「コンプレックス・エイジ」に関する１つの論攷

董卓（不燃ごみ） @inumash

「コンプレックス・エイジ」を読んで、“空中キャンプ”の伊藤さんが2006年に書いたこのエントリを思い出した。 『空中キャンプ - 十代の子には、おかしなかっこうで歩きまわる権利がある変更する』http://t.co/sURnkUDFha

董卓（不燃ごみ） @inumash

“三十代は、おかしなかっこうで歩きまわってはいけないのかというと、まあ、べつにいいんだけれども、そこで発生するのは、「あの人、なんだい、いい歳で」という、わりとシビアな風当たりのようなもので、その風はけっこう身に沁みてつめたい。”

董卓（不燃ごみ） @inumash

“それは、十代の子たちが保留している「権利」ではなく、もっと気の重たくなるような、「債務」みたいものだ。”

董卓（不燃ごみ） @inumash

“三十代だもの、そろそろ現実に着地しないとまずい。着地してないやつには、それなりの債務があるのだった。そしてわたしは、とんかつを食べながら、着地前の女の子にしかできないとんがりを、いとおしく感じるのであった。”

董卓（不燃ごみ） @inumash

ここで言われている“債務”について、個人的に解釈するとこんな感じ→http://t.co/CigdQwkzUF

董卓（不燃ごみ） @inumash

もっとも、「コンプレックス・エイジ」の主人公の場合はその“債務”にはっきりと気がついていて、あの物語事態か“それをどう清算するのか”ということが大きなテーマであるように思う。

董卓（不燃ごみ） @inumash

主人公がゴスロリをやめるきっかけが、オフ会で出会った一回り下の（ちょっとアレな）女の子の言動だったっていうのが凄く大事だと思っていて。あれで自分が抱いていた幻想が独り善がりであること、そしてそれが実はとても身勝手で(見方によっては）醜いものだということに気づくんだよね。

董卓（不燃ごみ） @inumash

だからオフ会の後、自宅に帰って鏡を見た瞬間に“魔法が解ける”。あそこに写っていたのは、ほんの少し前に嫌悪した“身勝手な幻想”そのものだったから。

董卓（不燃ごみ） @inumash

その姿で居直れるほど、主人公は強くもなければ傲慢でもなく、また馬鹿になりきることもできなかった。だから、捨てた。捨てることで、伊藤さんの言う「債務」の清算をしたんだ、と思う。

董卓（不燃ごみ） @inumash

あの物語が陰惨なものにならないのは、彼女自身の身勝手な幻想を、あるいは“捨てる”という選択とその後の自分を、適度な距離を保ちながら受け止めてくれる理解者がすぐ隣にいたからだと思う。それは凄く幸運かつ幸福なことで。

董卓（不燃ごみ） @inumash

ある人にとってはそれが“ぬるい”と感じるのかもしれないけど、でも彼女のように債務の清算を済ませている人って実際にはそんなに多くないことを考えれば、そういうご褒美はあっていいと思うんだよね。「債務を清算したらすっからかんでした」じゃ救われないもの。

董卓（不燃ごみ） @inumash

あの旦那の“甘え”は、主人公との関係性を描くうえで間違いなく必要な要素だし、その部分を見て“家事をしないダメ夫”とか言ってる人は本当に物語を読む才能がないのだな、と思う。

董卓（不燃ごみ） @inumash

あの“甘え”があるからこそ、主人公の身勝手な幻想を許容する彼のキャラクターが成立するんでしょ。あれで「家事を含めて妻に何も依存しない完璧な夫」だったら逆に主人公が救われないでしょう。人間として未熟すぎて。

董卓（不燃ごみ） @inumash

そっちの方がよっぽど女性（妻）を馬鹿にしてるでしょうに。

董卓（不燃ごみ） @inumash

あの旦那の甘えがあるからこそ主人公は救われるんだよ。あれがなければただの一方的な依存関係だもの。それじゃあキャラクターとして全然魅力的じゃないよね。

董卓（不燃ごみ） @inumash

ということで『コンプレックス・エイジ』の旦那に文句言ってる人達は、もう一度二人の関係性について見返してみな。それでも「家事をしないあいつはクズ」って言うなら『きのう何食べた？』のシロさんとか『にがくてあまい』の渚みたいな“家事完璧男”の出てくる漫画だけ読むことをお勧めするよ。

董卓（不燃ごみ） @inumash

どっちもゲイだけど。

みとこ @mitoko_dij

連続RT失礼しました すごくすごく面白かったのでつい。なるほど「債務の清算」ねー。

みとこ @mitoko_dij

債務とか風当たりみたいなものは現状確かにあるよね。それを債務的に認識（無意識でも）していて、さらに「債務を抱えた」ままでいさせてくれる環境（周囲の人々含め）があるからこそ自分はそうしていられるのだ、と気付いてしまったから主人公は「全てを燃やして」債務の清算をした、と読むわけか…！

みとこ @mitoko_dij

その読み方はすごく面白い。自分には思いつきもしなかった。それは多分自分がまさに「債務」とやらを抱え続けたままそれを清算せずに逃げ回っているからなんだろうとも言える。そもそも債務なんて存在しねーよ、とか言いながら。

みとこ @mitoko_dij

「卒業」を是とし、それが「出来ていない」主人公は「債務未清算」で、だからそれを傍らで見守る立場の夫のキャラは完全無欠なものであってはならなかった、それではかえって主人公に救いが無くなってしまう…それは本当、確かにそうだ。あくまで「卒業を是とする」なら。

みとこ @mitoko_dij

あーダメだうまく言えないなーすごく面白いというか「この立ち位置の差が物語から読み取る景色をここまで正反対に見せてるんだ！」ってことが見えた気がしたんだけどー

みとこ @mitoko_dij

確かにその読み方なら夫のキャラが完璧超人じゃ主人公はいたたまれないなーと思う。中二病からの夢と目覚めをずっと傍らで完璧超人たる王子様に見守られ、目覚めたところでどんなツラしてキスすりゃいいんだってことですよねなるほどー

みとこ @mitoko_dij

自分はまさにそういう読み方をする方から見ればおそらく債務不履行真っ最中なので、そういう読み方に気付かなかったというか、自分がこの物語を作るとしたらそういう立ち位置のキャラとして夫のキャラを作ることは出来なかっただろうな