毎年10月末なら『ツイノベ祭』 2013/10/31お題「ハロウィン」
南瓜は今まさにくり抜かれていた。主人は、ジャック・オ・ランタンになれと言う。それが何かは知らないけれど、身が引き裂かれるようなおぞましい感覚。私、どうなるの?恐怖に崩れそうになる私はやがて、ジャック・オ・ランタンの正体を理解する。なるほど、皮のない煮付けのことか。#twnovel
2013-10-31 23:21:43「トリック・オア・トリート!」ボン!「え!」お菓子の群れが追いかけてきた。「僕達を食べて―!」甘い甘いお菓子が追いかけてくる!「これ以上は止めてー!血糖値が上がっちゃうー!」「それが狙いなんだから、食べてよ」僕達、生活習慣病っていうモンスターの手下なのさ。#twnovel
2013-10-31 23:23:26#twnovel 「とりっく・おあ・とりーとぉー!」「あら、獏ちゃん」「お菓子ちょうだい!」「持ってないから、トリックちょうだい」「え!?」「この間トリックの効いた怖い系のネタ、こっそり食べちゃったでしょ」「ぎくっ」「トリック返せぇえええー!」「うわーん、お化けぇええ〜!」
2013-10-31 23:25:54#twnovel 大規模な仮装行列が開かれている。みんな普段の格好をして普段どおりに歩くのだ。誰もが常に日常生活でもSNSでも自分をこう見せたい、あるいはこう見せないとまずいという虚飾の自分をでっちあげ、一般人という仮想をして生きるこの世界で、これ以上の仮装行列があるだろうか。
2013-10-31 23:30:39今夜はハロウィン。狼男は絶対参加のイベントだ。けれども怖い。行きたくない。ブラッディーずきんのコスプレをした女の子たちが、本物と一緒に #ツイリミ学園 を歩き回っているからだ。そうだ、僕もコスプレすれば…!#twnovel「ね、あのジャック・オ・ランタン、夜食用に切りましょうか」
2013-10-31 23:45:55淋しいのは嫌いだ。だから賑やかに終わっていくことに感謝している。今年もやっぱり同じように、さようなら。ハロウィンの参加者はいつも行きより帰りが多い。何かの姿に身をやつし去っていく10月の手は軽やかに揺れる。手を振る先には、11月。11月は眼鏡をくいっとあげた。#twnovel
2013-11-01 00:01:27寒い、と空を仰いで息を漏らした。冷えた指に不意に絡む、隣の人の手。あったかいねと告げればそれだけ?と笑みを含んだ声が返る。反射的に問いを口にしかけて掌の間に、熱とは違う感触に気付いた。今日は何の日、に答えずに、笑みと共にいたずらを。ひとつ、唇で。 #twnovel #ハロウィン
2013-11-01 00:07:17ハロウィンの夜、仮装する人々の中に本物のお化けが混ざっているのは有名な話。それは破壊の限りを尽くす怪物、怠惰へ導く悪魔、死へ誘う死神、様々な姿をとっているがその正体はいずれも人間であるのもよく知られる事実。あなたの隣ではしゃいでる人は、あなたの知ってる人ですか? #twnovel
2013-11-01 00:08:36「お菓子をくれなきゃ、イタズラします」ネクタイを緩めながら仰る彼。「えーっと」一応ね、一応。お菓子は用意したの。パンプキンパイ。けどね、そんな風にネクタイ解いてるところ見たら、イタズラも悪くないんじゃないかって気がするの。考えていたらキスされた。「エロい顔してる」#twnovel
2013-11-01 00:24:10#twnovel ハロウィンの翌日のカボチャは、魂が抜けている。昨夜のようにケタケタ笑わないし、その周りでサッカーをしてワインを飲む、ゾンビや狼男の姿もない。ただ大きなカボチャだけがひっそり、そこに佇んでいる。「トリック、オァトリート?」その問いも、近くの犬だけが鳴いて答えた。
2013-11-01 09:34:29