巷で噂の捨て艦をネタにした個人的妄想ss
最近捨て艦作戦がにわかに噂されてたので、もしssとして出力したらどんな感じじゃろうとか何とか思いつつ突発的な落書きをしたのでまとめたの巻。
アイゼン(本垢)
@aizen_423
かすり傷程度の小破進撃は問題はない。むしろ当然の舵取りです。ここぞという時の中破進撃も、彼は悩みに悩み抜いてこその決断でのものでした。けれど――そう。あの鉄の屍が今も眠る海で。かつて沈んだ亡霊たちに取り付かれたかのように、彼は変わってしまった。
2013-11-04 21:33:46
アイゼン(本垢)
@aizen_423
海の青を侵す、黄の霧を纏う敵の猛威。言葉を介す敵旗艦(フラグシップ)――仮称、「戦姫」と呼ばれる深海棲艦の打倒。これを斃さぬ限りは、海にまことの青は戻らない。奪われた蒼穹を取り戻す為の聖戦。その栄華に彩られた文句に酔い、彼は勝ち急いだのです。
2013-11-04 21:38:52
アイゼン(本垢)
@aizen_423
最初に、駆逐艦が沈みました。彼女はかつて、彼が着任した当初――鎮守府近海の深海棲艦討伐という任を共に遂行して以来の付き合いでした。敵潜水艦の魚雷によって、この海の底へ消えました。鉄の屍の積もる、海の底へ。
2013-11-04 21:42:07
アイゼン(本垢)
@aizen_423
次に沈んだのは、空母でした。かつての大戦で名を馳せた幸運艦も、蓄積した疲労と損傷に耐える事は不可能でした。敵戦艦の一撃が甲板を抉り、彼女の艤装ごと四肢を焼き尽くして、海の底へ落としてゆきました。鉄の屍の積もる、海の底へ。
2013-11-04 21:46:37
アイゼン(本垢)
@aizen_423
次は軽巡が沈み、重巡が沈み、艦隊決戦の要である戦艦すらも。それでも、彼は歩みを止めることを赦しませんでした。今や、彼の眼に、かつての優しい光はありませんでした。
2013-11-04 21:48:17
アイゼン(本垢)
@aizen_423
そして。いま。私たちは遂に彼女の前に立ったのです。黄の霧を纏う死霊を従わせ、怨嗟に燃える瞳でこちらを睨む、敵の姿。深海棲艦。戦姫。怒りに震える彼女の表情が――ふと、私たちの仲間が沈んだ水平線に目を向けて。ニタリと、口元を釣り上げて、笑いました。
2013-11-04 21:53:10