大和の居ない鎮守府で武蔵着任後

水菜 @mizunana_T

武蔵「この母港には大和が居ない？」 提督「すまない……夏に着任した時には大本営から提示された通りに作戦を進められなかったんだ」 武蔵「何、気にすることはない！一生現れないわけではないからな。ゆっくり待とう」 提督「そう言ってくれるとありがたい、では案内するよ」 武蔵「ああ」

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提督「ここが大和型の部屋だ。一応、大和が建造されたら同じ部屋に住むことになる。問題無いな？」 武蔵「うむ、問題無いな」 提督「また、信濃も実装され次第といった所だ。食堂や洗濯場、浴場は自由に使ってくれ。浴場は夜の１１時までだから気をつけてな」 武蔵「承知した」

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提督「最低限の荷物は届いているはずだから、あけておいてな」 武蔵「分かった」 提督「何かあったら執務室まで連絡するように。内線番号は109だ」 武蔵「心得た」 提督「じゃあな」 ﾊﾞﾀﾝｯ

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シーーーン 武蔵「……少しだけ肌寒いな」 武蔵「荷物をあけよう」 武蔵「ふふっ、新しい生活か。楽しみだ……また海に出れるなんてな」 武蔵「……、」 武蔵「……荷物、整理しないとな」

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武蔵「……大和が居る、と思っていたからな。なんだか変な感覚だ」 武蔵「私より先に居るのが大和だった。だから……私のが先、というのは不思議というか……」 武蔵「……、」 武蔵「や、大和型であるこの武蔵が何を狼狽えている！姉が居ないからと言って何かが変わるわけではない！」

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武蔵「だけど……」 武蔵「一人には少し、広いなぁ」 武蔵「……、」 武蔵「よし……うん、そうだな。大和姉さんが着任した時の為に気合を入れて綺麗に掃除をしよう」 武蔵「隙間風で大和が風邪をひくかもしれないからな、きちんと補強しておかないと」

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武蔵「あとは、姉さんの好きだった小物とかも置いて驚かせるぞ」 武蔵「あとは、あとは……」 武蔵「……、」 武蔵「ああ、もう、調子が狂う！！何故居ないのだ！大和！！」 武蔵「いつも居たではないか、私が建造された時も、私が沈む時も、いつも、いつも！！」

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武蔵「……」 武蔵「寂しいよ姉さん……」 武蔵「私は寂しがりやなんだ」 武蔵「ごめん……」 武蔵「……」 武蔵「……姉さんよりも、先に沈んで……ごめん……」

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ﾊﾞﾀﾝｯ 島風「一番乗り！私が一番？だってみんな遅いもん！！」 武蔵「！？」 島風「こんにちは！武蔵さん、お久しぶり！」 武蔵「し、島風か！？」 島風「そうだよ、私が一番に挨拶に来たの。だって早いもん！」

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武蔵「そうだったな、あの時摩耶と私の生存者と負傷者を移乗してくれたのは島風だった」 島風「あの時は私にしては遅かったから、もっともっと早く助けたかったんだよっ！」 武蔵「何、十分助かったさ」 摩耶「っと、なんだ、島風着てたのかっ。よっ、武蔵。久しぶりっ」

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武蔵「おお、摩耶か！久しいな本当に！」 島風「摩耶さんおっそーい！」 摩耶「うっせぇなぁ！お前が早すぎるんだよ！」 島風「そうだよ、私が一番早いの！」 摩耶「へぇー？それじゃあ翔鶴に勝ってみろよ？」 島風「う、うぅ……それは言わない約束！」 摩耶「はっは」

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武蔵「ふふ、一気に賑やかになったな」 長門「入っても良いか？」 武蔵「長門っ！？」 長門「久しぶりだな、武蔵。無事任務成功させ、武蔵が着任出来たのは嬉しかったよ」 武蔵「ああ、私もまた皆とあえて嬉しいぞ！」 摩耶「それはこっちの台詞だっての。ったく、着任させるまで苦労したって」

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島風「島風が早かったから！夜戦だって連撃で凄かったんだよ！」 摩耶「何言ってんだよ、あたしの対空が飛行場姫の艦載機ぶっ潰したんだろ！それに島風は三式弾つめねーしな！」 島風「機能の話ししないでよー！」 摩耶「だったら早い話しだってしちゃダメだぜー？」 島風「摩耶さんのいじわる！」

