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大罪大戦WoS:第二戦闘フェイズ【失陣営】

触れられず。届かず。 それでも罪を失って尚――在るものは @ratan_sin 続きを読む
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黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

扉が開き、そして、閉まる音。 それを聞き逃すことなく、少女はただ、見つめていた。 二つの扉の先。 ノイズがかった視界と、音声。全てを全て、見るのは無理なのだろうか。いや、それでも、見る。 見る、見守る、それが出来るのならば、取りこぼすことなく、絶対に、見つめて、——見逃さない。

2013-10-25 01:47:13
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

——それが、どんな結末を迎えようと。 ——それが、どんな痛みをもたらそうと。 どれだけ、不明瞭でもいい。 見届ける。見逃さない。聞き遂げる。聞き逃さない。 ——それだけが、今の私にできることなのならば。 ——やり通す、それだけ。

2013-10-25 01:53:26
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

不意に、名を呼ばれたような気がして。 ——それは、『黒の憤怒(オルゲー)』の声。聞き間違えなど、しない。 正当はガストリマルギアだけ、そう囁くような声音で言った彼の言葉に、息が詰まった。 ——私は、黒の城に帰れなかった。 ——なのに、なのに。 「正当だと、言ってくれるの?」

2013-10-25 02:08:52
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

吐き出された言葉は、誰かに届けようとしたモノでも、届くモノでもなく、ただ、滲み、消える。 彼の言葉が、うれしくて。 ——同時に、とてもいたくて。 貴方の、正当に応えたい、のに。 湧き出た『欲望』に、息を漏らす。叶わぬ欲望、だろう。とても痛い。 痛いけれど、目は逸らさない。

2013-10-25 02:27:16
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

無いはずの、左目が一瞬だけ熱を持った。 そっ、自らを抱いていた手を離し、髪に隠れた左側に触れる。抉れた傷痕。それは、誰かの目に映れば、醜い、と言われるような傷なのかもしれない。 しかし、少女がそれを隠しているのはそんな、醜いから隠したいなどという、考えではなかった。

2013-10-25 02:51:17
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

ただ、大切だから。 ただ、大事だから。 ——無防備に晒して、要らぬ同情や憐憫を受けたくない。 それに、この傷痕をなくしてしまえばきっと。 ——私は、『ガストリマルギア』でいられない。 オクネーリアにつけられたこの傷は、大切で愛しい、私がガストリマルギア(わたし)である証だった。

2013-10-25 02:55:52
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

傷痕を撫でながら、ゆるり、と右目を揺らす。 「オクネーリア、」 息と共に吐き出した呼びかけは、響きだけを残し、虚空に溶け消える。

2013-10-25 12:48:34
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

蜃気楼の向こう、聞こえる声に目を見開く。手指が、喉が、体が震えた。 目を閉じる。 「お前は……お前は、」 口を閉ざす。 応えられない。応えてやれない。 蹲る。柔らかなテディベアに額を押し付ける。体が震える。喉が震える。口を開いて、閉じる。 −−全ては、揺籠を守る為 軋む。

2013-10-26 21:44:40
@gomoku_sin

「不当、不当と、…気分は良くないな」 紅と黒柘榴を行き来する瞳が細まり。蜃気楼の先、強欲と対峙する知らぬ『憤怒』を見据える。 「私が不当というのなら」 『黒の嫉妬(プトノス)』たる『私』さえ、不当になるのではないか。 「届きはせぬだろうがな」 揃えた前脚に頭を乗せ、見守り続ける。

2013-10-26 22:06:38
紅の暴食 @sin_atom

…耳を塞ぐようにして縮こまった。 目の前には、未だ戦い続ける二人の家族の幻影。 そして大好きな母と戦ってるのは、道ずれにしたはずの『黒』だった。 自分は駄目だったのだ、結局、黒は見事逃げ延びて、自分の大切な家族に牙をむいている。 全部自分の巻いた種だった。

2013-10-27 00:02:08
紅の暴食 @sin_atom

神さま、神さま、と小さく呟く声は震えていた。 神なぞ一度たりとも理解した事は無かったが、今なら縋り付いたっていい。 もしそんな存在がいるのだとしたら、どうか―― 「母さんを、ここにつれてこないで」 そんな所を見るくらいなら、自分はここで永遠にひとりだってかまわないから、と。

2013-10-27 00:03:36
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

「あ、あああ、」 手を、手を伸ばす。幾ら伸ばしても届かない手を、自らの目で睨みつけた。無意味だと、わかっていても。 オルゲー。息と共に吐き出した声は掠れ、滲み、虚空に紛れる。いとしい憤怒。 「オルゲー、」 少女(きおく)を蝕みそうになる、猛る何かとそれとは違う痛みを伴ったモノ。

