大罪大戦Lite 第一戦闘フェーズ 七の間

嫉妬 インウィディア@invidia_7sin 正義 ユーストゥス @Justus_lite
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嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

そよりと風が髪を撫でてゆく、まるで傲慢にされたかのようでくすっと笑みが溢れる。 独りじゃない、今は六人の仲間がいて七つの大罪なのだから。 「あらあら、美徳っていうのはまだなのかしら?お寝坊さん、怠惰みたい!」 独りごちながらブーツの足はさくさくと進む。

2013-10-20 12:09:40
正義:ユーストゥス @Justus_lite

彼女が幾らか歩いた頃だろうか。 『嫉妬』を戴く女の目の前に、それは現れた。 その場にそぐわぬ、異質な空気。純白の色。剣呑な気配。 それは『殺意』や『憎悪』とは異なるもの。 ――輝く片翼。天に住まう者を示す、しるし。 金色の瞳が、じっと空色を見つめている。

2013-10-20 12:40:58
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

足を進めると見える明らかに異質な色、その風景を喰らわんばかりに存在を主張している白。 問わなくてもそれが美徳であると理解できた、そして背に抱く翼、片方だけだが天使なのだと 金色を見つめ返して、笑顔のまま。 「《美徳》って天使さま、なのね。いいわいいわ!」

2013-10-20 12:54:11
正義:ユーストゥス @Justus_lite

男の瞳が僅かに細まる。 炯々とした眼光が、射抜くように放たれて。 武器を手にする様子は無い。 純白の法衣を纏い、茨の冠を抱き、しかし男は未だ、無手のままであった。 「『大罪』。貴様の罪は何だ」

2013-10-20 13:52:47
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

髪の毛が風に揺れてふわふわと舞い上がっている以外はごく普通の少女の姿。 武器らしいものも無く装備と言えるものも普通の衣服にしか見えない。 それでも大罪であることには間違いないのだが。 「僕の罪、なんでしょう!」 射抜くように鋭い視線にもにこにこと水色は笑みの形を崩さない。

2013-10-20 14:02:34
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「天使さまこそ、ヒトに聞く前に名乗るって教わらなかったのかしら?」

2013-10-20 14:02:46
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「貴様ら罪に名乗る名など、持ち合わせてはいない」 感じる気配、そして自身を『美徳』と呼んだこと。 目の前にいる女こそが己の斃すべき罪であることは明白だ。 故に、容赦は無い。この男には、一片の『慈悲』も無いのだから。 「名乗らないならそれでいい。俺は貴様を『断罪』するのみ」

2013-10-20 14:35:38
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「美徳には礼儀っていうのはないのね、いいわいいわ」 「教えてあげましょうか?」 「僕たち《大罪》のレイギ、っていうのを」 提案する名案に両手をぱちんと合わせた。呼応するように空気中でぱちんと電気が弾ける音。

2013-10-20 15:46:07
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

ぱちん、ぱちん、――ぱちん! シャボン玉が割れたような空気の弾ける音がどこかで増える。

2013-10-20 15:46:12
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「大罪が天へ『礼』を説くか」 一歩、前へ。左肩だけの光翼がはためいた。 「その必要は無い」 辺りで音が鳴るのも気にせず、インウィディアを見据えたまま、足元の草を踏みしめていく。 「大罪が全て滅べば、そのくだらない礼儀とやらも意味を成さなくなるのだからな」

2013-10-20 16:32:50
正義:ユーストゥス @Justus_lite

一歩、また一歩。距離を詰めていく。 男が何かしらの能力を発動しているようには見えない。男以外の気配も無い。 ただ男自身の瞳に宿る強い『意志』と『気魄』だけが、プレッシャーとして放たれている。 ――目の前の女を『断罪』するのだという、明確な『信念』だ。

2013-10-20 16:36:38
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「大罪が滅びる?おかしなことを言うのね」 「ヒトの欲がある限り、決して罪は無くならないわ」 美しい翼、『羨ましい』『欲しい』でも男性体のようだから、姿までは多分奪えない。 長い髪は『憧れる』もの、だってこの色は気に入っていても愛でてもらうには長さが足りなかったわ。

2013-10-20 16:45:22
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

近づいてくる天使を見上げる、罪と対峙するような圧迫感はあるけれど笑顔も態度も変わることはない。 反対に近づけば近づくほど『増沸』した嫉妬に焦がれることになるだろう。 電気を帯びた髪は不自然に舞い踊る。

