サブミッション・スリーピング・ビューティー #3

これE5攻略は別の話になりそうだわ
0
劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇◇ ←91式徹甲弾

2013-11-20 21:01:24
劉度 @arther456

【サブミッション・スリーピング・ビューティー】# 3

2013-11-20 21:01:48
劉度 @arther456

鉄底海峡突入作戦が失敗してから数日後。「再び鎮守府の理想を掲げるため!ソロモンよ、私は帰って」「お静かに」「げふう」鉄底海峡の洋上で、不知火に腹を殴られている提督の姿があった。彼の艦隊は、散々な敗北を喫した後、またもこの鉄底海峡に挑んでいたのである。1

2013-11-20 21:02:40
劉度 @arther456

不知火に救出された後、目を覚ました提督が最初に聞かされたのは、1万の石油を始めとする資源を溶かした末に敗北したという事実であった。流石にその時は一度ハートが大破した。だが幸いにも、提督には不知火という応急修理要員、またはブラック提督がいた。2

2013-11-20 21:06:08
劉度 @arther456

「提督、初敗北お悔やみ申し上げます。ですがご安心下さい。戦闘データは全て記録してあります。戦死者もおらず、総員健在です。勝てると思った量の資源が溜まり次第、すぐに出撃しましょう。ああ、資源の調達は提督がやって下さい。休む暇なんてありませんよ?」3

2013-11-20 21:10:11
劉度 @arther456

要約するとこうである。空の倉庫から引きずり出された提督は、すぐさま資源調達を開始した。海軍省に提示された作戦目標を完遂し、補給物資を優先的に回してもらう。艦娘に輸送船を護衛させ、見返りに物資の数%を手に入れる。弱みを握る政治家や財界からも、資金提供を募った。4

2013-11-20 21:13:55
劉度 @arther456

その一方で、相手の撃退方法も考えた。400機の爆撃機を要する深海棲艦は、暫定的に飛行場姫と呼ばれることとなった。最初にこの話をした時は、頭がおかしくなったと憲兵を呼ばれたものだが、偵察によって飛行場姫の姿が確認されると、ようやく留置場から開放された。5

2013-11-20 21:21:47
劉度 @arther456

飛行場姫攻略の難点は、相手が陸上にいるということである。海上に出てきて目視できれば主砲で狙えるのだが、森の奥で布団にくるまって眠っていては狙いのつけようがない。どうにか彼女を起こして、海上に引きずり出す必要がある。その算段は立ててあった。6

2013-11-20 21:25:40
劉度 @arther456

「作戦実行のためには、まず敵の迎撃部隊を壊滅させることが前提だ。利根ちゃん、頼むよ」「任せよ。夜戦は戦の華じゃからのう」ドリフトを通じて利根の声が聞こえてくる。艦娘と提督の五感を繋げ、指揮のタイムラグを無くすシステムだ。視界が遮られる夜戦では特に効果を発揮する。7

2013-11-20 21:29:58
劉度 @arther456

「む、早速現れたか。始めるぞ!」どうやら敵を発見したようだ。「よし、こっちもやるぞ。金剛、霧島、ジャンゴウ、準備はいいな?」「OKデース!」「マイクチェック、大丈夫です!」「OKブラザー、機材の調子はWickedだぜ」二人の少女と一人の黒人男性が応える。8

2013-11-20 21:33:26
劉度 @arther456

第一艦隊が交戦する一方で、提督の乗る巡洋艦は滑るように静かに、素早く飛行場姫の眠る島に近づいていく。「ポイントに到達です」「よし、『十河作戦』第二段階、『スリーピング・ビューティー作戦』を開始する!」「英語か日本語のどちらかに統一しません?」「うるせえ」9

2013-11-20 21:37:00
劉度 @arther456

やや締まらないが、とにかく作戦は発令されたため、巡洋艦『蔵王』に乗り込んでいた艦娘たちが次々と海上に降りていった。だが今回の攻撃役はそれだけではない。巡洋艦の甲板に設置された、ミサイル発射管の蓋が次々と開いていく。「準備完了です」「よーし、ぶっ放せえ!」10

2013-11-20 21:40:17
劉度 @arther456

提督の号令と共に、甲板から火が吹き上がる。撃ち出された炎は空中で角度を変え、島に向かって飛んでいく。そして。「ちゃくだーん、今!」妖精さんの声と、島に幾つもの火球が炸裂したのは同時だった。久々に発射した対地ミサイルは、問題なく起動したようだ。11

