時雨の夢

時雨 @KC_Shigure

ハァ　ハァ　ハァ　ハァ　ハァ　ッ……

時雨 @KC_Shigure

ッ……舵はッ、何とかなりそうなんだね？

時雨 @KC_Shigure

……。

時雨 @KC_Shigure

ここまでか……時雨、戦線を離脱する。

時雨 @KC_Shigure

ハァッハァッ……最上、無事で。

時雨 @KC_Shigure

――あれは……志摩艦隊？

時雨 @KC_Shigure

那智と足柄に電信を……使えない。別の方法を試みたから、いくらかでも伝わればいいのだけれど。……舵もまだ、いまいちか。 ──ごめんね、みんなに迷惑かけてるけれど、このまま南下するよ。

時雨 @KC_Shigure

また、僕だけか……。 いや、最上も退避している筈。 大丈夫、きっと大丈夫……。

時雨 @KC_Shigure

ハアッハアッハアッ……。

時雨 @KC_Shigure

……帰ろう。みんなの心を連れて、僕は、帰らなくちゃ。

時雨 @KC_Shigure

──みんな、すごかったよ。僕は、覚えているから。 #西村艦隊

時雨 @KC_Shigure

──なんだか、長いこと夢を見ていたみたいだ。 っと。 おはよう、提督。今日も一日、よろしくね。

時雨 @KC_Shigure

仲間が死にゆく海の中、唯一生き残った艦がいる。 十月の夜、暗い海、砲撃、重油の臭い──絶望。あるいは、地獄。 燃えさかる仲間を背にして、僕は単艦生き延びた。そう、僕だけが。 皆のことを覚えていたいのは、僕のエゴかもしれないけれど、ずっと忘れないよ。