「幽霊映画」としての「劇場版　あの花」

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

『劇場版あの花』の最後、エンディングロール明けのラストカットは、めんまの視点から見た秘密基地だった。その胸が苦しくなるような風景を見ながら、僕はこの作品が「幽霊に取り憑かれた者たち」の映画だったことを、改めて思い返す。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

涙で目をパンパンに腫らしながら、「そうか『あの花』は幽霊映画だったんだ」と思った。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

考えてみれば、改めて指摘するほどのことではない。そして僕は「幽霊映画」の偉大な傑作たちに思いを馳せる。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

『劇場版あの花』を観ながら思いだしていたのは、マリオ・バーヴァの『白い肌に狂う鞭』で、特にそのラストシーン、ヒロインが亡霊であるクリストファー・リーに抱きしめられて踊る場面。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

僕の記憶では、このとき、ヒロインの目には生前のクリストファー・リーの姿が映っているのだけれど、客観的には彼女は骸骨と踊っている。という場面として、描写されていたはずで。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

（曖昧なことを書いているのは、『白い肌に狂う鞭』を見たのがもうずいぶん前なので、もしかしたら別の映画と混同しているんじゃ？という気がしてきたため）

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

いずれにしろ、主観では見えている幽霊が、客観では見えない。という仕掛けが『あの花』にも適用されていて、そこが「幽霊映画」だなあと思わせるところなのだけれど、そうやって考えると、じつは『あの花』の、めんまが出ている場面には客観視点が（ほとんど）存在しないことに気づいたっていう。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

ごく単純化して言えば、めんまのために一同がパーティを開く場面。あそこで、めんまはノートに文字を書いているわけですけど、あれは、じんたん以外のメンバーにはどんなふうに見えていたのか？

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

それまでの描写から推測するに、たぶん、ふわふわとペンが空中を漂いながら、ノートに文字を書き付けていたんじゃないか？　と。……それって、『悪魔の棲む家』とかで見たことあるぞ！　っていう。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

「めんまがじんたん以外の人には見えない」という描写は、多くの場合、ガラスには彼女の姿が映っていない。という形で描かれていて、つまりガラスの写像=客観、それ以外=じんたん（ないしめんま）の主観。という構造が、かなり意識的に保たれている。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

『劇場版あの花』が、いわゆる「幽霊映画」（それこそ『白い肌に狂う鞭』とか）に一見、見えないのは、こんな具合に、徹底的に客観視点を（少なくともめんまの登場シーンでは）排除してるからなんじゃないのかな、と思ったという次第。

小黒祐一郎 @animesama

@camiroi じんたんがめんまをおんぶして走るような場面で、第三者にどう見えるか？　といった問題は巧みに気にならないようにしていますよね。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

@animesama けっこう危うい場面は多いはずなんですが（じんたんとめんま、父親が一緒にいるシーケンスとか）、うまく回避してるなあ、と思いました。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

で、逆に「幽霊映画」だと意識して観始めると、めんまの「みんな仲良し」って、彼女が生前の友人たちにかけた呪いの言葉だったんじゃないかという疑念が……。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

たしかに、亡くなった友人の言葉に導かれて、毎年、秩父の山中にある掘っ立て小屋に集まる男女。という風景は、ちょっと怪奇映画っぽいなっていう。

橡の花 @totinohana

@camiroi 「幽霊映画の美学」にひとつ適うところとして、それほど激しいカメラの動きはないんですよねぇ、TVシリーズから（幽霊は移動ショットを持てない

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

@totinohana ですね。移動してるめんまが出てくるのは、じんたんと夜の道を歩く場面くらいですかね？　そういう部分を含めて、長井監督がどれくらい「幽霊映画」を意識していたのか、聞いてみたい気もします（全然意識してない可能性もありますがｗ）。

m i y a 🌼 🌸 @camiroi

つまりなんだ、「彼らは呪われている」という客観を排することで、『あの花』はフィルムを成立させている。と思ったわけです。やっぱり不思議なフィルムだなあ、と。