2013-11-20 21:43:53
劉度 @arther456

「提督が始めたネー!私達も砲雷撃戦、startするヨー!」金剛の指揮の下、重巡洋艦たちも次々と島を砲撃する。今回使うのは対艦用の徹甲弾ではない。対空防御用の三式弾だ。振りまかれた焼夷素子が、島のあちこちに火の手を上げる。第一段階は、問題なく突破できた。12

2013-11-20 21:49:01
劉度 @arther456

「電探に反応!7時方向より敵艦隊、来るです!」「足柄さん、そっち、任せるぞ!」「任せなさい!勝利の請負人、足柄!出撃するわ!」敵の迎撃に対する備えも万端だ。作戦は順調。唯一、問題があるとすれば、この作戦そのものが非常に馬鹿馬鹿しいものである、ということだった。13

2013-11-20 21:53:17
劉度 @arther456

島のあちこちから火が上がっている。地面を覆う森は、対地ミサイルと三式弾で十分焼き払った。あの中に飛行場姫はいる。そして恐らく、まだ爆睡しているに違いない。ならばそれを叩き起こして、海の上に引きずり出す。作戦の第二段階が始まった。14

2013-11-20 21:57:11
劉度 @arther456

「ジャンゴウ、頼むぞ」「OK、任せな。砲雷撃戦(サウンド・クラッシュ)の時間だ。Yah-man, 全艦隊、耳を塞いどけよ?Bang-a-rangなサウンドをお見舞いするぜ!」艦上に設置された巨大スピーカーから、砲撃音も黙りこむ重低音が響き始める。15

2013-11-20 21:59:57
劉度 @arther456

金剛型1番艦を自称するただのジャマイカ人であるジャンゴウが用意したのは、46cm3連装ウーファー/41cm連装スピーカー満載、片舷20門、全40門の30kW級サウンドシステムだ。説明だけでは分かり辛いが、側にいた妖精さんが音圧で吹き飛んだ時点で、そのパワーは証明されている。16

2013-11-20 22:03:35
劉度 @arther456

「ボルテッカァァァァァ!」更にマイクを片手に霧島が叫ぶ。普段は貴重なマイクが壊れないよう声を抑えて喋っている霧島だが、一度その声量を解放すれば、並のマイクは耐えられない。今回高値を払って彼女のために用意したのも、コンサート用の特別な音響機材だ。17

2013-11-20 22:09:02
劉度 @arther456

更に妖精さんたちが楽器を打ち鳴らす。普段は艦の制御を行っている妖精さんたちだが、軍楽隊として演奏することもできる。せいぜい上陸中に近所の住民を楽しませるちんどん屋ぐらいの役割しかなかったが、今回はちんどん屋であることが大変役に立つ。18

2013-11-20 22:12:51
劉度 @arther456

想像してもらいたい。真夜中に突然家に火を付けられ、その上それを煽るかのように外でちんどん屋が曲を演奏していたら、どう思うだろうか。「アンノウン接近!11時の方向です!」見張り妖精の声を聞き、提督は双眼鏡を掲げる。忘れもしない白い敵影が映っていた。19

2013-11-20 22:17:58
劉度 @arther456

「あいつだ!飛行場姫を11時の方向に確認、霧島さん、迎撃を頼む!」「究極!ゲェェェシュペンスト、キィィィィック!」霧島は布団を振り回して突っ込んでくる飛行場姫に気付いていない。ぶつかる、と思った瞬間、霧島が丸太のように丸められた布団に吹っ飛ばされた。20

2013-11-20 22:21:19
劉度 @arther456

「まずい……機関全速、面舵いっぱぁーい!避けろぉー!」危険を察した提督の指示で、巡洋艦が進路を変える。機銃が火を吹き飛行場姫を銃撃するが、まるで効いていない。「安眠妨害、ぼうがーい!」間の抜けた雄叫びを上げて、飛行場姫をが艦の横腹に突っ込んでくる。21

2013-11-20 22:26:06
劉度 @arther456

だが彼女は艦の手前で急停止した。巻き上がる飛沫の中に、落ちる影が一つ。人のシルエットではない。右半身を機械に覆われ、片目を光らせた影の名は、古鷹。旧式艤装であるものの、鎮守府で最も練度の高い巡洋艦であり、最も夜戦に慣れた艦娘であった。22

2013-11-20 22:30:17
劉度 @arther456

「おう、サイボーグ……」艤装の隙間から蒸気が吹き上がる。その蒸気を突っ切って、古鷹の右手が突き出された。飛行場姫は横っ飛びでそれを避ける。手刀の衝撃で海の表面が割れた。「古鷹、無理するなよ!」「大丈夫です!」提督の心配に、古鷹は笑顔で応える。23

2013-11-20 22:33:39