2013-10-27 00:20:04
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

猛るこれが、痛みを伴ったこれが、怒りか。 ——いいや、『憤怒(いかり)』は彼の領分だ。 記憶たる少女(わたし)が触れるには過ぎたもの。私のこれは、ただの癇癪だ、きっと。 だから、それら全てを飲み込み。 彼を、見つめ続けた。 遠退く赤を、見つめ続けた。 瞬きひとつ、することなく。

2013-10-27 00:37:37
黒の暴食(ガストリマルギア) @sinka_sin

「——、……」 何かを言わんとし、開いた口を、マスクの下でそっと、閉じた。 伸ばしていた手をもう片方の手で握り締め、抱き込む。爪を立て、滲み出てる癇癪を抑え込むように。 強く、唇を噛みながら、少女は自らの体を抱き締める。 その瞳は揺らぐことなく、ただ、『黒』を見つめ続けていた。

2013-10-27 01:29:57
紅の暴食 @sin_atom

『パォシー。』 …祈りは、届いたのだろうか。 母の声が再び自分のものであった『名』を呼ぶ。 奪い返せただろうかと、続けて問うた母の声は優しかった。 …もう『大罪』ですらない自分を、その手に再び戻してくれたとでもいうのだろうか。 まだ『家族』でいても、いいのだろうか。

2013-10-27 01:00:17
紅の暴食 @sin_atom

@sin_skbztter ――そうだね、母さん。 ここには、何もないけれど。 「今度はもう、はぐれないようにするね。」 貴女が取り返してくれた居場所さえあるなら、きっと自分はもう一人ではないから。

2013-10-27 01:00:37
黒強欲 @ratan_sin

「おいおい……」 目の前で起こった現象に目を疑い、そして閉じた。 もう見てられないと、その意識すら閉じたくなる。 「なんなんだよ……これはよ」 本当に正直な言葉。全てが朧な世界で、それだけははっきりとしていた。 「ふざけんな……」 湧き上がったその感情は、向く先はなく。

2013-10-27 01:15:46
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

@sin_skbztter 「、……、、………、」 ハクハクと息をする。応えようとするかのように、何度も、何度も、繰り返す。耳を塞ぎ、拒絶してもなお、繰り返す。 もはや『大罪』を宿さぬ身。けれど。 −−強欲が認めた憤怒 −−『唯一の憤怒』 なればこそ、応えられやしなかった。

2013-10-27 01:18:18
@gomoku_sin

『黒の憤怒』を刺し貫いた刀の一撃は、間違いなく私のもの。 強欲の中に記憶を見て、ゆら、と姿が揺らぐ。空の瞳以外、銀灰色に色の抜け落ちた、男とも女ともつかぬヒトガタ。歪な人間の模倣。 『紅』が『黒』のひとつを奪ったことに喜ぶわけでも、強欲が生き残ったことに安堵するわけでもなく。

2013-10-27 04:24:46
@gomoku_sin

――ただ。 見送る。 彼女の足跡に残される、血塗られた道を。

2013-10-27 04:25:00
@gomoku_sin

「なんなんだ、か」 どこにも向けられていなかった声を、記憶が拾い上げた。記憶そのものは彼を知らない。だが『知っている』。 「公も強欲なれば、わかるだろう」 「これが大戦だ」 「奪い、侵し、潰し合わねば『罪(己)』が『罪(己)』で在れぬのだ」

2013-10-27 04:25:07
@gomoku_sin

記憶も『罪』ではなくなってしまったが。 同時に、最期まで『嫉妬』であったから。 不変であるという自己と、それを崩壊させる願い。矛盾し錯綜する望みを抱え、それを叶えた『嫉妬』で在れたから。 「私はどこまでも満足している、が」 あの男はどうだろうな。正当を主張し敗北した、憤怒は。

2013-10-27 04:27:19
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

結果、我(等)が『王駒』は真なる罪へと歩みを早め、今まさに第二の戦場が佳境となっている。そしてこの戦局には、黒の『怠惰』が控えている。あの『怠惰』は、万全の調子で挑んで負けうる敵だ。チィートゥーと同等以上とみてもよいほどに。『王駒』が詰むとしたら、二つ以上の駒に進路を塞がれた時だ

2013-10-29 00:48:17
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

盤面の『怠惰』の駒を握る。 「挑めるのは一度だけだ」 大戦で、二度目のチャンスは普通無い。 「我であり続けるか定かではない」 『記憶』の底から『傲慢』の駒を取り出し、きつく握る。 「不可能かもしれぬ。勝手ながら、君の勝利を」 祈る、か。 「見届けよう」 信頼、しているのだから。

2013-10-29 00:54:19
黒強欲 @ratan_sin

「たいせん……」 虚ろな空間から聞こえた、その言葉を虚ろに繰り返す。 声の主を見る気力も湧かず、ただ食い入るように──しかしその焦点は合わず──その現場を見続けた。 自分がこうなるならば良かった。 などと叶いもしない願いを浮かべ 「ふざけんなよ」 小さく呟いた。

2013-10-27 20:35:41