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長門「まったく、お前たちは喧嘩ばかりだな。それぞれメリット・デメリットがある、それを使いこなすのが我が鎮守府の提督だろう」 摩耶「ほら、長門に怒られたじゃねぇか」 島風「島風のせいじゃないもん！」 長門「やれやれ、こんな鎮守府だけど大丈夫か？」 武蔵「楽しそうで良いじゃないか」

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長門「……フッ、それもそうだな」 武蔵「殺伐としているよりは良いと思うぞ。緊張感のあるときと安らぐとき、きちんとけじめをつけていれば、な」 長門「その通りだな」 武蔵「……長門、大和なんだが」 長門「……ああ、そうか。武蔵は知らないんだな」 武蔵「どうなったか、聞いても良い、か」

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長門「私の口からでは言えないな」 武蔵「……どういうことだ？」 長門「呼んできてやろう。島風、自前の速力で軽巡寮より奴を連れてくることを命ずる」 島風「島風！抜錨します！」 武蔵「？？」 長門「大和に関しては『適任者』がいる。最も提督もかなりの運を持っているようだね」

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島風「連れてきました！っておっそーい！それでも最新鋭軽巡洋艦なの！？」 矢矧「……やれやれ、こんにちは武蔵。阿賀野型3番艦の軽巡矢矧よ」 武蔵「矢矧、だと……」 長門「大和の最期を知っているのは、この子だからね」 矢矧「いえ、私は大和よりも前に沈んでいますので……」

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武蔵「そうだったのか……」 矢矧「もし、準備がまだかかるようでしたら後でにするわ」 武蔵「いや、今でいいよ。まだ散らかってはいるが最低限は片付けたつもりだ。入ってくれ」 矢矧「ええ、そうするわ」 長門「それじゃあ私達はこの辺で」 島風「ええー！もう！？」

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長門「二人で話し合いたいこともあるだろう。そっとしておけ！」 島風「うぅ、はぁーい……」 摩耶「怒られてやんのっ」 島風「もー！うるさーい！」 長門「じゃあ、またあとでな」 武蔵「ああっ」

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ﾊﾞﾀﾝｯ 矢矧「って綺麗になってるじゃない」 武蔵「む？まだまだだ、埃が取り切れていないからな。殺菌もまだしていないし……それにならしもまだで……」 矢矧（かなりのきれい好きなのね……） 武蔵「まぁ座ってくれ、茶を淹れよう」 矢矧「お構いなく」 武蔵「フフッ」

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ｺﾄﾝｯ 矢矧「それで大和の件だけれども、まだここには大和が居ないみたいね」 武蔵「そのようだな。本来ならば、この部屋に大和が居る予定だったみたいだね」 矢矧「そうね……真っ先に確認をとりたかったけれども、私は阿賀野と能代が居たから……そっちで積もる話もあったのよね」

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武蔵「ああ、そうか。では阿賀野型は……？」 矢矧「そうね、あとは酒匂だけよ。あの子も……いろいろあったわね」 武蔵「みたいだな……しかし３艦も揃っているのは天晴だな」 矢矧「ふふっ、私も驚いたわ。能代も阿賀野も居るんだもの。まさに建造された時のことを思い出してしまってね」

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武蔵「そう、か……」 矢矧「……あっ、ご、ごめんなさい！」 武蔵「いや良い、私が弱いだけだよ」 矢矧「そんなことないわ。貴方は大和の妹だもの」 武蔵「そう、だな」 矢矧「ええ」 武蔵「……話しを戻そう。私が沈んでからどんなことがあった？」 矢矧「……そう、ね」

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武蔵「……ｽﾞｽﾞｯ」 矢矧「いろんなことがあったわ。最もその約半年後に私も大和も沈んでしまったのだけれども」 武蔵「大和が沈むなんて、今だに信じられないな」 矢矧「それを言ったら貴方もよ。私にもっと力があれば大和を沈めることも、あの大鳳さんだって……沈まなかったわ」

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武蔵「私が言うのも難だが、あまり自分を責めるなよ？」 矢矧「そうね、たらればは愚問な上に惨めよね。こうしてまた生を受けられただけありがたいと思わないといけないわ」 武蔵「ふふっ、それでこそ我が姉の戦友矢矧だ」 矢矧「友達……そうね、だから私も早く大和に会いたいわ」