2013-10-17 03:36:37
屋代 聡 @yashirosatoru

29:実際に愛・地球博入場者は当初見込みを大幅に上回って2200万人を越え、大成功であった。跡地は徹底した原状復帰、万博会場だったところには8年前の混雑を思わせるものはほとんどない。せいぜいリニモとバイパスの高速道路くらいだ。

2013-10-17 03:37:07
屋代 聡 @yashirosatoru

30:万博のために畑地をつぶして巨大な駐車場がいくつも造られたが、今では完全に里山の風景に戻っている。僕は万博の造成前、万博開催中、そして閉幕後に行っているが、その変容には驚くばかりだ。まるで万博などなかったように、変容しているのである。

2013-10-17 03:37:53
屋代 聡 @yashirosatoru

31:僕は、この愛・地球博が、東京五輪の1つのモデルになると思う。市民の声を反映した会場計画、徹底したリサイクル社会、最低限のインフラ整備、原状復帰のあり方、どれをとっても良い。東京五輪は1カ月足らずだが、この万博は半年もの大計画なのに、全てできたのである。

2013-10-17 03:38:29
屋代 聡 @yashirosatoru

32:五輪会場にどれほどの人が行くか知らないが、万博は2000万人。それでもできたのである。事前計画を動かしたのは愛知県民民の声だ。東京都民にできないわけはない。

2013-10-17 03:39:03
屋代 聡 @yashirosatoru

33:そして五輪をめぐって展開されるであろう貧困者対策=閉じ込め政策も、この万博にヒントはないだろうか。くだらない恒久的な箱モノを創る予算を削れば、彼らの就業対策や住居提供にどれほど回せるか。貧困層を不可視の存在にせず、共同体内に取り込む工夫はないだろうか。

2013-10-17 03:39:43
屋代 聡 @yashirosatoru

34:今すぐ妙案は出ない(愛・地球博のさいにも浮浪者の締め出しは行われた。ただし彼らはもと居た公園に帰ってきていない。どこへ行かれたのだろう)。それでも安倍首相の責任追及とは別に、僕らはこの五輪を統制し、市民のために消費し、ながく活用する手立てを模索すべきである。 了

2013-10-17 03:40:22