#pw秋組(秋の待ち伏せ)梁川梨里の詩と繋いだ元の詩
- riri_yanagawa
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襟元と袖をほつれさせ 夜に溶け込むための準備 縫い合わせても縫い合わせて もほどけてしまうなら 菊の首を折ってもさよならは消えない 針を筆に持ち替えて 夜空の星々を描き替えてゆく 絡まった星は、星座を作り 凛とした夜を、照らす (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 11:04:59月夜に光合成をする 十月の蒼い森に 光を湛えた雨が 降りやまない 月夜にしか 羽化しない蝶が 半透明のままで 濡れている 冷たく濡れた白い肌が 発光をはじめる頃 此処が君の夢だと知った 朝にはすべてが 比喩に変わる森で 泣きやまない子は 誰? (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 20:45:51発光した白く濡れた羽を乾かし 飛び立つ蒼い十月の森 蝶で出来た月は微かに揺れて 森の奥深く水をたたえる湖を渡る 翅のないわたしを照らす 水面に映る月が反転して 此処が宇宙(そら)になる 蝶の月は解き放たれ わたしは森を抜ける (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 21:57:07君の名前を思い出したよ、カムパネラ 星の名前がなぜ失われてしまったのかとか 僕をとりまく たとえば 光と影の法則やこの切符でいこうとしている場所のお天気や すべての仕組みをいまだ知らないけれど カムパネラ、君が鳴らす鐘の音だけはまっすぐに届く (秋の待ち伏せ)#pw秋組
2013-10-27 20:47:29片道切符の銀河鉄道 最後に宇宙の仕組みを教えてあげよう 身体なんて重たいだけだと思っていた 脱いで、クリーニングに出す前に 胎内から出た時に宙を掴もうとした腕で この身を抱きしめる もう見えない 白鳥座が流れ着く先に、わたしはいない (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 21:25:56弾けた水疱から飛ぶ闇にまた少し沈む。嵐の傘のように廃墟の蝶番のように初恋のように不全な指を折り合わせ掻き出す、外へ他へ黒い海へ。棄てるだけ鈍る痛みと飽和する全体の求める輪転はバターナイフにすら叶えられるのに。光は待つ全て包むつもりで何時だって、今も。 (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 23:24:54水泡が弾丸に変わる。撃ち抜かれたのと同時に指先はバターナイフを空に放つ。銀のギラリとした目が許しを請う。海へ流すつもりだった誰にも知らせずに。そうやって棄てられたものの反逆。言葉の放つ騙し騙され振り振られたブーメランのようなナイフに刺されて血を流す。 (秋の待ち伏せ) #pw秋組
2013-10-27 23:47:41