「中国人」と「韓国人」の誕生についての考察

フランス革命が「フランス人」を生んだとしたとき、「中国人」や「韓国人」はいつ生まれたのかという疑問から始まる考察。
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【発端】

長野テル @naganoteru

フランス革命とナポレオン戦争が「フランス人」を生んだわけだけど、中国史のほとんどが明治以降の日本人の研究によるものだとしたとき、はたして「中国人」はいつ誕生したのだろうと考えてしまう。リアルに、中華民国あたりではないかと思うのだけど。

2013-09-27 23:31:12

【フランス革命と「国民」の誕生】

長野テル @naganoteru

国民国家の誕生はフランス革命以降だから、当然、「国民」が誕生したのもフランス革命以降。フランス人なる国民はそれ以前には存在していなかったし、ましてやドイツ人なる国民はその萌芽すらなかったはず。なにせ小国乱立の分裂国家だったわけだから。

2013-09-27 23:41:20
長野テル @naganoteru

17世紀のフランス王国を舞台にしたデュマの作品を読むと、イギリス人やスペイン人と戦争する中で、銃士たちが自身をフランス人だと明確に認識していることが分かるのだけど、それは決して近代的意義における国民概念ではない。

2013-09-27 23:49:01
長野テル @naganoteru

なぜなら、彼らフランス貴族たちは、イギリス人やスペイン人との対比の中で自身をフランス人と認識してはいたとしても、フランスの一般庶民との対比においては、イギリス貴族やスペイン貴族との間に「貴族」というより強いアイデンティティを抱いていたから。

2013-09-27 23:52:57
長野テル @naganoteru

大半が農民である庶民の側にしても、生まれた土地からほとんど離れることのない彼らにとって、他の土地に住む同じ言語を話す農民との間に連帯感もなにもなかったはずだし、ましてや、貴族が貴族同士で連帯感を抱いている社会の中で、国民というアイデンティティなどあるわけもない。

2013-09-27 23:55:31
長野テル @naganoteru

フランス革命と他の諸王国の反動的フランス包囲網が、ナポレオンという民族の英雄を生み、フランス人というアイデンティティを確立させたのだとしたとき、この意味での国民概念をアジアの文脈に当てはめるとどうなるのだろうと考えてしまう。

2013-09-27 23:58:29

【中国における「国民」意識と民族】

長野テル @naganoteru

中国は、漢民族による王朝と異民族による王朝とが入れ替わる歴史なのだけど、そこに住んでいた漢民族は、そのふたつをほとんど区別していなかったのではないか、と思う。

2013-09-28 00:04:05
長野テル @naganoteru

圧倒的多数を占める漢民族の一般庶民にとって、皇帝が誰で王朝がどこの民族だったかなど、生活上ほとんど関係のないことだったに違いないし、異民族の皇帝たちは、例外なく、漢民族の圧倒的な数の力によって漢化しているわけだから。

2013-09-28 00:08:24
長野テル @naganoteru

加えて、中国は、19世紀になってヨーロッパや日本からの圧迫を受けるまで、アジアにおいて唯一絶対の帝国だったわけだし。

2013-09-28 00:10:57
長野テル @naganoteru

とまあ考えてくると、漢民族(というより中国に住む人々)に国民意識が最初に芽生えたのは、おそらく清朝末期だったはずだし、そこで生まれた国民意識において、王朝がどの民族であったかは問題ではなかっただろうと思う。

2013-09-28 00:14:29
長野テル @naganoteru

これをさらに深化させた漢民族にとっての漢民族としての国民意識については、清朝が滅んだあと、まとまった国家の体をなした後でしか生じえないわけだから、これを「中国人」の誕生と考えるのなら、それは、中華民国の時代になって初めて生まれたというのが正しいと思う。

2013-09-28 00:17:37
長野テル @naganoteru

もっとも、清朝崩壊から中華民国に至る過程は、決して民族間の闘争なのではなく、あくまでも政治体制間の闘争にすぎないので、中国人という国民概念を考えるうえで為政者の民族属性は、やはり大きな問題ではない。

2013-09-28 00:21:25
長野テル @naganoteru

「国民国家」が当たり前である現代に生きていると、過去の歴史すら、どうしてもその視点で見てしまうのだけど、長い歴史の中で国民なる概念が存在した期間は極めて短い期間にすぎないわけで、そのことを踏まえて歴史を振り返らないと、いろいろと誤解してしまうことがあるように思う。

2013-09-28 00:23:18
長野テル @naganoteru

たとえば、「中国人はかつて満州族に支配されていた」という命題は、満州族の王朝だった時代に漢民族からなる「中国人」なるものが存在していなかった以上、誤りでしかありえない。漢民族の一般庶民は、漢民族の王朝のときも、満州族の王朝のときも、ただ、支配されていたにすぎない。

2013-09-28 00:25:53

【朝鮮半島における「国民」意識】

長野テル @naganoteru

翻って、朝鮮半島を見てみたとき、身分制度が厳格な李氏朝鮮時代に朝鮮人という国民概念があったとは考えがたいし、だからこそ、日韓併合がきわめてスムーズに進んだと考えるのが妥当だと思う。でなければ、日韓併合のプロセスは、ベトナム戦争のようになっていたに違いない。

2013-09-28 00:32:52
長野テル @naganoteru

フランス人がナポレオン戦争によって誕生したのだとしたら、韓国人は日本の敗戦あるいは朝鮮戦争によって誕生したものにすぎない。中国人はかつて満州族に支配されていたわけではないのとまさに同じ理由において、韓国人はかつて日本人に支配されていたわけではないと言うことができる。

2013-09-28 00:36:31
長野テル @naganoteru

過去を現代的視点で見ることで誤認してしまうことを仮に「現代的視点の誤謬」と呼ぶとするなら、まずはその誤謬を取り除くことから始めないと、いつまでたっても正しい歴史認識にはたどり着けないのではないかと思う。

2013-09-28 00:38:29

【おまけ】

長野テル @naganoteru

アイデンティティは、自己と同一の他者との同一性の中に見出すものではなく、自己と異なる他者との異質性の裏返しとして認識するものですしね。RT @aliceizer 国家や民族意識なる虚構に囚われるのは、人間の普遍的な性格ではない、ということでしょうか?

2013-09-28 01:14:48