2013-10-20 16:48:10
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「人とは、本来生まれながらにして善なるものだ」 露出していた素肌が焼ける。純白の衣が焦げていく。 焦げた血が、嫌な匂いを燻らせていた。男はそれでも歩みを止めない。 「罪の芽を全て刈り取った時、そこに『正義』の世界は成る」 不意に、右手を掲げた。輝くものが、右手の延長にある。

2013-10-20 17:03:16
正義:ユーストゥス @Justus_lite

それは、十字架。或いは、墓標。 『ロザリオ』が、その手の先にある。 断罪の剣。不壊の剣。男の持つ、ただ一つの力。 この剣だけは焼け付かず、この剣だけは毀れはしない。 立ち尽くす男は、今尚増沸を続ける嫉妬に身を灼かれ続けていた。

2013-10-20 17:08:38
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「あら?じゃあなんで罪が溢れているのかしら?」 ぱりぱりと電気が正義の肌や服を焦がす。罪達といるときには抑えているこれも今は抑えることはなく。 「押し付けられる『正義』なんかより、浸れる罪の方が心地いいからじゃない?」 どこかおかしいのかしら?と首を傾げてその手に現れた剣を見る。

2013-10-20 17:17:51
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

あれに斬られたら痛そうだ、そんなの『厭よ』痛いのはいや。 一瞬、怯えるような色が水色の浮かんで…… 斬られないようにするにはやはり本体を焼き焦がすしかないようだ。 もっとたくさんの嫉妬を、もっともっと強い電雷を。

2013-10-20 17:31:31
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「それこそが貴様ら『大罪』の罪科に他ならない」 『断罪』のロザリオが、輝きを増していく。 それと同時に、電気という性質が、筋肉の動きを阻害する。 だが。 この男の心は、けして折れはしない。その手の中の、不壊の剣のように。 「力無き人々を誑かしてきた貴様の罪、ここで断とう」

2013-10-20 18:12:09
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「『正義』なき力を振るい、他者への『慈悲』と『救恤』を失い、『節制』と『純潔』を軽んじ、明日への『希望』と『勇気』を失ってしまった世界に、何が残る?」 大上段より振り下ろされる、輝きを孕んだ長大な十字刃。 電雷を散らし、眼前へ。 「――否(いいや)。その世界には、何も無い」

2013-10-20 18:17:45
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

強い想いから湧き上がる嫉妬の雷は、舞い上がる髪に、体に蓄電してゆく。 しかしまだ打ち出すことはしない、空気中の軽い電子が反応してしまうのは自身にはどうしようもない。 よく晴れた空で足場になる水分が少ないのだけが、難点か。 「たぶらかす、っていうのは美徳特有の思い込みじゃない?」

2013-10-20 18:37:44
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「人は自分より美しいものを見たら人は『嫉妬』せずにいられないわ」 「自分より強いものをみたら、賢いものをみたら、憧憬は『嫉妬』を綺麗に言っただけよ」 「気持ちの正当化をしなくては生きられない可愛そうなイキモノなの」 「お綺麗な言葉で飾って笑顔の下で罵って、ようやく一人で立てるの」

2013-10-20 18:37:52
嫉妬〔インウィディア〕 @invidia_7sin

「押し付けがましい正義なんてうんざりなのよ、欲のない人間なんて機械といっしょだわ」 「誰もが純粋無垢でいられないから、僕たち罪は存在する」 「そのことを認められない可愛そうな天使さま」 振り下ろされる剣に当たった雷電の火花が細かく立つが威嚇の色が強ければその場から動くことはない。

2013-10-20 18:38:02
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「人に囁き、弱さに付け込み、そうして肥大したのが貴様ら『大罪』だ」 断ち斬り、刃の届く範疇にあった『増沸』を何もかも消し飛ばす。 平原に突き立った十字刃は、未だ輝きを失わず、そこに在った。 草木には傷一つつけず、『罪科』の欠片のみを浄化して。

2013-10-20 20:20:18
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「人に感情を無くせとは言わん」 再び十字刃を構える。刃に触れればどうなるかは、先の一撃を見れば明白だろう。 「人の想いを、持ち得る願いの全てを否定する気は無い」 今度は両手で、大上段に剣を構える。 「弱さを認めることは重要だ。だからこそ、己に抗い、打ち克たねばならない」

2013-10-20 20:22:57
正義:ユーストゥス @Justus_lite

「――故に、貴様らは必要無いのだ。弱さを弱さのまま肯定し、停滞と破滅に導く『大罪』などというものは」 再び、天に輝きが集まっていく。 「自ら研鑽することを諦め、他者に言葉を零すばかりの『嫉妬』の大罪よ」 「『可哀想』なのは、どちらかな」

2013-10-20 20:31:59