丸い地球を産む 貝のなかに きみは銀座のママがいいかな きみは渋谷の109が似合うかな きみは柔らかいからグミがいいかな そんなかんじで 真珠の品定めをしていた訳ですが どうもこいつだけは嫁にやりたくて #連詩 「真珠」
2013-11-04 21:27:00君の首に下げた真珠のネックレスを 引きちぎって床にぶちまけて はっと怯える君の目の前で 全ての粒を舌で転がし 丹念に愛撫して 飲み干してしまおうか 「どうして首元ばっかり見てるの?」と 無邪気に笑う君の世界を 時々破壊したくなるんだ 愛してるからこそ #連詩
2013-11-04 21:52:04白濁色の愛が僕を助けてくれたことなんて、あったかよって舌を回す 静かに動きだした秋風が白く固く凍り付いていく冬が来るねえ今年も 腹を下し始める季節 地下道の空気を抉る午後5時の液晶画面、 早く噴火しろ 空洞の部屋 ゆるりゆるりと過ぎていく鰯雲によぉっ #連詩部
2013-11-04 22:25:32どこかで噴火だ。純白のおもてに映る景色を水平線にかざし、降り注ぐ灰に或る部屋の名残を惜しみながら、海の水はしかしすでに膝のうえまで。あぶくが弾けるたび、痛い、痛い、とアコヤ貝のすすり泣くのが聴こえる。胎内の異物を真珠層で誤魔化すけなげな姿に、たまらずわたしは海底に膝をつく。#連詩
2013-11-05 08:21:46海の庭。はなやぐ細胞。何時しか彼等は、ひのかぐつちに覆い被さり、数多の命を着込んでいた。幾重にも炎の鱗を身に纏う。泪を流しては火山を動かし、冬になれば胎生の体をさらに守ろうと、層を重ねた(あの人の唇を思い出す)女の膝は阿古屋貝となり、蘭鋳の赫色で化粧をしたかのように、赫い #連詩
2013-11-05 09:09:51深海、静寂の底で群棲する珊瑚礁。 小さく、口を開いて詩を唄う突起に次々と絡みつき 海を白で染めてゆく、 硬い殻。 (また、その内の柔らかな光源。) その発光体らを抱いて、夜は 帆を膨らませた船に降る。 月光に晒された羅針盤は常に、 闇に覆われた球形の真実を差し示している。 #連詩
2013-11-05 22:00:31ついに真珠は太陽から光を取り戻した かつての外在的な爆発を我が身のものとし 海嶺までもを飾りとしてあしらい 大陸を食み 天体を餌とし 愛欲のごとく膨らんでいく 焼かれた畑を見てきた鳥が 足元を探す 眼下に広がる残骸のような黒白 それは星座のように点在する 生きた宝石だった #連詩
2013-11-10 13:33:33